リトルスター:タープ開閉システム

 愛知県にあるアウベルクラフト社のリトルスターというテント一体型タープをモニター使用する機会を得ました。現段階では一度庭に張っただけなのですが、自分や他のレポーターの皆さんが気にしていたのは「雨が吹き込むのではないか」ということでしたね。オプションで蓋があるのは承知していますが、オリジナルのままで何とかならないだろうかと考えてみました。
 リトルスターの形を、手足を広げて滑空するムササビの姿になぞらえたのはmIKEさん でしたが、この喩えが解りやすかったのでぼくも真似します。
 リトルスターは頭部から右手に向かうラインの中間にDリングが縫い付けられています。ここにポールを入れたり、上方にロープで引っ張ってやることによってタープ部の居住スペースが稼げるわけですが、逆にここを、頭部に立てたポールに縛り付けてやれば出入り口の三角空間が狭くなり、雨の吹き込みや外部からの視線が、解消とまではゆかなくても緩和されるのではないだろうかと考えたわけです。もちろん、タープ部が中央に寄ってくるわけですから、右手をペグダウンする位置あるいは張り綱の繰り出し量を変更してやる必要もあります。
 ただし、こうやってしまうとテントへの出入りが非常に困難になるので、セッティングの変更作業はテント内で行えることが必要になってしまいます。

 というわけで、先日頭の中で考えた『リモコン式ウイング昇降システム』というのを試してみました。

 まず、オーソドックスにリトルスターを設営します。使うポールは1本でも2本でも構いません。右手部分は本システム上独特の方法で固定するのですが、とりあえず仮留めとしてペグダウンしておくと、後の作業がやりやすいかも知れませんね。
 さて、その右手の固定ですが、ここにはあらかじめ長くて先端が輪になったペグを用意してください。?形のペグでも深く打ち込めば大丈夫でしょう。ちなみに、ぼくはスノーピーク社のソリッドステーク30を使いました。これを、右手の先の少し離れたところに深く打ち込みます。(写真1)
 同じペグをもう2本用意して、1本はメインポールの根元に、もう1本はテント部の出入り口・・・メッシュパネルの下あたりに打ち込んでおきます。ここもできるだけ深く。というのも、張力がかかるのでペグの効きを良くするためと、ロープを地面ギリギリに這わせることにより、足で引っかけないようにするためです。(写真2)

写真1    写真2

 ムササビの右手にロープを結び付け、最初のペグの輪を通してポール下のペグの輪に。ここを通して方向を変え、メッシュパネルの下のペグに結び付けてしまいます。
 次に、中間のDリングに別のロープを結び付け、反対の端を、やはりポール下のペグの輪を通してメッシュパネル下のペグまで導いておきます。(写真3,4)

写真3    写真4

 ・・・もうお判りですね。テントから手を出して目の前にある2本のロープを交互に引いたり緩めたりすることによって、出入り口の三角空間が閉じたり開いたりするのです。完全に、ではないけど。(写真5,6)

写真5    写真6

 Dリングから垂れたロープが三角空間を横切って目障りのようですが、ふだんはポールの先端に引っかけるようにしてポールに添って垂らしておけば、出入りの邪魔になることもありません。(写真7,8)
 また、右手部分だけが位置を変えてしまうので、右足の方にタルミが出てしまいますが、テスト当日は時折強い風が吹いたにもかかわらず、バタついて困ったという感じはありませんでした。右足や右脇(って呼ぼうかな。手と足を結ぶラインの中間にあるハトメ穴)にストレッチコードを使うと、もっと柔軟に対応するかも知れません。

写真7    写真8

 オプションの蓋と違ってタープ下の空間が狭くなりますので、閉めた状態ではせいぜいテントに入りきらなかった荷物を置くのがやっと。料理などをすることはできません。そういうわけですから、寝る時やテントを離れる時の防御的形態と思った方がいいでしょうね。
 実際に風雨の中で長時間滞在して試したわけではないから実用度は「?」ですが、遊び感覚でこんなこともできるよという報告でした。(1998年5月記。2004年6月一部修正して再録)


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