《1999.05》
長者の資格

 思いがけず瀬戸大橋を渡って長野牧場で昼食を食べた我が家は、再び瀬戸大橋を渡り(このとき写真を撮ったのですが) 北相木村を目指しました。ここから先は軽井沢と清里という2大観光地を結ぶ国道141号(佐久甲州街道)なのだけど、小海までは裏道を知っているからゴールデンウィークのさなかにもかかわらず出かけてくる気になったのですね。でも、家の近所で渋滞食らっていたのでは何にもならない。
 それやこれやで目的地に着いたのは3時過ぎ、ちょうどチェックインが始まる時刻なので具合が良かったともいえますが。

テントの周りが殺風景で落ち着かなかった
 今回の目的地は、長者の森という自然体リゾートの中に去年オープンしたオートキャンプ場。この情報はFCAMPの仲間である けんちさんのWEBサイトで知っていたのですが、GWの計画を立てる時に「秩父あたりのキャンプ場は近くていいけど、この時季は長瀞まで渋滞するし、料金も高いしなぁ」とぼやいていて思い出したのですね。ここなら3,500円だと(ガソリン代や高速料金がかかるということを忘れている)。
 でも、けんちさんの情報を一つ見落としていました。
「結構冷え込むよ」
 しかも、けんちさんのレポートは去年の7月で、こちらが行こうとしているのは5月です。予約をしようと何度も管理棟に電話をしても誰も出ないので、村役場に電話したら
「長者の森は4月半ばまで人がいません」
 ・・・げげげ、雪に埋もれているのぉ!?

 もともと昨年あたりから欲しくなっていた スクリーンテントを、寒さ対策に購入することにしました。FCAMPのメンバーがよく使っているアルペンのSF8018STを買おうと思ってお店に行ったのだけど、店内に展示されていたのが1万円高いSF8019SD。母ちゃんは「こっちの方がコンパクトに畳めて軽いからいいじゃない」と言い出す。色や素材もこちらが良さそうだ。他人のスクリーンテントと連結してST長屋は作り難いだろうが、そんな事は年に一度あるかないかだ。それよりもむしろ我が家のテントと連結しやすそうなので、大蔵大臣の気が変わらないうちに買うことにしました。
 キャンプに行く前に一度試し張りをしようと思っていたのがついに果たせず、現地でいきなり本番。連結すると全体が長くなってしまい、サイトからはみ出すのではないかと心配したのですが、ギリギリでなんとかなりました。逆にサイトの半分がガラ空きになってヘンな感じ。翌日の昼食はテーブルを出して外で食べることにしたというのは余談です。

 スクリーンテントを設営し、中で煮炊きをするとパラパラと音が。てっきり生地がピンと張ってきたのかと思ったら、雨。ま、本格的な雨は2日後で、まだこれは地面が濡れるほどでもないような可愛いものでした。
 しかし今回のキャンプでは、ユニフレーム社のUS−1というシングルバーナーが大活躍でした。去年の夏に母ちゃんが「あ、これ気に入った」と言い、父ちゃんも「そうだな、鍋料理に良さそうだな」と考えて買ったのですが、冬のXCスキーからずっとこれがメインで活躍しています。せっかく自動着火装置を取り替えたプリムスの2243バーナーは全然出番はないし、今回はキャンプだからとツーバーナーを持っていったのですが、結局テーブルの上に置いたUS−1が便利だから、お湯を沸かすぐらいにしか使いませんでした。
 このUS−1、製造番号が00003番という超・初期生産品。メーカーがガス検の検定をこれで受けたという噂もあるけど、まさかね。

 話が脱線しかけたけど、小さい子供もいて元来夜が早い我が家はテントの中で静かな夜を過ごしました・・・と言いたいけど、我が家のサイトはサニタリー棟に近く、シャワーに使うボイラーの音なのか何か、ゴーゴーという音が結構気になったのでありました。それに、(寝る時だけ)寒がりの父ちゃんには冷え込みがこたえた。我が家で一番暖かいとされるシュラフにすっぽり潜り込んでドローコードをぎゅっと引き、鼻と口だけを出して寝ていたのです。しかし、子供たちはタフだねぇ。日頃寝相が悪く、布団と無関係に寝ていて鍛えているせいか、平気で熟睡してたからねぇ。

 翌日、国道沿いのスーパーに買い物をしようと出かけたのですが・・・もともと141号や小海線沿線では昔からあちこちでキャンプしているので気軽に買い物に出る気になるのだけど、やっぱり北相木の奥となると国道に出るまでが遠かった。買い物から帰ってきたらお昼。
 食後は子供たちが前日の到着時から楽しみにしていた、長大な滑り台で遊ぶことにします。全長230メートルなんだそうで、スタート地点に行くまでが大変。さすがの颯も5回続けたら「もういい」・・・でも、ちょっと休むとまたやりたくなるんだよな。

新緑はこれから、という雰囲気だった
 滑り台や砦のような遊具で遊んだ後、キャンプサイトまで渓流に沿って散歩しながら戻ります。この長者の森というのは北相木村最深部にある大きな森を「人と自然が対話できるようなリゾート」とし、その入口部分にさきほどの遊具やらテニスコート、コテージ、キャンプ場などを設置してあるのです。で、去年オートキャンプ場が追加で作られたので、これらの施設とは少し離れた場所にあるのです。我が家はオートキャンプ場までしか歩かなかったけど、広大な長者の森を巡る遊歩道が整備されているようで、子供たちが飽きずに歩けるようになれば、弁当を持ってハイキングしてみるのもいいかも知れません。

 夕方になるとまた少し雨。天気予報は何日も前から明日の雨を予告しているので、テントとスクリーンテントの連結部の雨漏り対策を施します。
 今夜の夕食も鍋。年々我が家のキャンプ料理は簡略化されてゆくようです。なるべくゴミや残り物が出ないよう、後片付けが簡単なようにと突き詰めると、結局こうなるのでしょうね。ビールも空き缶が散らからないように業務用の生樽にしようかなぁ。

 3日目の朝、雨はまだ時々思い出したようにパラパラッと降ってくる程度。家を出てくる時に今回は雨の中の撤収になると覚悟していたのだけど、これなら濡れたテントを丸めて持ち帰るということはなさそうです。それっとばかりに撤収して、いつもぐずぐずしている我が家にしては珍しく、余裕を持ってお約束の10時にチェックアウトすることができました。長者の森を後にしたところで、いよいよ雨が真面目に降ってきて間一髪セーフ。
 そのあと温泉や蕎麦屋さん、スーパーなどに寄ってきたのですが、どこも混んでいましたねぇ。道路もあちこちで渋滞してました(けっこう裏道抜け道を走ったので、それほどハマらなかったけど)。もともと5月4日は行楽帰りの人たちで混みそうな予感があったのですが、この雨でますます帰宅を急ぐ気持ちになったようです。小諸YHにも立ち寄ったら、ペーさんが「今日は満員のはずだったのに、朝からキャンセル続出だよ」とぼやいていました。

 さて、今回行った長者の森ですが、森全体はもとよりオートキャンプ場だけをとってみても、とても民間では作れそうもない立派な施設でした。たとえ作れても、この料金ではペイしないでしょう。と言いながら、帰ってきてほとんどキャンプサイトの写真を撮らなかったことに気づきました。
 できたばかりでまだあまり知られておらず、国道からも奥まったところにあるので、しばらくは穴場かも知れませんね。機会を見て再訪したいと思いながら、けんちさんの情報に感謝したのですが、そういえば、けんちさんのホームページにはもう一つ大事なことも書いてありました。
「虫が多いよ」
 森の中で昆虫採集ができるというだけならいいけれど、毒虫に刺されるのは嫌だなぁ(かつて八千穂駒出池で2年続けてひどい目に遭っている)。それに食事のテーブルに蛾などが飛び込んでくるのも適わないし・・・あ、スクリーンテントがあるから平気なのか。寒さよけでしか考えていなかった。