《2000.02》
春菜登場、ぺんて君は楽隠居?

AOpen AX6BC TypeR
 先日、パソコンを新しくしました。今まで使っていたマシンは、CPUにペンティアム60MHz(66MHzではない)を採用し、買ったときこそかなりの高性能だったのですが、その後次々と高速マシンが登場し、かつまたそれに合わせたアプリケーションの高度化に着いてゆけない状況になってきたのですね。メモリを増やしたりHDDを増設したけど、スイッチを入れてから使えるようになるまで8分近くかかっていたのは、朝起きてちょっとメールチェックというわけにゆかず、その間歯を磨いたり髭を剃ったりして時間つぶししなくてはならないのです。
 そろそろ買い替えかなぁ・・・と思ったところで先立つものが無い。と、ため息をついていたら目の前に10万円が現れた。あ、いや、これとてワケあって解約した定期預金の一部でありまして、本来なら再預金するべき性格のもの。しかし、目の前にある現金の誘惑には勝てない。よし、これでパソコン買ってしまおう!

 買い替えを意識し始めた昨年秋から、候補をいろいろ検討していたのですね。プライベートで10年近くパソコンを使っていれば、だいたい自分の使い方というものが決まってくる。インターネットやパソコン通信、それにワープロや表計算、あとホームページの素材作りに画像が少々快適に扱えればいい。アプリケーションは、よく使うものはすでに持っているので(マシン1台につき1ライセンスというのは別として)、プリインストールされている必要は無い。
 ということを考え合わせると、いわゆる10万円パソコンというのが予算的にも条件にぴったりなのですね。しかし、そう次々と買い替えられるものではないから少しは背伸びしたスペックも欲しい・・・などなど考えながら、年末あたりは GATEWAYDELL のウェブサイトでBTOパソコンのパーツの組み合わせを選んでシミュレーションしていたのですが、どうもちょっと予算オーバーになってしまうのですね。
 そんなある日、たまたま読んでいたパソコン雑誌の広告で 「組み立てキット」を扱っているショップの 広告が目にとまりました。それまで「自作」というのはあまり意識したことはなく、それにネジやケーブルなど小物パーツを遺漏無く揃えるのは気配りが大変だなとか思っていたのですが、これはキットなので全部揃えてくれる。それにキットとはいえパーツの選択肢が多く、自分で納得のゆく(あるいは諦めのつく)物が手に入れられそうです。CPUがPentiumIII・500MHz、メモリは128MBでHDDは13.6GB・7200rpmというのは10万円パソコンよりもワンランク上の仕様。この線を維持して、あとは安い部品で固めることにしようと思い、ショップと交渉することにしました。

「あ、PentiumIII・500MHzなんですけど、今ちょっと在庫切れで、これで注文受けると納期が判らなくなってしまうんですよ。Cerelon500なら明日出荷できて8,000円安くなりますが・・・」
「べつに急いでいるわけでもないしなぁ・・・でも、インターネットくらいにしか使わないからそれでもいいか」
「7,000円安でCerelon550というのもありますが・・・」
「500と550で、1,000円差ほどの違いを感じるかねぇ」
「いや、判らないでしょう (^^ゞ」
「だったら500でいいよ」

 今回これは贅沢しようと思っていたDVD-ROMも、やっぱり在庫切れとのことで、今後の増設でつけることにしたけど、後から考えるとやめて大正解ですね。というのも家にはテレビ、ビデオ、レーザーディスクがあるけど、全然使っていないからなぁ。ビデオはテレビ番組のタイマー録画をしたもののまだ一度も見ていないものが50本以上もある。DVD-ROMを買っても、当初面白がって1、2回ほど見てそれっきりになることだろう。それなら本当に必要になったときに買えばいい。きっとその頃にはもっと安くなっているだろうしね(^^)。
CPUの取り付けは力とコツが要った

「今つけないとしても、DVD再生を考えているなら、このビデオカードがお勧めですよ」 と店員がアドバイスしてくれたビデオカードは標準品より500円安くなる。安くなるなら大歓迎だ。
「あと、メニューの選択肢には無いんですが、CD-ROMを32倍速にすると1,000円安くなります」
どうせソフトのインストールくらいにしか使わないのだから、それでいい、いい。
 マザーボードもグレードをワンランク落とし(クロックアップや電圧変更が簡単にできるといっても、そっち方面にはあまり興味が無いのだ)、おおむね気に入ったものでまとめた結果でも8万円台で収まりました(ギリギリだったけど)。でも、ディスプレイとスピーカー(これは別の店で980円のものを買った)は別だし、OSも無い。それにこまごまとしたアクセサリーパーツや、せっかくの新パソコンだからと新しく導入するアプリもあるだろうから、やっぱりトータルでは結構かかってしまうなぁ。

 数日後(休日に合わせて期日指定しておいた)、パソコンが届きました。梱包を解いてみると中に大小の箱が入っていて、思わずにんまり。一番大きな箱は当然ケースなのだけど、出してみると雑誌広告に載っていたものとは違っていた。広告写真のものは5インチベイが4個あったのだが、これは3個しかない。しかしまあ4つをフルに使う予定も無いし、このケースは仕上げの質感がいい(iMacカラーの化粧パネルはあまり好きではないが)。それにいまどきの電源にしては珍しくサービスコンセントが付いており、テーブルタップが一口儲かるのは気に入りました。
 中身を確認したあと熊谷にディスプレイを買いに行く。秋葉原と価格が変わらなかったので、だったら送料のかからない地元で買うほうがいい。ソニーのFDトリニトロン17インチが4万円を切るのだから、パソコン関連の価格破壊は恐ろしいものがある。しかし、どうしてMOドライブはちっとも安くならないのだろう。

 さて、組み立て。今までのパソコンも、そもそも買ったときにサウンドカードとCD-ROMを自分で取り付けたわけだし、その後いろいろ拡張しているので初めての自作マシンだからといって特に難しいことは何も無く、ペーパークラフトを作るより遥かに簡単に組み立てられた。緊張したのは火入れの瞬間。ショップの店員は、マザーボードのCMOSリセットが重要な作業だと強調していたけど、それもうまくできたらしく、新パソコンは起動した。あとはHDDの領域確保だフォーマットだ、OSのインストールだ、ドライバのセットアップだという一連の作業。CPUが高速なのか、当事者が夢中になっているのか、きっと両方なのだろうけどあっという間に終わってしまい。自作パソコンが誕生した・・・ただし、これはまだ仮組状態。
 まったく新規にパソコンを買ったのとは違い、これまでのデータの蓄積などを移行しなければならない。とうとう頭に「旧」という冠がつくことになった『ぺんて君』で使っていたアプリケーションやデータ類をMOに退避させて引越しの準備。これを一週間かけてやっていたのだけど、最後のほうは面倒くさくなって、『ぺんて君』本来の、そして数年前に第2ドライブに降格した420MBのHDDにコピーして、それを丸ごと新パソコンに移すことにしました。

 で、次の週末、いよいよ本組み立てなのですね。『ぺんて君』からSCSI、モデム、パラレルポートの各カードを取り外し、新パソコンに持ってくる。このパラレルポートカードが使いたいがために、新パソコンもISAソケットのあるマザーボードでなくてはならないわけで、これが乗り換えユーザーの辛いところなのですね。これから新規に周辺機器も揃えようという人は、そんなことは一切気にすることなく、USBポートがついてさえいればいいものね。
仮組み状態
名前はまだ無い
 ところが、増設した拡張カードを認識してくれない。パラレルカードは問題なかったけど、SCSIカードとモデムカードが駄目。モデムカードは最初「シリアル機器」として認識していたのを、ハードウェアの検出を使ってなんとか「なぁんだ、モデムじゃないか」と納得させたのですが、SCSIカードはまるで駄目。電源を入れたときにBIOSでは認識しているのに、Windowsでは無視・・・『ぺんて君』ではこの逆で、BIOS段階で認識してくれず、でもまぁWindowsで認識しているから実用上問題なかったのですけどね。
 結局、Windowsを再インストールすることで解決しました。どうせだからHDDも再フォーマットして・・・ううむ、なんだかもう一回作り直したような気分だ。
 あとはアプリケーションのセットアップ。特にパソコン通信関係は毎日アクセスしているので、この日のうちに新しいパソコンで引き継がなくては。とアセっているのにオートパイロットソフトの設定がうまくいかない。前と同じようにしているつもりなのだけど、何か漏れている感じで、エラーになってしまうのです。過去ログを探して同様の話題を見つけたら「レジストリエディタを使って、前のをそのままコピーせよ」とのことなので『ぺんて君』から持ってきたら見事に解決。なぁるほど。

 とまぁ、こういうことをやっていて気づいたのですが、父ちゃんはパソコンを使って何かをやるというよりも、パソコンそのものを触っているほうが楽しいみたい。ハードウェアやソフトウェアのセットアップが楽しみで、特にうまく行かないときは目の色変えて夢中になるタイプみたい。
ふだんは古新聞や洗濯物の山の中
 しかし、それやこれやでようやく新パソコンが軌道に乗ってきたある日の朝、突然ブツッと音がしてディスプレイが真っ暗に。けなげに自力で電源オンを試みるのだけど、次の瞬間には切れてしまう。1秒間に3〜4回もプツプツと電源オンオフを繰り返している様は「断末魔のけいれん」みたい。今回のパソコンは自作だったので何かトラブルが起きるかと思っていたけど、自作とは関係ない部分で起きてしまったのです。
 保証書には「出張修理」と書いてあったけどサービスセンターに電話をしたら(日曜でもやっていた、偉いぞソニー)「パソコン関連は預からせていただきます」と言われ、月曜日に係の者が取りに伺うとのこと。子供の頃、家のテレビが故障したときなど、電器屋のおじさんがやってきてテレビの裏蓋を開け、なにやらネジを回して調整したり真空管を取り替えたりして修理してくれたのを魔法のように見ていたものだけど、現代の電子機器はすべてブラックボックス、感動は味わえないらしい。
 ところで、購入して4週間目で壊れたディスプレイは3週間も入院する羽目になってしまった。そんなに複雑怪奇な故障だったのかと思ったら「まだ新しい商品なので、サービスセンターに部品が回ってこない」のが長引いた理由だったとか。売ることばっかりに夢中になるな、さっき誉めたけど取り消すぞソニーなのである。

 そんなわけで3週間は『ぺんて君』のディスプレイを借りていて彼もどうすることもできなかったのですが、いちおう再利用しております。起動が遅くなった原因は多年にわたる使用でレジストリが肥大化したりHDDを圧縮ドライブにして使っていた(そんなにいろんなアプリを使っているつもりはないのに、1.2GMBのHDDを圧縮して、さらにそれさえもパンク寸前だった)こともあるみたいなので、再フォーマットしてシンプルな構成にしました。これを母ちゃんと子供たち用にして居間に置いて使うことにしたら・・・ははは、昨年捨てようとしてそのまま残しておいた電子レンジ台がちょうどいいパソコンラックになってしまいました。これまで活躍してくれた『ぺんて君』はまだまだ現役で、でも少し楽をして過ごしてもらうことにしましょう。

 さてさて、新しいパソコンのネーミングです。初代が『だいな君』(ダイナブックSX001)、次が『ぺんて君』(アメリカ製のペンティアムマシン)、勤め先からの貸与品が『リブロ君』(リブレット20)と続いていて、東芝系はメーカーがつけた愛称をもじったものですが、特に愛称の無いものはCPUに由来する傾向にあるようです。すると今度は『セレロ君』になりそうなのですが、発音しづらいし、今回は本体にオリジナルのエンブレムもつけようかなどとたくらんでいて( 「光るエンブレム作成キット」 なるものも買ってしまった)、いろいろ考えているうちに、ひょんなことから『春菜』と名づけてしまいました。
 ここでもう気づいた人もいるかも知れませんが、このあいだオンラインソフトを特集した雑誌でデスクトップアクセサリーというジャンルのソフトを知り、その中で 『ペルソナウェア』 というものに興味を持ったのですね。デスクトップにペルソナと名づけたキャラクターを常駐させ、それが時おり話し掛けてきたり時報を伝えたりするのですが、このキャラクターの名前が『春菜』というのです(ペルソナウェア自体はペルソナを制御するソフトで、インターフェースが公開されているので誰でもペルソナを作ることができるらしい)。パソコンの性能がよくなった余裕から、これをインストールしてみたら結構面白いので気に入ってしまい、このキャラクターを新パソコンの化身に見立てて『春菜』と呼ぶことにしました。
 中年のオジさんのデスクトップに若い女性のキャラクターがいて、それが話し掛けてくるというのは、ちょっとアブナイものがあるかとも思うのですが(^^ゞ