《2005.03》 |
「一戸建ての家に引っ越したんだから、イヌを飼いたいなぁ」
「駄目だよ、駄目」
実を言うと、上のような会話がもう8年くらい思い出したかのように繰り返されていたのですね。駄目と言っているのは父ちゃんです。それでも何年か前に、折からのブームも手伝ってか、ハムスターを飼うことは許可していたのですが、ネコやイヌとなると話は別でした。
金魚や小鳥、ハムスターなどは水槽やケージの中に入れて飼うのが基本ですが、ネコやイヌはそうは行かない。家の内外を徘徊するのです。イヌに至っては登録が必要になるくらいですから、飼うことに対して社会的な責任もあるのです。だいいち我が家はお出かけ好きなのですから、こういう大きなペットを飼うと行動が制限されるのではないだろうか?
それやこれやで父ちゃんとしては、嫌いではないけど自分から近寄ろうとは思わなかったし、ましてや家で飼うことなんか考えたくもなかったというのが実情だったのですね。でも、子供たちも少しずつ大きくなって、家族のありようも変化してきており、根負けしたわけではないけれども、首を縦に振る時期が近づいたのかもしれないなぁとも感じていたのです。そこへもって最近は近隣のホームセンターなどでも用品だけではなくペットの生体を扱うところが増え始め、わざわざペットショップに行かなくても目にする機会が増えていました。母ちゃんや子供たちの作戦でしょうかね。そんなワタクシの雪解けをさらに進めるかのように図書館で借りてきたイヌの本を家の中でよく見かけるようになってきていたのです。
「ぼく、パピヨンがいい」
「なんといってもゴールデン・レトリバーよ」
「トイプードルもいいな」
父ちゃんにしてみれば、飼い犬と言えばシェパード、コリー、スピッツくらいしか知らなかったりして、チワワやダックスフントはお金持ちが家の中で飼うものという程度の認識しかないのです。極端な話、庶民が飼うイヌなんて拾ってくるか貰ってくるかするものだと思っているのです。いったい今はどんなイヌがいるんだ? そしていくらくらいするんだ? 父ちゃんも少し本腰入れてホームセンターのイヌを見てみるか…
「お父さんの気に入りそうなイヌを見つけたよ」
母ちゃんの声に促されて、この日もホームセンター巡りに出かけました。休みの日にホームセンターをぶらつくのは大好きです。DIY用品とか、カー用品とか、これ欲しいなぁとか思いながら見て歩いています。でも、この日はそういった売り場にはちっとも寄らずにもっぱらペットコーナーだけを見て回りましたが、時季が悪いのかあまりイヌの種類を置いていないのでした。
3軒目のお店にやって来ました。ここが昨日、母ちゃんが一人で来て、これなら父ちゃんも好きそうなタイプだと思ったイヌを見つけた店です。正確に言うと、ホームセンターのテナントとしてペットショップが出店している形態ですね。
どれどれ、あ、これ…!
このあとは例の消費者金融のCMと同じ展開でした。ひと目惚れってヤツですね。壁に埋め込まれたショーケース(?)ではなく、フロアに置かれたサークルの中に一匹だけ入れられており、先に来ていた少女が撫でたりしてかまっていたのですが、「こら、むみやみに触るんじゃない!」と言いたくなってしまうほどのそんな気持ちをぐっとこらえて、少女がイヌをのそばを離れるとすぐさま寄って行き、
「おまえ、ウチに来るか?」
イヌの種類は、アイリッシュ・セターだそうです。成長すると体高が62〜67cmくらいになって大型犬に分類されます。結構賢いそうですが、それだけにと言うべきなのか、やんちゃだそうで、3年くらいはしつけに苦労するそうです。ある人のブログを見たら「何軒か回ったペットショップのどこでも『初心者には無理』と言われて飼うのを諦めた」と書いてありました…というようなことはすべて、飼うと決めてから知ったことなのですね(^^ゞ
イヌの飼い方に関するどんな本を見ても「衝動買いをするな」と書いてあります。まぁ、イヌに限らずそうですし、書いて無くても常識でしょう。でもね、最初に「あ、これ!」っと思ったインスピレーションというか感動というか、それは本能的瞬間的に何かが合致したのを察知していると思うのですよ。運命の出会い、なんて洒落た言葉は使いたくないけどね。それにあなた、自分の子供を理詰めで選びますか?
あ、いかんなぁ、自分の判断を正当化している(^^ゞ いや、もうこうなったらドンドン正当化しちゃうけど、大型犬だっていいじゃないですか。小さいのが足元でチョロチョロしていて蹴飛ばしたり踏んだりするよりは存在感があったほうが事故が少ないし、しつけが難しいって言われても、ウチはまだイヌを飼ったことがないのだから「イヌってこんなものだ」と思ってしまえばいいのです…ううむ、これが前の日までイヌを飼うのを拒絶していた人間の言うことだろうか?
例のCMの話に戻るけど、あれを初めて見たときは感動したものです。清水章吾サンの演技は抜群で、ものすごく共鳴できたのでした(気をよくしてイヌを主人公にシリーズ化したら極端につまらなくなったけど)。父ちゃんは、自分もいつかああなるんじゃないかなとという予感があったのですが、まさしく本当にそうなってしまいました。
そして、本当にそうなってしまったのがもうひとつ…いや、結局はならずに済んだ話なのだけれど、このイヌを買うことに決めて、店の人に声をかけたのですね。もちろん受け入れ準備も何もないから一週間後に取りに来るということで。そしたら…
「では、予約金として1万円お預かりさせてください」
そうなのです。この日はただイヌの種類やお値段の相場を見るために、気軽にホームセンター巡りをしていただけだったのでした。つまり、持ち合わせが…なかったのです。
まぁしかし、大のオトナがイヌが欲しいと声をかけて1万円の持ち合わせが無いというのも相当カッコ悪いことです。結衣も「私もお金持ってきてるよ」と財布を出すのですが、小学3年生の財布をアテにするのは持ち合わせが無い以上にカッコ悪いことです。いちおう父ちゃんと母ちゃんの所持金を出し合って何とかなりましたが、頭の中ではあのCMの「どうする、アイフル〜!」というセリフが鳴り響いておりました。
ああ、カッコ悪ぅ!
首に巻いた赤いバンダナが
『サスケ』のイメージ
クルマの中で「サスケにしよう」と言うと結衣は半べそになりました。たしかにイヌを飼うことにはなったのですが、自分の望んでいた犬種ではないところに名前まで父親が一方的に決めてしまい、全然自分の気持ちが反映されて無いと感じたのでしょう。でも、家に着いたら留守番していた颯のところに走っていって、「イヌを飼うことになったよ、名前はサスケっていうの!」と、まるで自分が決めてきたかのように嬉しそうな顔で報告しているので少しホッとしました。
そのあと、イヌを迎え入れるためにケージなどの用品を買い揃えたりでホームセンターをハシゴして(グッズを買うということになると、父ちゃんの張り切り方は凄いぞ!)夕方まで慌しく走り回ったのでした。
夜は母ちゃんに子供会の会合があったので、この日『かわせみ河原』で行われた『平日オフ』乱入は1時間足らずしかできませんでした…ハゼタロウさんだけしか到着していなかった。
そして3月18日、サスケが我が家にやってきた記念すべき日です。また、12月9日生まれのサスケ自身にとっても生後100日目という記念すべき(なんでしょうね)日です。
イヌを飼うのは初めてという家庭で、新婚当初には「サボテンを枯らした」という家庭で、サスケはこの先どんな運命をたどってゆくのでしょうか…
大きなトピックスはこの『あのねノート』で報告してゆきますが、ブログではもう少しこまめに書いてゆきますので、そちらの方も時々ご覧いただければと思います。