《2000.05》
長者の森、ふたたび

「ゴールデンウィークはどうするの? キャンプ?」
「・・・うん、やっぱりそうだな」
「どこへ行く? 長者の森にする?」

 母ちゃんに畳み掛けられるように尋ねられても、父ちゃんは生返事です。スキーの季節もそうだったけど、父ちゃんは出かけるまでがものぐさというか億劫なのですね。それにキャンプといえば野外でやるもの。当日の朝の天気次第で、とまではゆかなくても、せめて週間予報を見てから予定を決めたいではありませんか。「晴れた日を選んでキャンプに行くなんて軟弱な」と思われるかも知れないけど、あくまでレジャー、家族の楽しみでやっているのですから無理してまで行くことはないと思いませんか。
 とはいうものの、人気キャンプ場は予約が必要。かくいう我が家も、かつてとあるキャンプ場に8月の夏休みの予約をするために受付開始日の2月1日に電話をしたら、受話器からは「おかけになった地域はただいま電話がかかりにくくなっています」というNTTのメッセージ。そんな経験があるから、やっぱり予約は必要かなと母ちゃんに頼んだら、一ヶ月前の電話だったけど(現地はまだ人がいないので役場に電話するということは昨年学習しました)あっさり予約が取れました。
 長者の森のオートキャンプサイトは一昨年にできたばっかりのせいか、今年書店に出回っているガイド本でも載っているものがほとんどないので、まだ知られていない穴場なんでしょうかねぇ。いや、キャンプ場が知られていないのではなく「夜は寒い」という情報が行き渡っているのかも知れません・・・去年の経験では我慢できないほどではなかったんだけどね。しかし、真夏でもあの調子だとしたら堪らないだろうなぁ。でもって今年は日光もそうだったけど雪が多く春の訪れが遅いようなので、去年の経験も踏まえて寒さ対策をきっちりしなければ・・・こりゃぁ、ついにRV-BOXの3連装かな。
赤いのは『コレットボックス』
半分サイズは『RV-BOX400』

 RV-BOXというのはアイリスオーヤマという会社がずいぶん前に売り出したプラスチックのコンテナのことです。重ねられないという欠点があるにもかかわらず、頑丈そうな雰囲気が人気を呼んだのかヒット商品となってホームセンターの売り出しの目玉になったり、またメーカーも色や形のバリエーションを展開したわけです・・・最近はようやく人気が下火になってきたようですが、なんとメーカーは今年(ひょっとすると昨年)トランスルーセント、いわゆる半透明のiマックカラーバージョンを出してきました・・・しかし、これじゃ以前愛用していた衣装ケースではないか。
この次のキャンプですごい発見をすることになる
 で、カー用品メーカーのカーメイト社から出ているRV-INNOブランドのルーフラックにこれを3個載せてしまおうというのを「RV-BOX3連装」と呼ぶのですが、RV-BOXは上が広がった台形をしています。そのため、これを3個並べようとすると底辺はいいけど、上辺はラックの長さを越えてしまい、やや扇型になったところをベルトできつく締めていた人がいました。
 実はこれについて父ちゃんは一つのアイデアを持っていたのですが、これまでRV-BOX2連装で済んでいたので実施する機会が無かったのです。しかし、子供たちが大きくなるにつれて座席の間に荷物を積めなくなったり、その子供たちの衣類が増えたりで、ついに我が家も3連装が必要になってしまいました(RV−BOX自体は何年も前から色違いサイズ違いも含めて6個持っていたりする)。
 アイデアというのは単純で、「真ん中の1個を逆さまにする」だけのことなんです。こうすれば上辺と下辺の長さの差が小さくなり、RV-BOX同士も密着するように積めるので、安定が良くなるはずなのです。もちろん、逆さまにしても平気な衣類やシュラフなどを中に詰めるんですよ。
 ただ、これにはひとつ欠点があって、雨が降ると中に浸入する恐れがあるということなのです。帰りはともかく往きに衣類などを濡らしたくはないのでゴールデンウイークの天気予報が気になるところなのですが、いよいよ近づくにつれて、どうやら我が家のキャンプ期間中は2泊3日の最終日が雨ということになりそうです。あ、去年もそうだったなぁ。
 しかし予報はあくまで予報、実際にはどういうことになるのか・・・


 さて、いよいよ当日。天気は少々曇り加減で、ときおり霧雨のようなものが。しかしこれくらいなら雨のうちに入らない、と予定通りに荷物を積み込んで出発です。
 今年のルートは児玉から高速道路にもR254にも入らずにそのまま鬼石まで行き、神流川(かんながわ)を遡上する形で進みます。上野村からぶどう峠を越えてしまおうというのが予定のコースなのです。これが最短ルートだし、しかも渋滞の心配がない・・・ただし道が少々・・・
 父ちゃんは昔、鬼石の下久保ダム周辺はよく来ていたし、一時は上野村にも足繁く通ったことがあったので。当時は道の狭いところがずいぶんとあって、あのころは軽自動車を使っていたのですが、対向車が来るとすれ違うのにあせったりしたものです。もっとも、当時から広くてカーブの少ない道が建設中で部分的に走れたのですが、今では全部できあがっていることでしょう。

 下久保ダムを過ぎ、ダム湖に沿ってカーブの続く道を走っていると、クルマの屋根のほうでギシギシ音がしてきます。やっぱりRV-BOX3連装は負担がかかるかなぁ。パッキングの手違いでちょっと重たいものを中に入れてしまったし。
 まぁそれほど急ぐ旅でもない(キャンプ場は15時チェックインだ)、新緑の景色を楽しみながらノンビリ行こうではありませんか・・・と言っているうちに万場町。今回このルートを取ったのは近道というだけではなく、この万場で鯉のぼり祭り、今は『鯉のぼりフェスティバルIN万場』というイベントが開催されていて、休憩を兼ねてこれを見てゆこうというのも目的のひとつだったのですね。父ちゃんと母ちゃんは前に一度来たことがあるけど、子供たちは初めて・・・ということは万場に来るのも8年ぶりか9年ぶりということになりますね。
 万場の鯉のぼり祭りは今年で20年目だそうで、いまや各地で谷間や川に家庭で使われなくなった鯉のぼりを集めて泳がせるイベントが行われていますが、ここは元祖に近いでしょう。この山向こうにある甘楽町も同じような頃からやっていますね。
 子供たちは鯉のぼりがいっぱい泳いでいることよりも露店のほうに目を奪われて「あれ欲しい」「これ買って」の連発。昼食はこの先で改めて食べたいので、ここで何か食べさせるとタイミングが狂ってしまう・・・けど、お祭りだもんな、仕方ない。

 予定よりもゆっくりして、クルマはさらに神流川に沿って上流へ。中里村で国道299号と合流し、これより先の道はホント、佐久から十石峠越えで帰ってきて以来だから10年ぶりくらいかな・・・と懐かしがっているのは父ちゃんと母ちゃんだけで、子供たちは「お腹すいた〜」。さっき万場で飲み食いしたばっかりだろうが。
 道の駅にあった食堂で昼食。物産館やら銀行のATM、ずいぶん様子が変わってしまったけど、10数年前の8月、昼食を食べたのもやっぱりここだったのかなぁ。あの日は店の人が自衛隊員に届ける弁当を作るのに忙しく働いていて、父ちゃんと友人は、これより先へ進むことを断念して、手前にあるキャンプ場に行ったのでした(当時は地元の自治会が管理していて、自治会長の家に利用料を払いに行ったっけ)。
 ここから先は以前の、それこそ軽自動車でも狭く感じた(しかしバスが走っている)道とは谷を挟んで新しい道ができあがっていました。だから10数年前に上野村に何度も遊びに行った頃の記憶が蘇ることもなく、初めてのコースをドライブしている気分。道路沿いに農協のストアを見つけて、今回は鬼石を過ぎたら大きな店は無いと思っていただけに嬉しい誤算、足りなかった食糧を買い足して、これでキャンプ場から出なくても2泊3日は過ごせるな。
 上野村の奥、浜平地区までやってくると、鉱泉宿の建物などは見覚えがあるものの、道路がすっかりきれいになっているので、記憶が一致しない。あの年の春、この先の川の脇がとても幻想的な風景だったので、夏になったらここでキャンプをしようと決めていたのですね。ところが、いよいよキャンプに行く前の晩、この山に日航のジャンボ機が墜落してしまったのです。
 まさかそんなときに御巣鷹山の麓でキャンプをするわけには行かず、上野村の入り口近くにある町内会キャンプ場に行き先を変更したのでした。村の真ん中にある川和キャンプ場で小学生を集めたキャンプをやっていた群馬のボランティアグループもこちらに移動してきて、ふだんはほとんど利用者の無いはずの小さなキャンプ場が、急に賑やかになったものです。
ぶどう峠付近から八ヶ岳を見る(晴天時の予想図byカシミール3D)

 ということを思い出しても、肝心の幻想的な川辺の景色の場所がどこだったのかが判らない。判らないながらも道端の所々にクルマが停まっていて、山菜取りか水際のバーベキューかな、きっとこのあたりのどこかだったのだろうと納得しながら、クルマはぶどう峠に向かって登ってゆきます。
 以前走った十石峠に比べると、あちらは狭いダートが続いたけど、こちらはほとんどの区間ですれ違い可能、しかも全線舗装(一部剥げている区間もあったけど)。どんな山道を通ってゆくのだろうと不安だった母ちゃんも、意外なほど対向車がやって来るので「ずいぶん通る人がいるのね」
 どうもこんなところを走るのは我が家だけで、もし事故や故障があった場合、どうやって助けを求めるか心配していたらしい。

 とか何とか言っているうちにぶどう峠、霧雨が降ってはいたけど長野県側に広がる景色が素晴らしいです。
 で、坂道を下ってゆくと、それこそあっという間に長者の森の入り口なのです。我が家からの距離がジャスト90km、去年の往路より30km以上も近道だったということですね。


 時計を見ると2時、万場や上野村でゆっくりしてきたのですが、それでも思った以上に早く着いてしまいした。というのも、ここのキャンプ場はチェックインが3時なのです。管理棟に行ったら、私は食堂のほうの担当よ、みたいなオバサンが「3時になったら来てね」みたいなことを言う。
 でもね、この『長者の森』というのは総合野外レクリエーション施設で、テニスコートや遊具、バーベキューなど、受付やら用具の返却でしょっちゅう人が受付に行っているのですね。しばらくたってもう一度管理棟に行ったら、今度は私が受付担当ですみたいなオバサンが戻っていて「あ、いいですよ」とオートキャンプのチェックインをしてくれました。
「今、こういうふうに人が入っているの。わたなべサンはどこを選びます?」と本日のサイト割り図を見せてくれます。こういうのってうれしいですね。見るとまだガラガラで選び放題に近い。ええっと子供がいるから水場やトイレに近いところがいいなぁ、おっと、ここは去年シャワーのボイラーの音がうるさくて眠れなかった・・・などと考えてほどほどの場所を選びます。おかげで10リットルのポリタンを2個も持ってきたのに全く使うことなく済むのでありました。
 ここは総合レクリエーション施設と言ったけど、オートキャンプ場は後から作られたせいか、管理棟やその他の施設から離れたところにあるのですね(人力で道具を運ぶキャンプ場はロッジの裏手にあり)。だから更にクルマで移動・・・子供たちは昼食を食べた後満足したのか、ぶどう峠の手前から眠りこけている。いつもテント張りを手伝いたがる颯には悪いけど、寝かしたまま設営してしまおう。
 しかし、よくキャンプの入門書などには「テントの入り口は風下に向けましょう」なんて書いてあるけど、こんなふうにキチンと区画分けされたオートキャンプ場では厳密に考えなくなりましたね。通路や他のサイトからの視線の考慮が優先してしまいます。
 ここはまさに絵に描いたようにきちんとしたオートキャンプ場です。きちんと区画が分けられ、通路や駐車スペースはアスファルト。立派なサニタリー棟と、炊事棟。さぞかしコンサルタントに大金を払ったことでしょう。民間、とくに個人の経営ではとても作れないだろうな。作れたにしても、1泊3,500円では提供できないでしょう。  こんな立派で広いキャンプ場をわずか30サイトで使って、しかもそれが半分も埋まっていない・・・贅沢な気分です。

 ここで余談になりますが、父ちゃんはキャンプに来るちょっと前に携帯電話をcdmaOneに替えました。「電波が途切れにくい」「音がいい」「高速データ通信ができる」などの特徴があるのですが、父ちゃんが選んだ理由は「通話エリアが広い」ということ。なにせそれまで使っていたIDOのPDC方式の携帯ときたら、行く先々で『圏外』。旅行中こそ携帯電話が必要なのに、使い物にならないのです。だったら全国の市町村を制覇したドコモにすればいいのだろうけど(こちらが『圏外』で悔しがっている時に限って、たいてい目の前にドコモの基地局が立っているのはどういう因縁なんだ)、ふだん携帯電話を使う機会が少ないので高い料金を払ってまでドコモは持ちたくないのですね。
朝は寒いなぁ
 しかし、IDOも今後はcdmaOneに力を入れて行くだろうから、PDC方式の通話エリアが広がる見込みは無いでしょう。それで電話機を替えたのですが、さっそくこのキャンプ場で使えたのでビックリしました。IDOのパンフレットを見ていたら、通話エリアが国道141号線から北相木村の奥に向かってヒョロヒョロっと伸びているので「もしや」と思っていたのですが(PDC方式は141号沿いのみ)、家を出て30分で『圏外』に入り、一番山奥に着いた途端につながるようになったというのも不思議な感じですね。
 あ、そうだ。だったら父ちゃんがふらふら遊びに行っても「ご飯ですよ〜」って呼び出すことができますね。さっそく試してみようとサニタリー棟にあるピンク電話にコインを入れて・・・なんと、発信規制がされていて、このピンク電話から携帯電話には通話できないのでありました(九州の市外局番があるので「09」まではいいけど、このあと「0」をプッシュすると「通話できません」というメッセージが流れる)。

 さて、初日の晩は焼き鳥です。去年の秋に『ユニセラ』を持ち出したら、この便利さ嬉しさはたまりませんね。それに我が家は涼しい季節にキャンプをすることが多いので、これは暖房器具でもあります。
 食べ終わった串を焼却処分できるのも便利・・・と思っていたら、調子に乗って串の数が増え、煙もくもくでスクリーンテントの中が燻室状態。あやうく生きた人間のスモークを作ってしまうところでした。

 テント内に炭火というわけにはいかないので、こちらは『ワームII』で少し暖めたのですが、我が家のテントは天井が高いから、肝心の人が眠る床付近はあまり恩恵が受けられない。それでも去年よりは多少ましかなぁと思って寝たのでありましたが・・・
「そんなことはないよ、去年より今年のほうが寒いよ」と朝起きて言ったのが母ちゃん。外に出て見るとクルマもテントも霜で真っ白で、どうやら父ちゃんが暖かく感じたのは衣類やシュラフの調整が去年より良かっただけのことみたいです。
 しばらく前に近くの駒出池キャンプ場で水が凍ったという話を聞いていたのを思い出したので、次の晩にコップに水を入れて外に出していたのですが、変化はありませんでした。2日目の晩は初日より気温が高かったかな・・・近くのサイトの人が「寒くて眠れなかった」とぼやいていましたが。我が家と同じ時期に駒出池に泊まった人の話では、マイナス4度までさがったらしいです。ううむ、あっちはもっと寒かったみたい。それにしても我が家も温度計持って来ればよかったなと思いましたね。去年の夏、部屋の中があまりに暑くなるので最高最低温度計を買ったのでした。


勇んで中に入ったのですが・・・
 話が行ったり来たりしますが、2日目の過ごし方です。ここは長大な滑り台があって、子供たちもそれが楽しみだったのですが、あえて初日は使わせなかったのですね(ときおり降った雨で濡れていたし、夕食前のわずかな時間で料金を払うのも勿体なかったから)。だから好転に恵まれたこの日は、霜も消えたのでスクリーンテントの外で朝食をとり、片付けるのももどかしくダッシュ!
 滑り台の利用料金は2時間200円。1回いくらというのではなく、時間だってタイムスタンプで管理しているわけではないので、ズルすれば一日中滑っていられるのですが(昨年、作るのに一億円かかったというような話を聞いたけど、とても回収する気があるとは思えませんね)、父ちゃんのホンネは「1,000円払ってもいいからリフトをつけてくれ」
 たしかに全長230メートルを滑っている間は爽快ですが、スタート地点まで登ると汗が噴きだし膝が震えてしまうのです・・・ううむ、日頃の運動不足が。

 もっとも、あれだけ楽しみにしていた颯でさえ、去年は5回滑ったというのに、3回ほどで「もういい、今度は迷路をやる」
 ここの迷路の特徴は「斜面に設置されている」ということなんです。で、入り口に書いてある注意事項に「4.平衡感覚がなくなり気分が悪くなる場合もあります」とあるのですが、まさにその通りですね。中に一歩入った途端にクラクラ。気を緩めるとフラフラとよろめいて谷側の壁にぶつかってしまうのです。じっと立っているだけでも「地面に対して垂直」と「地球の中心に対して垂直」が身体の中で交錯して胸がムカムカするのを抑えながら、坂道を登ったり、下りでは勢いづいて壁に叩きつけられたりしながら、それでも迷路としては比較的簡単に出口にたどり着くことができました・・・あれっ?
 管理棟で買った入場券はスタンプカードを兼ねていて、全部揃えると「信州長者の森」という言葉になるらしいのです。ところが、入り口の脇にあったのが「州」で、出口にあったのが「の」・・・実は家に帰った後カードを無くしてしまったので本当にそうだったか怪しいのですが、「信」で始まり「森」で終わるようになっていなかったのは間違いありません。つまり順番にスタンプを見つけてゆけば出口に近づけるというようにはなっていなかったのですね。そして、我が家が見つけたスタンプはこの2個だけだったのでした。
 だから出口に着いたときも「えっ、まさか?」。てっきり壁が壊れていて外に出られるようになっているだけで、本当の出口は別の場所ではないかと思ったくらいなのですね。
 迷路から出て東屋で休んでいたら誰かが落としていったらしいカードがあって、それには6個のスタンプがすべて押されていましたから、あの迷路の中をくまなく歩き回ったら他のスタンプも見つけられたのかもしれませんね。でも、とてもじゃないけど長い時間あの中にはいられませんよ。一刻も早く外に出たくなるから。それに、迷路って早く出口に着くのが目的だとは思いませんか?

 一休みしたらまた元気が出てきて滑り台にチャレンジ。滑り台の料金を払うと、お尻の下に敷くマットと軍手を貸してくれるのですが、迷路に入るときに返さずにいて正解です。たっぷり滑って200円のモトは充分とったなと思えたのでした。
フキノトウは花の盛りを過ぎていた

 遊具で遊んでばかりというのも子供のご機嫌伺いみたいだし(父ちゃんも結構ハマッていましたが)、せっかくこんな山の中に来ているのだから、午後はハイキングをしようと渋る子供たちの尻をたたきながら渓流に沿って歩いてみました。
 いちおう遊歩道が作られているのですが、歩く人が少ないのかなぁ、それにシーズンが始まったばかりということもあって、ところどころ荒れています。遊歩道だからどこかで林道に合流するか、ぐるっとまわる形になるはずですが、なかなかそういう場所に出てこない。そのうち道が山に登る方向になり、ちょっと結衣が疲れてきたかな。
「こういうときはね、一番小さくて弱い人に合わせるんだよ」
 結衣を先頭に立てたら、当人は嬉しくなったのか得意がってスタスタ。今度は颯が 「おんぶ〜」
小さく我が家のテントが見える

 方角的には戻り方向に向かっているので安心はしているのですが、ずいぶん登ったなぁ。あれっ、下のほうにキャンプ場が小さく見えるぞ。ほら、あれがウチのテントだ。
 いくつか谷を回りこみ、名前が判らないけど綺麗な花を見つけたりしながら歩いているうちに御座山の登山道に合流し、コテージやマレットゴルフ場のあるゾーンに戻ってくることができました。やれやれ。

 オートキャンプ場まで戻ってくると颯がサニタリー棟まで走ってゆき「あ、開いてる!」
 サニタリー棟にはトイレだけではなく(このトイレが綺麗でね、夜は人が入ってゆくとセンサーが感知して自動的に洗面所の照明が点く。床には点字ブロック、便器には手すりとバリアフリー仕様。きっと、こういう設計にしないと国の補助金がもらえないのでしょうね)コインランドリーとシャワーがあって、颯は去年泊まった時からシャワーを使いたがっていたのです。しかし、コインシャワーというのはせわしなくて落ち着かないし、それにだいいち夜は寒いのでシャワーを浴びたら風邪をひいてしまいそうなのです。 「だったら昼間入ろうよ」
 というのが今年の颯の言い分だったのですが、どういうわけだか昨日は昼間鍵がかかっていて使えなかったのですね。この日の午前中もそうでした。
 ところが、ハイキングから戻ってきたら鍵が開いていて、颯がそれを発見して喜んでいる目の前を一人の男性がバスタオルを抱えて中に入って行く・・・じゃぁウチも入るか。テントに戻ってタオルと着替えを用意して脱衣場に入って行くと、さっきの男性が
「あ、今使おうとしたら水しか出ないんですよ。管理棟に電話したら見に来てくれるそうなんですけど」
 管理棟が遠いので、例の携帯電話にはかけられないピンク電話を使って連絡するのが便利なのですね・・・そうか、それが設置目的だったか。女性のシャワー室に声をかけて母ちゃんや結衣にシャワーを使わないように指示して待つこと10数分、ようやくスタッフのオジさんが現れて、鍵を使って操作盤のスイッチを『無料』側に切り替えて4箇所あるシャワーをジャンジャン流し始めました。
「使う人がいないからパイプの中が冷めちゃっているんだ」
 オジさんが女性用のシャワー室を見に行っている間に1回分の時間が経ってしまったのですが、まだ水。勝手にボタンを押して更に流しつづけると、ようやく湯気が出てきた。戻ってきたオジさんはお湯が出るようになったのを確認してスイッチを『有料』に。
「もうしばらくはこのまま出るけど、止まったら今度はお金を入れて使ってね」
 あわてて颯と二人で服を脱いでシャワーの前に走ったけど、残念、止まってしまった。隣のシャワーはもう少しの間流れていたのでそちらに行けば良かったかな(^^ゞ

 長者の森は近くに日帰り温泉施設がないので味気ないシャワーで我慢することになったのですが、気がついたら2日目は1ミリもクルマを動かしていないのです。この中だけでたっぷりゆったり楽しめてしまうのがリゾートの良さなんでしょうね。長者の森で、財布の中はともかく、気分は豊かになれるような気がします。

 3日目の朝、霜で白くなったテントを乾かしながら撤収。このキャンプ場の欠点は温泉が近くに無いことと、3時チェックイン10時チェックアウトということですね。だからこそ連泊してゆったり気分にならなければ楽しめない。
 10時チェックアウトといっても、その後クルマを管理棟前の駐車場に移して日帰り客として遊んでゆくぶんには構わないだろうしね。


 ま、せっかく信州にきたのだから、お昼前から帰宅しなくても・・・と、例によって小諸方面に向かい、昨年オープンした『あぐりの湯こもろ』で温泉に使って食事をし、ここまできたのならやっぱり顔を出しておこうと小諸ユースに寄って(『あぐりの湯』の場所を訊くために電話したので、寄らずに帰るのも気が引ける)お茶とお菓子をご馳走になって・・・なんてことをやっていたもので、いよいよ家に向かっての帰り道では大渋滞に巻き込まれてしまうのです。20年前に「今日中に家に帰れるのかなぁ」と泣きたくなるような渋滞に巻き込まれたことがあったけど、あれ以来かもしれない。
 やっぱり、キャンプのときはそれだけに的を絞って行動したほうがいいかも。

 それにしても去年から信州の帰り道では渋滞に巻き込まれてばっかりだ。これからは「ぶどう峠越え」をメインルートにするようにコースを組み立てようかな。