《2002.07》
 森は涼しい 

 いつも「夏は暑いからキャンプに行かない」と言っている我が家ですが、実際のところ、去年おととしと『長者の森』に行ってるし、7、8年くらい前まではわりと出かけていたものでした。設営の時は汗だくになっても、夕方になって涼しくなると気持ちいいもんね。でもまぁ、暑くて寝苦しいのはごめんだな。
 で、今年もどこか涼しそうなキャンプ場へ行こうかと思ってたら、子供たちが通っている学童保育所のキャンプがあるとかで、それをもって夏のキャンプとしますか・・・え? 行き先が『黒坂石バンガローテント村』だって!?

 実はこのキャンプ場、父ちゃんと母ちゃんは10年ほど前に一度行ったことがあって、正直言ってあまりいい印象が無いのですね。まぁけっこう混んでる時期に予約なしで行ったのも悪かったけど、オートキャンプサイトは広場をロープで区切っただけの「駐車場」だったし(仲間と行ったので3サイトくらい連続で確保し、クルマを一まとめに寄せて広いサイトを作ったっけ)、バンガローの方には子供会らしい団体が泊まっていて、当然夜は騒いでいる上に、歩いているとオモチャのピストルで銃撃されたりして・・・今回は巡りめぐって、自分が子供会の団体で行くことになってしまったのか。

ドラえもんのポケット整理中
 さて、出発の朝、荷物運搬用のワンボックスにこれでもかってほど荷物を積み込む。山のような食糧に、大鍋や釜、イベント用の小道具に長机・・・このところファミリーキャンプばっかりで、子供会キャンプからは久しく遠ざかっていたので、これはこれで珍しくって面白い。しかし、今の子って皆シュラフを持ってるんだね。昔はそんなの持ってる家なんて少なかったから、タオルケットが大多数だったような気がするけど。

 キャンプ場への道は通い慣れた銅山街道、我が家から日光へ行くルートです。とはいえ、今回は実行委員の父兄のクルマに乗せて行ってもらったので、父ちゃんは後席で景色を見ながらのドライブ。
 国道から山の中へとドンドン入って行き、やがて到着したキャンプ場は、10年前の記憶もかなり薄れていて「こんなトコだったっけかなぁ?」
 あのとき泊まったテント用のサイトは綺麗なコテージが立ち並んでいて、テント泊のファミリーは7、8年ほど前にできた国道沿いのオートキャンプ場へどうぞってわけなんだろうな。あのオートキャンプ場を作るときはずいぶん地元の反対運動があったけど(国道を走っていると建設反対の看板が林立していた)、団体向けのキャンプ場とファミリー向けのキャンプ場を分離できたってのは功績だったかもしれないな。といってまるっきりテントが張れなくなったわけではなく、低学年の子供たちが泊まった大バンガロー(50人収容だそうだ。もやは集会所って呼ぶべきだろう)のすぐそばに10サイトほどテントサイトがあり、これは10年前の「駐車場」以上に泊まりたくない場所だなぁと思ったが、それでも夕方には3組ほどテントを張っていた(うち1組は渓流釣りに来た二人組らしい、リュック担いできて登山用テントひとつ張っていたから)。

ニジマスに同情したくなる
 持参の弁当を食べた後、子供たちは寸暇を惜しむかのように水着に着替えて川に遊びに行きます。よくまぁこんなに冷たい水の中で泳げるもんだね。
 で、そのあとこの川でニジマスのつかみ取り。川の中央に石で囲ってその中にニジマスを放つのですが、最初に20匹を入れて低学年女子。次にこの20匹を再び放った上に新規に20匹を追加して低学年男子。次に40匹を再利用した上にさらに20匹を・・・って、順番は逆が良かったみたい。だって低学年の女の子にイキの良いピチピチしたのが20匹だけじゃ、なかなか掴めないですからね。高学年男子の番になると、全部で80匹もいるところに、すでに3度も掴まれたのは息絶え絶えですから、掴むのは簡単。しかも、最後にもう一回80匹を放って全員で掴む頃になると、すでに浮かんでいるニジマスもちらほら。この後焼いて食べるんだけど、苦しみながら死んだ魚って美味しくなさそうだなぁ。

 でまぁニジマスを焼いて、ついでにパンも焼いて(懐かしのヘビパンだ)、夕食の支度・・・いやぁ、絵に描いたような学童キャンプの段取りだなぁ。大人だけのキャンプやファミリーキャンプだと焚き火やランタン、ヘッドランプなどを使って夜暗くなってからの食事になってしまうけど、こういうキャンプって、まだ明るいうちに食後の洗い物まで終わってしまうんだよね。メニューはこれまたお約束のカレーライス。今日は由緒正しいキャンプをしてるぞ。
 となると、さらに「キャンプファイアー」「肝だめし」が続くわけですなぁ。父ちゃんは以前ボランティアでこういうキャンプのお手伝いを何度かしたことがあったけど、我が家の子供たちはファミリーキャンプばかりで、こういう集団キャンプは初体験。仲間同士でわいわいと、ふだんやったことの無い体験ができて良かったのかなぁ(ちなみに母ちゃんは今回、家で静かなひと時を満喫していた)。

 初日の公式行事をすべて終え、子供たちをバンガローに追いやって、コテージの前で指導員&父兄の「第二部」(^^)v
 この、シャワー付の素晴らしいコテージは、お母さんたちの宿舎となっていて、お父さんたちの宿舎はというと・・・「特に用意してありません」
 12時頃になって低学年の子供たちが寝ている大バンガローにもぐりこんで、というよりは初めからそのつもりでシュラフを広げていたのだけど、昼間はしゃいで疲れたのか、子供たちはぐっり眠っていて、父ちゃんも静かに眠れたのでした。でも、これは低学年だからであって、川を挟んで離れたところにある高学年の子のバンガローは夜中3時頃まで賑やかだったらしい・・・こういう学童キャンプって、明け方まで眠らない子や、逆に夜中から起きてしまう子がいて、スタッフはまともに付き合うと徹夜する羽目になってしまうのですね。

 持って来たときは「真夏に使うには厚すぎるんじゃないか」と思ったシュラフにすっぽりもぐりこんだまま朝を迎えました。それほど標高が高い場所ではないはずだけど、ホント、朝は涼しいです。夏のキャンプは暑いから嫌だと言っていても、これを味わうと「やっぱり来て良かったなぁ」ということになるのですね。我ながら単純だなぁ。
 わあわあ言いながら朝食の支度。昨夜はどの班もカレーライスだったけど、朝食は班ごとに和食洋食メニューがまちまちです。もちろん父ちゃんは美味しそうなものを作った班に行ってお相伴に預かります(^^)
10年前のキャンプの写真を探し出した(上)
今回より水が少なかったようだ
 2日目も子供たちは元気ですね。大人が残り物で昼食をこしらえているのを尻目に、素早く水着に着替えて川へ。と思ったら、ちゃんと次のイベント「スイカ割り」に間に合うように戻ってくる。時計も持っていないのに、たいしたもんだ。

 かなりの数のスイカを使い、あれだけ食料も食べたんだから、ほら、帰りの荷物はずいぶん少なくなったねと、なるほど来るときは満載だったワンボックスがスカスカになりました。でも、あ、これを積むのを忘れてた、そうだこれもと積んでいるうちに、やっぱり満載。我が家のキャンプと一緒だなぁ。
 楽しく過ごしたキャンプ場を後にして、帰宅の途につきます。途中、黒保根村の道の駅で休憩のために停まったら、うだるような暑さ。やっぱり下界は暑いなぁと言い合ったのですが、深谷から見たら黒保根だって東村と変わらない山の中って感覚なのにね。こんなにも違うんだ。もちろん深谷に着いたら酷暑。母ちゃんが留守番していてくれたおかげで、家の中がサウナ化していなかったのが何よりの救いでした。

 ところで、10年前、我が夫婦と一緒にキャンプに行ったメンバー、および口コミで顛末を伝えられた御一同様は、父ちゃんが今回のキャンプ場にあまり良い思い出を持っていない理由をもうひとつ知っていると思うのです。つまり、あの時、我が家は夫婦揃ってシュラフを忘れて行ったのでした。たまたまメンバーの中にシュラフカバーを持っていたのがいて(けむたま様、あざらし様、お世話になりました)、これをシュラフ代わりに一夜を過ごしたのでしたが、今回、我が家の颯と結衣が使ったシュラフこそが10年前に家に忘れて行ったシュラフでして、ようやく雪辱を果たしたというかなんと言うか、いやはや・・・(^^ゞ