《2002.01》
 今年も春から 

 年末年始、我が家は家でおとなしくしておりました。毎年恒例のようになっていた年末のお泊り旅行も今回は無し・・・不景気のせいではなく、結衣がクリスマスにハムスターをもらって家を空けられなくなったからということにしておこう(^^ゞ
 それでも元日には初詣に行って、これは我が家としては1993年以来の出来事! 子供たちにとって神社にお参りに行くなんて生まれて初めてじゃないだろうか。出産時のお宮参りも行かなかったし、七五三の時だって鳥居の前で写真を撮っただけで帰ってきちゃったし・・・ううむ、なんちゅう親じゃ。

 ま、それはともかくとして、せっかく休みが続くのだから一日くらいドライブにでも出てみようかと、前の日に思い立って5日に秩父方面に出かけることにしたのですね。帰りにどこかの温泉にでも入ってこようと。
 朝食後支度をしていたら母ちゃんが隣の部屋から
「傘、どうする?」
「いるわけないだろ!」
「何言ってるの、今降ってるよ!!」
「へっ!?」
 窓の外を見ると確かに雨が降っている。でも、さっき見たときは日が照ってたんだよ。きっとちぎれ雲が降らせてるんだろう。遠くの空は晴れているもんね。

 ってんで傘を持たずに出発したのだけど、空はなかなかスカッと晴れてはくれず、相変わらず曇ったまま。寄居を過ぎると時折ポツリと雨が落ちてくるようにさえなってしまった。ありゃりゃ。
 長瀞までやって来て、道路脇に目をやると、路肩や道路沿いの家の駐車場などの日陰になる部分がうっすら白くなっている。朝、雪が降ったんだろうね。我が家からわずか30分ほど来るだけでこんなにも気温が違うんだなぁ。この先はもっと冷え込んだのだろうなと思った秩父はさらに陰気な空模様で、みぞれ混じりの雨になってしまった。
 市街地を通り抜け、28番札所でもある橋立の鍾乳洞に寄ってみることにした。父ちゃんは15、6年前に何回か来たことあるのだけど、あの時はもっと陽気の良い時分で、国道から入って行く道の雰囲気がずいぶん違う。こんな道だったっけかなぁ。まぁ看板が出ているから間違いないんだろうと思いながら着いたら、しーんと静まり返っていた。何の事はない、冬の間は鍾乳洞の見学は休業しているうえ、札所巡りの納経所も別の寺に委任しているとかで、ここに来ても何もできないのであった。あ、トイレだけは電気が点いていたので使わせてもらったけど。
 ま、よく考えたらこの時期は下が凍って危ないだろうから、鍾乳洞が見られないのも仕方ない。国道に戻ったらいよいよ雪になってきた。

子供たちは面白がった
 荒川村の道の駅、正確には隣接する『あらかわビジターセンター』に立ち寄ってみる。里山の自然と、木の枝や葉っぱなどを使っての遊びなどが紹介されていて、父ちゃんにとっては少し懐かしい感じだったけど、子供たちにとっても新鮮で楽しいものだったみたい。結構夢中になってあれこれ展示を見たり触ったりしていた。どうせこの先、特にどこまで行こうって決めたわけでも約束があるわけでもないから、暖房の効いたビジターセンターですっかり腰を据えてしまった。
 同じように雪の中のドライブで一息入れたくなる人が多いのでしょうね、少しずつ入館者が増えてきた頃合に「どうです、ビデオでも見ていきませんか」と、管理人というか指導員みたいな人が館内に声をかけて別室で四季の里山遊びを紹介した15分ほどのビデオを上映したけど、見ていたのは我が家と、もう一組の老夫婦だけだった。
 結構のんびりしたけど雪は一向ににやむ気配がない。ここで思いがけず楽しめたから、これで引き返してもよいのだろうけど、もう少し前進してみよう。
 いちおう秩父方面にドライブしようと考えたとき、三峰山まで行きたいなとは思ったのですね。まだ父ちゃんが独身だった頃クルマで何回か行ったことはあるけど、今回はロープウェーを使ってみようかなとも思ったのですね。でも、この天気じゃロープウェーに乗っても景色も何もあったものじゃないでしょうね。だいいちロープウェーが動いているのかな。やがてロープウェー乗り場に差し掛かると、ひっそりとしていました。
 道路もシャーベット状になってきて、何も無理して上まで行くこともないなぁ、この先の道の駅『大滝温泉』まで行ってみて引き返そう。『大滝温泉』ってどんなところなんだろう。

谷川は暗く、気分まで暗くなる
 期待しながら行ってみたら、国道と谷間を流れる川の間に、想像していたよりも立派な建物が並んでいるじゃありませんか。その中の一つが立ち寄り温泉で、入浴料600円也。でも、ここでのんびり入浴しているうちに雪がどんどん積もってきたら大変よと母ちゃんが言うので躊躇しながら、隣の建物を見ると、これは歴史資料館らしくって要入場料。そのまた隣は物産店かなと思って中に入ったら、確かに土産物コーナーはあったけど、うどんと蕎麦の店だった。店のつくりがちょっと変わっていて、入り口からいきなり客席になっていて(土産物コーナーは脇になっている)入ってしまったら今さら後へは引けない雰囲気。それに外は雪がこんこんと降っている。ちょうどお昼でもあるからここで食事してゆこうか、本当は風呂上りに食事という順序だろうけど、母ちゃんの言うとおり、ここで温泉に入っているうちに雪が積もったら帰りが厄介だ。もちろんチェーンは持って来ているけど、湯上りの身体でチェーン巻きしてたら風邪ひいてしまいそうだもんね。
 温泉は帰りに皆野で『満願の湯』にでも寄ることにしてと子供たちを納得させて食事にする。蕎麦は歯にくっつくような感じが好みではなかったけど、うどんはなかなか美味しかった。卓上の唐辛子は柚子の香が良くって、瓶を見たら荒川村のメーカー、土産物コーナーで手に入るかな。

 食事を終えて引き返すことに。今日はいったい何しに来たんだろうね。冬休みに入って、風の強い日こそあったけど、とにかく晴天だけは続いていたというのに今日に限ってこの天気だ。でも、少し雪が小降りになってきたようだ。道路のシャーベットも登ってきたときよりも融けているぞ。
「こりゃぁ、もうすぐやむな。やっぱりあそこで温泉に入ってくれば良かったかな」
「諦めて引き返したから雪がやんだんだよ。あそこで長居をしたらもっと降ってたから」
 母ちゃんの言うとおりかも知れないな。あの時こうしていればどうなったかなんて判らない。自分が選んだ道が正しかったと信じるのが一番なんだろうね。
 しかしそれにしても同じ道をただ引き返すのは面白くない。確か途中で両神村に抜ける道があったはず。両神村にも立ち寄り湯があったよな・・・と考えながら坂道を下っていたら、確かに道はあったけど通行止めになっていた。ううん、ツイてない。
 で、午前中に立ち寄ったビジターセンターの近くまで戻ってきたところに小鹿野町に抜ける道があったので、そちらに入ってみることにした。だんだん細くなる道を通り、尾根を越えて小鹿野に。すると道路脇に立ち寄り湯の案内板が。『クアパレスおがの』というらしいその施設、家に帰る方向からはちょっとだけ外れそうだけど、たいした距離ではないから行ってみようと向かった丘の切通しに隣接して、まだ新しい建物が建っていました。駐車場は丘の上にあって、2階が入り口になっている。

 中に入ろうとしたら、外にテントが張ってあって、お汁粉の振る舞いサービス中。もう残り少ないよと言うので、まずこちらでご馳走になってから温泉に入ろう。炭火で焼いた餅が美味しかったな。
 入浴料は大人が400円で、『満願の湯(民営の方)』はもちろん、さっきの『大滝温泉』よりも安い。ま、値段がすべてではないのだけど、安いに越したことはないですよね(パンフレットやホームページには800円とあるので、ひょっとしたらお年玉料金だったのかも)。それに今回は利用しなかったけど、その名の通りクアゾーンもあって、結構楽しめそうなところです。奥秩父でキャンプしたときなんかに遊びに来れそうですね。手ぶらで来ても水着はレンタルできるようだし。
 午前中の雰囲気では雪が降る中の露天風呂を覚悟していたのだけど、天気はすっかり良くなって山里の雰囲気がいい感じです。内風呂にあった薬湯というのがなんだかお屠蘇の中に入っているみたいだったけど、こりゃぁいい温泉を見つけたなぁとすっかりご機嫌になったのでした。
 いい気分で風呂から出て、さぁ福引。お正月ということからでしょう、入浴するときの受付で「記念品引換券」と「抽選券」を人数分もらったのでした。もれなく貰える記念品はビニールの傘。ハッキリ言って100円ショップで売っていそうな代物で、こんなのを4本も貰ってもなぁと腹の中で思ったのでしたが、颯は素直に「うわぁ、こういうの欲しかったんだ!」と喜んでいました。まぁ、颯はよく傘を降りまわりたりして壊すのでちょうど良かったかな。
今年は春から縁起がいいぞ!
 続いて抽選。我が家の前でガラポンを回していた女性は赤い玉を出して、これが6等のポケットティッシュ。400円の入浴客に出す景品なんてそんなもんだよね。で、続いて颯が回してポトンと出てきたのはちょっとくすんだ金色の玉。これ何等なんだと脇に張ってある表に目をやると・・・なんと!
 係りの女性もすぐには事態が飲み込めていなかったようですね。最初ちょっとポカンとして、父ちゃんが気づくのとほとんど同時に「あっ」と声を出してガラポンの横に置いてあった鐘を持って振りはじめました・・・なんと、颯は特賞を当ててしまったのです。
 特賞は2本あって、コシヒカリ10kgとホットカーペット。どちらを選ぶかと聞かれてホットカーペットもいいなと思ったのですが、1畳用では小さくて実用的ではないのでコシヒカリを貰うことにしました。それとティッシュを3個ね(^^ゞ
 しかしまぁ、ドライブの途中でたまたま見つけた温泉が安かった上に、お汁粉食べさせてもらってお土産まで付いて、申し訳ないが気分がいい。お昼に雪の中で「今日みたいな日にドライブに来るなんて」と思ったのが嘘のようですね。とにもかくにも正月早々の明暗どたばたドライブ、いかにも我が家らしい新年の出来事でした。きっと今年もずっとこの調子なんでしょうね。

 ・・・え? 写真のクルマが? あ、その話は別の機会に。