《2000.06》
国境の長いトンネルを抜けると、

 6月のキャンプは・・・って、毎月1回行くと決めているわけじゃないけど、新潟県の六日町に行ってきました。「五十沢」と書いて「いかざわ」と読みます。
我が家はユニフレームの製品が多い

 このキャンプ、できれば当日の朝の天気を見てから予定を決めたい我が家としては珍しく4月の始めに予定が決まっていました。というのも、これはアウトドア用品のメーカーである『ユニフレーム』という会社がユーザーとの交流企画として催した「ネイチャーミーティング1st」というイベントだったのです。
 というわけで事前の申し込みが必要だったわけですが、同社のホームページで募集開始されるのを見つけるや否や「それっ」と申し込もうとしたところ、何故か画面の送信ボタンを押してもエラーになってしまう。困ったなぁと考えて思いついた方法がFAXソフトを使うということ。プリンタをFAXドライバに切り替えて「印刷」メニューからFAX送信したのですが、その前にプリンタを使ったときに「2枚ずつ印刷する」設定にしていたのが残っていて、申し込みフォームを2枚も送信してしまいました。
 夜更けに馬鹿な事をやっているなぁ。きっと、ユニフレーム社の人も「お馬鹿な奴」と思っていることだろうなと苦笑いしていたら、翌日「ネイチャーミーティング」という差出人からのメールが届いて、さっそく受付の返事をくれるとは気が利いていると感心しながら開いたら、
「・・・渡辺さんは参加してくれると思っておりました」
 うへぇ、なんじゃこれは?!

 メールの主はユニフレームのTさん(『BE−PAL』という雑誌の1999年3月号48ページに登場してます)で、一昨年の夏にFCAMPのイベントで面識を得た人なのですが、その時の印象と、その後カタログに付いていたアンケートハガキ・・・に商品の感想が書ききれないので封書で送ったことなんかで父ちゃんを覚えてくれていたんでしょうね。
 どうも我が家、いや父ちゃんは「ただの一ユーザー」とは思われていないのかな。母ちゃんに言わせると「きっと口うるさい客だと思っているわよ」

 さて、前置きが長くなったけど、いよいよ出発です。
 ところで、イベントが実施されるのは6月の第二土曜日からの1泊2日。子供の学校が休みだからこの日を選ぶ気持ちは判るのだけど、我が家は過去10年に7回この時期にキャンプに行って、晴れたのは去年だけ。今年だって、ほら、出発前から霧雨が。
 まぁ、国境の長いトンネルを抜けるとそこは曇りだと天気予報が言っているけど、2日目はたぶん駄目だろう。テントは濡れたまま持ち帰る覚悟で、今回はそれほど荷物はなかったのだけど、RV-BOX3連装にして帰路の濡れ物輸送に備えることにしますか。そういやTさんと知り合ったキャンプも北陸・東北を襲った大雨の影響で濡れテントを屋根に載せて帰ってきたっけ。あの時も高速道路は六日町ICを使ったんだ。
 ところで、RV-INNOのルーフラックは、前後両端のバーを床面とフラットにしたり、5cmくらい高い位置にして荷物の飛び出しを抑える形にもできるのですね。今回はポリタンを屋根に積まないことにしたので、ふと思いついてバーを高い位置にセットしたところ・・・まるで寸法を合わせたかのように我が家式RV-BOX3連装が収まったのでした。ベルトを通すのに苦労するくらいピッタリと。

 それやこれやで(毎度のことだけど)出発が予定よりも遅れ、SAで子供たちにおやつをせがまれたりしていたら六日町に着くのが少々遅くなってしまいました。ホントはお昼前にキャンプ場に着きたかったのに。
 国道からキャンプ場までは案内標識がしっかりしていてスイスイ。さらにキャンプ場が近づくとこのイベント名を染め抜いたユニフレームの幟が。
「ううむ、気合いが入っているなぁ」
 それ以上に気合いが入っていると感じたのが、参加記念品として貰ったオリジナルのバンダナ。ユニフレームのコーポレートカラーに合わせたグリーンの地にロゴと一緒に「nature meeting 1st」と染め抜いてあるのですね。「1st」とあるからには、今後 2nd 3rd と開催されてももうこれは使えない。まさに今回のために作ったわけですね。
 参加記念品と言えばオリジナルの『ユニフレームビール』というのも貰ったけど、これは酒税法の規制で一般的な市販ができないんだそうです・・・アウトドアショップでは手に入らない新製品、ということでしょうか。
 でもこれは受け付けを済ませた後の感想。幟に導かれてキャンプ場が見えてきました。

 管理棟前で受け付けです。誰かが奥の方に声をかけるとTさんが飛び出してきました。
「遅かったじゃないですかぁ」
 うん、取りあえずは嫌われてはいないようだ(^^ゞ しかし、Tさん、社内に父ちゃんのことを言いふらしたのかな。

 もう奥の方しか空いていませんよというので、スタッフがクルマの前を歩いてサイトまで案内してくれます。初めての試みということで皆緊張して張り切っているのでしょうね。細やかな気配り目配りが嬉しく感じられました。
 そうそう、パトロールで回っている若いスタッフが我が家のサイトを見て「椅子、ありがとうございます」と言ってくださったのですね。キャンプを続けているうちに、我が家にはいつの間にかユニフレーム製品がいくつも集まってきているのですが、やはり椅子が離れたところからでも目立つのでしょうね。この椅子はすでに販売していない(幻の)ユニフレームチェア。参加者でこれを4脚も持ってきているのは、さすがに我が家だけだったのかなぁ。もっとも、我が家のも買ったのは2脚だけで、それが壊れたときのクレーム処理で貰ったのが2脚・・・あらら、ありがとうと言うべきはこちらの方だった。
結衣の作品『クレヨンしんちゃん』

 雨の方は心配ない天気になってなにより。Tさんの話では前の晩は雨だったとかで、スタッフは準備がたいへんだったんでしょうね。
 でも、おかげでフライフィッシング教室、ディスクゴルフ、ストーンペインティングなどたくさんのイベントが目白押し、子供たちが夢中になってくれたので親が楽だったという利点もありました。
 しかし、父ちゃんはそんなイベントよりもユニフレームの製品展示が気になります。廃番になった過去の商品の数々・・・うわぁ、赤の『ワーム』なんて懐かしいなぁ。

「あ、まつおサン、いいものを見つけましたね」
「ん? この『ネイチャーストーブ』? ・・・あ、これチタン?」
「そう、チタン製の試作品なんです」
「でも、これって元々軽いし、わざわざチタンにしなくても」
「ええ、それもあって商品にしませんでした」
 ・・・そういうのって欲しくなるなぁ。

 開発や試作に携わるTさんの話を聞いていると、無責任なユーザーでは思いもよらない技術的な苦労が判って大変だなぁと思います。今年の新製品『冷めないお椀』で薄いステンレスを溶接するのは、業界では感心ものだとか。それをあんなに綺麗に仕上げて900円は安いかな。
「金型だって2個いるんですからね」
 でも、そしたら去年までの『ダブルステンマグ』の価格は何だったんだ。

 ・・・今年のカタログで多くの商品が廃番になったり価格が下がったりしたのは、そういったコストの見直しや量販店によるディスカウントの牽制ではないかと想像します。父ちゃんは昨年末に新カタログを見て正月早々店頭在庫の確保に走ったのでした。年末に夏の売れ残りを3割引でワゴンセールしていて、値段だけなら見向きもしなかったのだけど、廃番になっていたので慌てたのですね。
 このイベントから戻った後、あちこちのホームセンターで昨年までの『ユニセラ』(今年のはモデルチェンジをした)を処分価格で売っているのを見たけど、店によっては今年のモデルより高かったりするのを見ると、ちょっと複雑な気分。

 そうそう、ユニセラです。もちろん今回も持って行きました。買った当初は庭で使っていたんですね。それが秋のキャンプではスクリーンテントの入り口付近で使い、ゴールデンウィークはスクリーンテントの真ん中で使っていたのです。灰の始末や熱さ、それに一酸化炭素など、注意しながらも少しずつ安心してきたわけですね。しかし、長者の森では地面に置いて使っていると下の枯れ草が焦げてしまったのですね。それでテーブルの上で使うのをためらっていたのですが、今回とうとうテーブルの上で使いました。
 前から「七厘は大袈裟でかさばるけど、ちょっと何かあぶって食べたいときにユニセラは最適」と思っていたのですが、こうなるともうユニセラの無いキャンプは考えられないなぁ・・・ちょっと誉めすぎかな。

「あ、これいいな。こういうのがあればいいなと思っていたんですよ」
 母ちゃんが見つけたのはユニセラのオプションの一つである『グリルプレート』。
「あれ? こういうオプションがあるのは知ってたけど、これよりも『グリススタンド』が便利そうに思えて、そっちを買ったんだ・・・でも、思ったより使い勝手が悪かったな(今年廃番になった)」
「何言ってるの、こっちが断然便利じゃない」
 突然始まった夫婦の言い争いにTさんは苦笑い。結局近いうちにグリルプレートを買うことになりました。
常務さんの挨拶より、後ろの賞品が気になる

 夜になって開会式です。昼間さんざん遊んでおいて今さら「開会式」という言葉も変ですが、主催者として常務さんの挨拶から始まります。
 そうそう、2年前のFCAMPのイベントのときにも常務さんがお見えになったらしいのですよ。でもその時は用があって先に帰ったとかで、仲間の【ターさん】から話だけを聞いて手土産の一升瓶を見たときに、てっきりかなりの年配の人だと思い込んでいたのですね。今回お会いして、どんでもない勘違いだったことに気が付きました。父ちゃんより若い人でしたから・・・とても気さくな人で、話していると初めて会ったような気がしないのですが、母ちゃんも同じような感想を持ったようで、やがて気が付きました。
「そうだ、越後屋にそっくりなんだ!」
 やはりFCAMPの仲間の一人に似ているなぁと思ったのですね。しかし、越後屋サンもその名の通り新潟県の住人で、この常務とは旧知の仲のはずですが、二人とも意識しているのでしょうか?

 協賛各社の提供する商品をかけてのジャンケンゲーム、そしていよいよ空クジなしのビンゴ大会・・・ビンゴになった人から順に欲しい賞品をゲットして行くのですが、『越乃寒梅』よりもなによりも父ちゃんはサンプル用に作られた透明ボディのランタンが欲しい。
なかなか揃わない
「あの時は誰が当たったんでしたっけねぇ」とTさん。
「う〜ん、忘れたなぁ。でもあれ以来、自分も欲しいと思ってたんだ」
 残念ながら、市販されていない稀少品を欲しがるのは皆同じ。早々とゲットされたので、賞品を選ぶ権利は母ちゃんに譲ることにします。
 ようやく我が家もビンゴが揃って、母ちゃんが貰ってきたのは新越金網株式会社謹製の丸ザル6個組。ううむ、これまた実用的。
「女の人たちは『システムキャリー』に興味があるみたい。でも、ウチはもう持っているしね」
 システムキャリーはこれまで「欲しいけど、洗い桶にここまで金を払えるかなぁ」と思っていたのを、今年廃番になったのを知って、例のワゴンセールで買ってしまったのですね。以来毎日家庭で活躍しているので、結果的には安かったような気がしますね。
 家庭用と言えば、カタログハウス社の『ピカイチ事典』に新越金網が作っている洗い桶が載っているけど、あれってフランジ部分以外はシステムキャリーの洗い桶と同じ寸法で金型を起こしているのではないかと思えるのですね。だったら、あの洗い桶セットのザルだけが欲しいと思うのですが・・・。

 ビンゴが終わってお開きになり、皆それぞれのサイトに戻ったのですが、幾人かは焚き火の周りに戻ってきます。もちろん父ちゃんも。
 ふだんビール党なのに、勧められるままに加減のよく判らない日本酒を呑んでいるとだんだんいい調子に・・・途中で母ちゃんがやってきて、そして先にテントに戻って、あらっ、だんだん記憶が怪しくなってきた。きっと父ちゃんのことだから、いろいろ喋りまくって皆さんに迷惑を掛けたんじゃないかなぁ。ごめんなさい。

 夜中に雨が降り出して、朝の山菜取りツアーのアナウンスを聞いた時は雨が降っているから参加はヤメだと思ったけど、ホントの理由は二日酔いかも。
 それでも起きて朝食をとり、雨も何とかやんだみたいで、少しずつ撤収しながらも、なごりは尽きずに遊びの続きです。前日好評だったストーンペインティングはこの日もやることになり、我が家の子供たちも結構ハマッています。
 父ちゃんはしっかり修理工房で『US−1』の火力が微調整できるように手を加えてもらってきてニコニコ(でも、このバーナーの所有者は母ちゃんなのです)。
 餅つきと記念撮影が終わって、すべてのイベントがおしまい、かな。

 我が家は林間のサイトに居て風も吹かない状況だったので、いくら雨があがったとは言え、テントが乾く見込みはありません。当初の予定通り濡れたままRV-BOXに入れて帰ることにしましょう。荷物を積み替えたら車内は結構いっぱいになって、来るときにはルームミラーから後方を見ることができたのに帰りは駄目になってしまいました。いつものとどまつハウススタイルですね。
 キャンプ場を後にして近くの温泉旅館で入浴(参加セットに割引券が付いていた)、サッパリした後は、せっかくこちらまで来たのだから、ふのりつなぎの蕎麦を食べて帰ろうと蕎麦屋を探しながら国道を走って塩沢で遅い昼食。雨混じりのスッキリしない1泊2日でしたが、存分に楽しんでくることができました。

 それにしても自然が豊かでいいキャンプ場でしたね。確かにこういうイベントでもなければわざわざ埼玉から行こうとは思わないけど、行けば行ったでキャンプ場そのものを楽しめるところです。吊り橋の向こうにフリーサイトがあって(今回のイベントでは使わなかった)、きっと駐車場からリヤカーで荷物を運ぶことになるのだろけど、晴れているとあっちも気分いいだろうね。
 子供たちも「また行きたい」と喜んでいますが、こちらはどうもイベントが楽しくて言っているみたい。あのね、我が家だけで行ってもフライングディスクや餅つきはないんだよ。