《2001.02-03》
雪の季節に

 我が家の冬の遊びはXCスキーだぁ! と言い続けてずいぶんになるけど、ここ数年は出動回数が減っているような気がします。1月からシーズンインして隔週で行ってた年もあったんだけどなぁ。今年は一向にスキーに行こうという気が湧いてこない。それでもいちおう2月25日のXCスキー大会にはエントリーしたので、まぁ、それが今年の滑り初めでもいいかな・・・と思うのは父ちゃんだけで、母ちゃんはそうはいかない。実は今年の大会には母ちゃんもエントリーしたのだけど、スキー板持っている歴11年でも滑った経験数えるほどしかないので、大会の前に一度滑って馴染んでおきたいのです。
 それに昨シーズンの終わりに颯に向かって「今度はお前もちゃんとしたスキーを履いて滑ってみよう」と言ったのを本人は楽しみに覚えていて、こちらは早く行ってみたくて仕方なかったのでした。
参照地図はここをクリック
 それやこれやで2月の第2土曜日に、ようやく我が家の今シーズン初スキーと相成ったわけで、毎度おなじみの奥日光へゴー! 今年は早くからいい雪だと言う評判も耳にしていたしね。
はじめはちょっと
おっかない

 駐車場がいっぱいだったら三本松に戻ってくるけど、取り敢えず行ってみようと入っていった光徳の県営駐車場にはかろうじて1台分のスペースが。今日はここをベースにすることにしたので颯のスキーはアストリアホテルで借りることにしよう。実はここに来る数日前に@niftyのフォーラムで奥日光の子供用レンタルスキーのことが話題に出て、三本松の茶店のことは前から知っていたけど、アストリアホテルのサイズ展開やレンタル料金などの情報が無かったのですね。ちょうどいい機会だからここで借りてみようと思ったら、2,600円とのこと。来る途中の菖蒲ヶ浜のスキー場近くでアルペンスキーレンタル2,000円の看板が出ていたけど、あれにくらべるとずいぶん高いなとも思ったし、三本松の茶店でレンタルしているのももう少し安かったような気がしたけど、いまさら戻って借りに行くのも面倒なのでまぁいいか。
 それにレンタル所は4時に閉まるのでそれまでに返却してくれと言われて、この時期子供連れで日帰りじゃ、それくらいでオシマイにするだろうからいいけれど昼過ぎに着いたような人にはますます割高に感じるだろうな。でも、反面、ホテルのチェックアウト後も12時までは使えますなんて書いた貼り紙もあったので、1泊2日で遊びに来ている人には便利なのかもしれないな。やっぱりここは基本的にはホテルの付属施設なんだな。

 なんて考えていないで早く滑り出そう。颯はウズウズしているぞ。
 実は父ちゃん、自分言うのもナンだけど、初心者が取り敢えず歩いて滑れるようになるまで教えるのは得意なのですね。ま、そこから先のテクニックを教えられないというところにコーチとしての限界があるのだけど、基本のフォームを身に付けるための指導法と言うか練習パターンについては一家言を持っているわけです。
 早速ホテルの裏庭で颯を相手に「最初はポールを持たずに、運動会の入場行進のように胸を張って・・・」と言ったのだけど、念願の「本物のスキー」を履いてウキウキしている颯の耳には入らない。子供相手に理屈は無理、習うより慣れろだとコースに出ることにしました。
 ホテルの裏手、常設3kmコースの後半部分は緩い下り坂になっていて、軽く蹴るだけでスイスイ滑るのでXCスキーの基本的な滑走の練習には最適な場所なのですね。颯は初めて履いた身長より長いスキーにまごつきながらも何とか滑っている。さすがに転んだときはどうやって起きたらよいのか判らなくなったみたいだけど。
 で、結衣・・・こちらはホームセンターで買ったおもちゃのスキーを継続使用中(でも、ポールは彼女の身長に合わせたものを新調)で、考えたらむしろこれで滑る方が難しそうな気がするのだけど、これまたなんとか歩いてついてくる。過去には寒いからクルマから降りるのを嫌がったこともあったし、このおもちゃスキーだってうまく歩けないから嫌がったはずだけど、今日は天気も良いことに加え、途中ですれ違った老婦人たちのグループに「まぁ可愛い」「上手ねぇ」と声をかけられて相当気分を良くしているらしい。

スキーの食事は駐車場でするもの
(3月24日)
 コースはぐぐっとカーブして緩い下りから緩い上りへと変化する。疲れと空腹がブレーキになり始めた子供たちに声を掛けながらホテルの前まで滑って戻り、さらにクルマまで。さぁ昼飯だ。
 昼食といっても家から持参のカップ麺と、途中のコンビニで買い足したおにぎり・・・不動のワンパターンメニュー。前はイスを持参していたはずだが、ここ数年それさえも無く、きっと子供たちはスキーというものはこういうものだと思い込んでいるのだろう。 「そのうちアルペンスキーも連れて行ってやらないと、他の子と話が合わなくなるわよ」
 母ちゃんが心配になってきたらしく、そんなことを言う。

 食後は光徳沼のほとりに行ってみよう。さすがにあのおもちゃスキーで結衣を往復させるのは無理だろうから、ソリに載せて牽いて行く。こういう時ってすれ違う人の90パーセントは「あら、いいわねぇ」と声をかけるものだから、結衣は嬉しくって仕方ないという顔をしている。
 光徳沼のほとりや、そこから流れ出る逆川に沿った辺りでひとしきり遊んで、同じ道を引き返すのも面白くないと、逆川に流れ込む川をちょっと遡ることにした。といってももちろん水は無く、三本松から光徳に向かう道路が橋になった下をくぐった先をXCスキーのコースが川底に降りて横切っているので、そこまで行ってXCコースに合流しようと思ったのですね。ところが橋の下で川底が段差になっていて、そこを登るのが大変。雪に足が沈み込んで、やっぱり来た道を戻ればよかった。
 それでもなんとかXCコースに合流して、午前中も歩いた緩い上り坂をアストリアホテルまで進み、スキーを返してちょうど4時。今シーズンの滑り初めとしてはなかなか楽しめた一日でした。

 ・・・と、ここまでは良かったんですけどね。颯としてはスキーも楽しみだったけど、結衣みたいにソリでもいっぱい遊びたかった。家に帰ると言われて急に機嫌が悪くなる。おまけに帰りに立ち寄った『やしおの湯』で、ちょっと父ちゃんが気分が悪くなって早々に風呂から上がってしまったため、もっとゆっくりしたかった身体を洗いたかったと、ますます機嫌を損ねてむくれてしまったのですね。
 楽しく遊んだ最後、もっと遊びたかったと颯の機嫌が悪くなるのは毎度のことなのですが・・・。
 毎度のことと言えば、なかなかシーズン始動しない我が家のスキーも、一度行ってしまえば調子に乗ってまた行きたくなってしまうのも毎度のこと。この日は3連休の初日ということもあって、今日の明日というわけにも行かないけど、明後日にまた来ようということになったのですね。もちろん決まるまでには「寒いの嫌い、疲れるの厭だ」と努力の2文字から遠ざかりたがっている結衣の説得作業があったわけですが、ようやくその気になってやれやれというところに、今度は不機嫌いっぱいの甘えん坊将軍が「お父と二人だけで行きたい」と我がままを言い始める。まったくいい加減にしてくれよ。
 母ちゃんは、これもまた毎度毎度の颯のわがままに頭に来て、勝手にしろと匙を投げ、やっとのことで行く気にさせた結衣を、今度は家にいようねと言いくるめる作業がこれまたこれまた大変なのだ。
 ま、そんなことしてまで颯と出かけてしまった父ちゃんというのも甘いと言うか、遊び好きというか・・・(^^ゞ

 今度は三本松にある、その名も『三本松茶屋』でスキーを借りてみたら1,500円だって。一昨日のアストリアホテルとはずいぶん違うぞ。協定料金とかいう名目の不当な価格カルテルも腹が立つけど、あまりにバラバラな料金設定というのもなんだかなぁ。ま、アストリアは子供用も新式のビンディングだったけど、ここの子供用は懐かしい75mm幅の3本ピン。でも、レースに出るわけじゃなし、子供がゆっくり滑るのは何の不足も無い。借りたスキーを積んで、この日も光徳へ。
 時計を見て考えた。11時。天気もいいし、颯はヤル気に満ちている。「いっぱい歩いてお昼ご飯が少し遅くなるけど平気か?」「うん」よし、じゃぁ5km滑ってみよう。
 例の奥日光XC大会で滑る「ハイキングの部5km」のコースを颯と一緒に回ってみよう。予想所要時間は2時間、ふだんならすぐに腹減ったコールでへたりこんでしまう颯だが、完走できそうな気がする。

 牧場の入り口でスキーを履いて光徳沼のほとりに降りて行き、一昨日遊んだ先を逆川に沿って更に進んで林の中へと入って行く。颯に声を掛けながら滑っていると、数年前にこいつをソリに乗せて滑っていたことを思い出した。ちょうど今の結衣か、それより小さかったのかな。林の中でお湯を沸かしてカップ麺を食べたら、こいつ、一人前をぺろりと食べちまったっけ・・・そうだ、それより前にはこいつを背負ってここを滑ったこともあったぞ。もうそんな体力は無いよなぁ。
 始めたばかりで技術が追いつかない颯は何度も転び、その度にうまく起き上がれないので手を貸して起こしてやることになるのだけど(翌日、腕を肩から上にあげようとすると痛くて大変だった)、転ぶことより前に進む楽しさの方が勝っているらしく、弱音を吐かずに歩き続けるのが正直言って意外でした。なにせ颯ときたら、近所の公園で自転車に乗ったりキャッチボールをしたりするときも、うまく行かないとすぐに飽きて砂遊びを始めてしまうような子なので、お金払ってスキーをレンタルしても、30分もしないうちに放り出すのではと内心思っていたのですね。「今度は本物のスキーを履いて大会にも出たい」という去年の決意は本物だったんだなぁ・・・とうとう父ちゃんの予定通り、2時間で5kmのコースを歩ききってしまいました。こいつにとって、これまでの人生での最長距離だったんじゃないかな。そこを更にスキーを履いて。

 ちょっと遅くなった昼食の後、もうひと滑り、常設1kmコースを行ってみることにしました。これは3kmコースをショートカットしているのですが、通る人はほとんどいないのでショートカット部分の小山を超える部分のトレースが雪に埋もれているのですね。急斜面の登りもあったりして、いざとなったら颯を抱きかかえて・・・ズルッ、ズボッ、ドテン。いやはや父ちゃんも散々な目に逢いました。まぁ、ここさえ過ぎれば後は一昨日も滑った初心者向きのほぼ平坦な道なのですけどね。
 今日は結衣もいないので、後は存分にソリで遊ぶかと雪の積もった斜面に行ったけど、一、二度滑っただけで「もういい」
 ソリよりもスキーのほうが面白くなったということもあるのでしょうが、兄弟で相手が遊んでいるものの方が面白そうだ、それ貸して、嫌だ、と喧嘩していることのほうが仲良しの裏返しみたいなもので「張り合い」があるんでしょうね。
 この日も帰りは温泉に寄って、今度はゆっくりとお湯につかってゴシゴシ身体も洗って帰ってきたのでした。
「まったくあんたたち、いつまで遊んでいるのぉ」
「・・・これ、おみやげ」


 途中、奥日光XCスキー大会があったわけですが、その話は章を改めることにして、我が家が次に揃ってスキーに行ったのは大会から丸一ヶ月経った3月の24日でした。やっぱり最近は出動回数が少ないな。
 この時期になるとぽかぽか陽気が続いて雪も融けてくるのだけれど、スピード出してビュンビュン滑るのならともかく、ハイキング気分でゆっくり滑ったりするにはこの方が良いのです。薄着でいられるから手足も動かしやすいし、立ち止っての休憩も辛くない。三本松茶屋に颯のスキーを借りに行くと、
「これが最後でしょうねぇ」
 ・・・我が家の場合、明日来るという手もあるけどな。

 いろは坂もそうだったけど、国道から光徳までの道もチェーン不要になっていました。2月だったら「クルマ置けるかなぁ」と心配しながらやってくる駐車場も60%程度。
 支度をして、まずは前回颯と最後に滑った1kmコース。しかし、子供ってのは凄いね。一ヵ月半のブランクがあったにもかかわらず、しかも前回がほぼ初体験だってのに、この日滑り始めると明らかに上達しているじゃぁないですか。前回に比べると雪が融けて雪質が歩きやすくなっているとは言え、颯は一人でグイグイ登って行く。かなり先行して滑っていった後「お父を見てくる」と引き返してくる余裕さえできてるんだからね。はい、お父は結衣を抱きかかえて急斜面を登っておりましたが、この日はズルッ、ズボッ、ドテンはありません。その辺の事情は颯と同じ。結衣の体重も軽いしね。
もうスイスイさ

 転ぶ回数もずっと減って、しかも転んでも自分でちゃんと起き上がるし、親の目から見て少し積極性が出てきた感じです。最近、自転車も自分から乗りたがるになってきたし。来シーズンは颯もXC大会にエントリーさせてもよさそうだな・・・となると結衣はどうしよう。「寒いの嫌い、疲れるの厭だ」の彼女も交えて家族4人で滑るというのは当分難しそうだな。
 午後、逆川沿いの林の中を滑っている颯のフォームを見ていると、子供ってみんな同じようなフォームだなぁと思いますね。体を起こして胸を張って、と教えても、前かがみになってセコセコ忙しく手足を動かしてしまう。滑ることが楽しくて、気持ちがグイグイ前に行くからどうしてもそういうフォームになってしまうんですね。近年とみに疲れないような滑り方を心がけている父ちゃんとは正反対です。

 名残は尽きないけど、今日はもうオシマイ。また明日来ることもできると言えばできるけど、実際にはまた来年、ってとこかな。
 父ちゃんは初めからそのつもりだったので、今日はゆっくり温泉に入って外で食事をして帰ってもいいなという気分でした。ところが、我が家が走るルートはローカルな道なので、途中に食事ができるところが限られている(2月にここから帰る時、真っ暗な道を1時間にわたって同じ方向に走るクルマに出逢わなかった。すれ違うクルマは10数台あったけど)ので、『やしおの湯』で何か食べてゆくか、大間々あたりまで我慢するしかないのですね。
 子供に我慢と言っても無理なので、ここで食べてゆくか・・・というところで今回は母ちゃんがちょっと湯あたり気味。取り敢えず軽く食べておいてこの先で食い直しってことにするか。
 でもなぁ、こういうときに立ち寄りたい神戸(ごうど)の『玉木屋うどん』は夕方5時過ぎたら閉まっていることが圧倒的に多いし・・・そうだ、前にテレビで神戸駅には車両を改造したレストランがあるって紹介してたぞ。しかし、夜までやっているかなぁ。と、考えながら神戸まで行き、国道から街灯も無く真っ暗な坂道を下って(谷間を過ぎて上り坂になったので線路を行き過ぎたと気付き、戻るときにポツンと見えた赤信号で線路、そして駅の在り処がわかった)駅を探し・・・当然のことながら、こんなローカルな場所にあるレストランだから、観光客が乗降する昼間しかやっていなかった。もちろん「幻のうどん屋」も電気は消えていて、結局深谷まで走り、スーパーで半額になった刺身を買ってきて、今シーズンのスキーの打ち上げとなったのでした。

 翌日、買い物に行くのに颯の通う小学校の脇を通ったら、校庭の桜が咲き始めていました。