《1999.07》
突然わたあめ屋になってしまった

父ちゃんの手つきを不安げに見守るPTA後援会長
 夏休みに入ると恒例の子供たちの幼稚園の納涼祭が行われます(「の」が多い文章だなあ)。恒例とは言ったけど、例年土曜日の夕方から開催されていたのが、今年は日曜日で、しかも雨天予備日が翌日の月曜日。ううむ、日曜日は『こち亀』を見てその後すぐに寝てしまうのが恒例なのに、夜まで外出なのか・・・それより雨が降ったらどうするんだ。幼稚園バスは運休で父ちゃんは会社なので子供たちを連れて行くことができないじゃないの。まだ梅雨は明けてないんだから。
 とぶつぶつ言ってたら本当に当日は雨になってしまいました。どぉすんの、と思っていたら電話が鳴って「教室を使って12時半から実施することになりました。お昼ご飯を食べずに来てください」との連絡が入ったのです。やっぱり、月曜日じゃ行けないよという意見が多かったのでしょうかね。

 お昼頃になると雨も小降りになって、幼稚園に着く頃にはもう傘が無くても何とかなりそうなくらい。そんな中で先生やPTAの役員さんたちが準備をしています。
「よぉ、会長っ! 手伝うぜ」
 焼きソバやかき氷といった恒例のメニューに加えて、今年はわたあめをやるということを、3週間ほど前の別の行事で顔を合わせたPTA会長から聞いていたのですね。で、そのあとメールで、必要だったら手伝うよと声を掛けておいたのです。実は父ちゃん、10数年前に勤め先のイベントで2日間わたあめを作っていたことがあったのですね。でも、そんな昔のちょっとばかりの経験はあまり役には立ちませんでしたねぇ。

去年は子供が一人転んで
皆に踏みにじられたことがあったっけ
 当初の計画では、一口サイズの小さいものを作ろうという考えでした。そうすれば子供もすぐに食べ終えるので口の周りをベタつかせることもないし、作る方にしても数がさばけるので、お客が殺到しても行列が短くて済むという利点があります。
 ところがねぇ、小さいのって意外に作り難いんですね。芯になる割りばしにふわっと巻き付けるのが難しんです。多少のわたあめが少しキツめに巻き付けば後は何とかなるんですけすが、つまり、一口サイズの分量を越えてからがようやくわたあめらしい形になるんです。
 会長さんと二人でやっているうちに副園長先生も「ぼくも昔やったことがあるんですよ」と応援(または面白がって)に仲間入り。で、こちらも慣れてきて余裕ができた上に、副園長先生が結構大きいものを作るものだから、一口サイズという目安はどこへやら・・・最初に買った子供と後半以降では倍くらい大きさが違ったのではないかなぁ。

 雨はやんで、屋外でのイベントが予定通り、時間だけは4時間繰り上げで進んでゆきます。こりゃぁかえって強行して良かったかもね。夕方明るいうちに片付けまで終わってしまうじゃないの(でも、花火はつまらんだろうな)。
 途中、子供たちが御神輿をかつぐ時は見に行ったほかはプログラムの進行も判らずにわたあめ作りに精を出して、知り合いのお母さんたちには「お宅は役員じゃなかったよね」と怪訝な顔をされてボランティアで頑張るお父さんのイメージを売り込んだけど、母ちゃんには「いいカッコして、ほとんど子供の面倒見てくれなかったわね」と真実を見抜かれてしまったのでありました。
 しかし、昼飯食わずに来いという連絡は罪だなぁ。おかげで例年なら最後に売れ残るはずの焼きソバが早々に売り切れてしまい、父ちゃんの昼食は試作品のわたあめとPTA会長が差し入れてくれたカキ氷、それに母ちゃんが確保してくれたウインナーだけだった。なんで毎年「お願いですから買ってください」の焼きソバがすぐになくなったの?・・・園長先生に聞いたら「今年は雨の中で強行することにしたから、仕入れを半分にした」んだって。