《2000.01》
献血ドナーを増やすには

 冬になると献血をする人(ドナー)の数が減るそうです。寒い季節だから、まず出かける人そのものが少なくなるということがありますね。出かける人だって厚着や重ね着をしているので、献血のために上着を脱いだり腕まくりが面倒だったりして足が遠のくのでしょう。それで日本赤十字社では冬場のドナー獲得のキャンペーンとして『二十歳(はたち)の献血』をやっているようです。ちょうど成人式の季節なので、新成人にも社会参加をしてもらいたいというキャンペーンの意味も合わせているけど、ホンネは何歳の人でもいいから献血してくれということでしょうね。成人式帰りの振り袖の娘さんが採血ベッドに横になるわけにはいきませんものね(でも、腕まくりはしやすいだろうなぁ)。
 埼玉県の我が田舎町でも成人の日に『献血フェスタ』というのがありました。ショッピングセンターの入口前に献血車を持って来てというのは昨年の成人の日と同じだったのですが・・・

 なんと今年は入口から続くイベントホールで『 救急戦隊ゴーゴーファイブ ショー』というのを開催したのです。こういう催しはショッピングセンターの売り出しや住宅展示場の客寄せなどでよくやっていますが、まさか日赤が献血の呼びかけにとは。
 さすがにイベントの最初には血液センター所長の挨拶というセレモニーがありますが、「献血クイズ」の後はお待ちかねのヒーローショー、買い物に訪れた親子連れの足が止まります。
 さて、ショーの後はお約束の「写真撮影会」。これはよくあるパターンです。が、ヒーローと一緒にポラロイド写真を撮ってもらうための整理券は「献血をした人」に配られたのです。そのほか受付をした人にはサイン入り色紙が配られていて(血圧や比重が足りずに意志があっても献血できない人がいるからね)、たまたま買い物に来てヒーローショーを見ている親子連れは「これ、どうやったらもらえるんですか?」などと訊ねたりしているのだけど、このショーは3回上演なのですね。今ここで事情が判った人は、次のショーが始まるまでに献血にご協力ください、ってわけでしょうか。
 子供が写真を欲しがって駄々をこねたら、親は献血せざるを得ないのかなぁ。だとしたら日赤のマーケッティング戦略はたいしたものですね。

 え? 我が家はどうしたかって? あのね、父ちゃんの趣味は献血なんですよ。ヒーローショーがあろうとなかろうと駆けつけて献血したのは言うまでもありません。年の初めにふさわしく、新しい献血手帳に101回目のスタンプを押してもらいました。父ちゃんの場合、自分の血液が人のために役立つということよりも、スタンプ帳の升目が埋まってゆくことが楽しいみたいです。昔からラジオ体操の出席カードやユースホステルの会員証(今は宿泊スタンプは押さなくても良いらしい)とか、ハンコをもらうものが好きだしなぁ。
 今回は母ちゃんも献血したので、我が家は難なく2枚の整理券を手に入れ、子供たち一人ずつが写真を撮ることができたのですが、むしろ子供たちの方が照れて「嫌だ嫌だ」と遠慮してました。そういや、去年も献血した人に写真のサービスをやっていましたね。あらかじめカレンダーを焼き込んであるポラロイドのフィルムを使ってその人の顔写真を取り、オリジナルのポートレートカレンダーを作るというやつ。カレンダーは6月までしか載っていなかったけど、年末の大掃除の時までトイレの棚に置いてあったっけ。

 そうそう、献血者への記念品や、献血クイズの正答者への賞品として渡された チョロQ の献血車には感動しました。チョロQとして献血車があるのではなく、一般のバスとして作られたものにシールを貼って献血車化しているのです。ちゃんと「埼玉県熊谷赤十字献血センター」の文字が入っているのには恐れ入りました。

 日赤の献血事業は、短期的には親への影響力を考え、長期的には将来のドナー養成を考え、子供をターゲットにしているような気がします。