ゼッケンの色が変わった |
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恒例の奥日光XCスキー大会の話です。
これまでずっと父ちゃん一人で早起きしたり、『トロールの森』ができてからは前日泊で参加していたわけですが(最初の年はスキー大会に合わせて開業を一週間早めてもらったっけ)、2年前は家族を伴ったり(大会にエントリーしたのは父ちゃんだけ)、昨年は母ちゃんと二人で参加して、だんだん家族の行事になりつつあるのです。で、今年はどうしよう?
母ちゃんは今年も参加したいのですが、問題は子どもたちです。昨年は子どもたちを近所に住むおじいちゃんの家に預けて前日から出かけたのですが、実はそのとき結衣が熱を出して病院に行く羽目になっていたのでした(家に帰ってから知らされた)。それでまた今年もお願いというのも頼みづらいのですね。とはいえ、子どもたちも連れて行って関係者でごった返すアストリアホテルのロビーで2時間も待っていろと言うのも酷な話だし、安全面でも問題があります。それに颯も「出てみたい」と言うような歳になったし、けれども結衣を背負って滑るには辛いものがあるし・・・。
結局すったもんだの末、父ちゃんと颯が「ハイキングの部・5km」にエントリーして、母ちゃんと結衣は家で留守番ということになったのでした。
一時は「ハイキングの部・15km」に出場し、最近でこそまた「10km」に戻ってしまったけど、いつか「15km」に復活したいものだと内心思っている父ちゃんとしては「5km」でのエントリーは不満があります。でもまぁ颯と一緒じゃ仕方ないか。それに、興味が続けばじきに颯も「10km」が滑れるようになるだろう。
そんなことを親馬鹿で考えながら、大会前日、颯に新しい手袋を買ってあげたのでした。
ところが、手袋を買った店から戻るクルマの中で「気分が悪い」と言い出した颯は、そのまま風邪モードになってしまい、熱が上がって、翌日の参加が危ぶまれる状態になってしまったのでした。
「不安と緊張で熱が出ちゃったかなぁ」
内心、大会参加を嫌がっているんではないかという母ちゃんの分析に、そんなことは無いと言う颯でしたが、このままでは参加は無理ですね。
てなわけで、久しぶりに単独での早朝出発です。考えたら『トロールの森』に前日泊するよりも、ある意味では楽なんですね。前日泊だと朝食をしっかり摂れるのは嬉しいけど、三本松の駐車場は満杯になってしまうんではないかと気持ちが焦ってしまうんです。一度、タイヤチェーン装着に手間取って駐車スペースを見つけるのに苦労した年もあったしね。早朝出発だと、とりあえず駐車場を確保して車内で朝食を食べればいいのす。その代わりコンビニで買ったサンドイッチになってしまうけど。
以前、夜明け前に家を出ていた頃の感覚が思い出せず、ちょっと遅れてしまったけど、三本松の駐車場は意外と空きが残っていました、というよりもハッキリ言って空いている。この時間でこんなに空きがあるなんて参加者が減ったのかなぁ・・・先日『トロールの森』に泊まったときにオーナーが「ひょっとしたらこの大会、今年が最後になるかもしれない」と言っていたのが真実味を増して脳裏に浮かんできました。
事前に連絡は取っていなかったけど、昨年不参加だったナオさんも来ていて、たしか結婚式の打ち合わせか何かと日程がぶつかって不参加だったはずでしたが、ナオさんも単身参加ですね。
「俺、今年は赤ゼッケンだぜ」
「えっ! 競技会に出るの?(競技の部のゼッケンは赤地に白文字)」
「いや、ハイキング5kmなんだ(^^ゞ (こちらは白地に赤文字)」
シャトルバスで光徳のアストリアホテルに向かい、いつものようにまず抽選を、と思ったら今年は抽選会は11時からだって。景品を荷物と一緒に更衣室に置いておこうと思ったのに。駐車場とシャトルバスの都合で早く来ざるを得ないんだけど、このあとスタートまでが長いんだよなぁ。
スタート時刻が近づき、外に出て「競技の部」を見ながら気温に体を慣らします。そして牧場に行き、いよいよ「ハイキングの部」の出発・・・そうか、父ちゃんは「5km」でエントリーしているからナオさんの「10km」から5分遅れなんだ。
颯のドタキャンにより一人で参加することになったわけですから、父ちゃんは「10km」を滑るつもりでいます。「10km」のコースは前半は「5km」と共通ですから、ゴールした後そのままオープン参加で滑って行けばいい(「15km」は途中で迂回コースに入るから、勝手にそういうことをやるとコース誘導員に迷惑がかかるのです)。スタート時刻が一番遅く、しかも参加者が一番多い「5km」で集団に飲み込まれたらスタミナと時間のロスが大きいので、できるだけ先頭でスタートしよう。そう思って出発の号令を待ったのです。
ワーともオーともつかない関係者参加者の雄叫びで飛び出します。300人あまりの集団が100mほど先の牧場の出口で2列になるのですから、大渋滞が発生するのです。ほら、5分前に出発した「10km」参加者の最後尾がやっと出て行ったばかり。ですからここで敢えて大集団の外側を回り込むようにダッシュをかけてトップグループに混じって牧場の外に出たのですが、少し走ったところでいきなり目の前に空が広がってお尻に激痛が。
見事に転倒してしまいました。この日、雪質がやけに調子よくって軽快に滑るなぁと思っていたのですが、焦りが出たせいか一瞬バランスを崩して足先だけが先に行ってしまったようでした・・・なんて解説ができないくらい、あっと思ったときはすでに地面にひっくり返っていたのでした。そんなわけでマトモに尻を打った痛さと、後から続々と滑ってくる人の列で、しばらく起き上がることができず、スタート直後のダッシュはいったい何のためだったのだろう。
それでもなんとか立ち上がり、大勢の人に混じって滑ってゆきます。逆川に沿って進む森の中は、昨年あたり遊歩道の脇にネットが張られて(たぶんシカの食害除けでしょう。それとも心無い人の立ち入りを防ぐため?)前ほどではなくなったものの、それでも雰囲気が良いところです。スキーもよく滑るし・・・ただ、人が多過ぎる。マイペースで滑って行き、時折すれ違う人と挨拶を交わす程度ってのが最高なんですけどねぇ。大会の日は前の人の板を踏まないように下ばかり見て滑る羽目になるから面白くないですね。
最初にコケたものの、滑りが調子良いのでその後は軽快に走る(主観的には。客観的には「歩くスキー」に見えているかも)ことができて、係員のチェック表をチラリと覗き込んだ限りではかなり上位でゴールインしたようです。完走賞のメダルを受け取ってコースに戻り、今度は「10km」の参加者に混じって滑り出します。
バンガローの脇を過ぎてからの登りは、今年はやけに急坂に見えるなぁ。山王林道を横切って今度は下り・・・おっと、いつもは先行する人との間隔をかなり空けるよう心がけているのですが、今年はわりと人が多くって、そんな悠長なことは言ってられない。目の前のくだりの急カーブで何人もが転んで団子状態になっているところを避けながら・・・避けたはいいけど、こっちもバランスを崩して転倒。やっぱりね。
ブナ林の中を息を整えながら緩い坂を登って行き、いよいよ心臓破りの坂へ。でも、この坂、17、8年前に初めて登った頃と比べると年々緩やかになっているような気がするなぁ。とはいえ、登りきると息はハーハー、コースを離れてドリンク補給で一休みです。
心臓破りの坂、と言えば
皆、「ああ、あそこね」とうなづく
毎年のことなので、父ちゃんはこのコースの何処と何処で休憩するか決めています。そのパターンでいえばここが最後の休憩ポイント、後は少し先まで進むと豪快な下りとカーブが連続する最後の難所、そこを凌げば後はもう光徳沼のほとりに出て、左に折れればダラダラと続く登りが辛いけど、我慢して登り切れば道路を渡ってゴールイン、とイメージが頭に浮かんできます。
しかしこの誰から呼ぶとも無く名づけられた「心臓破りの坂」、登りきったところで休憩と決めている人は多いようですね。父ちゃんの後からやってきたオジさんもデイパックからドリンクを取り出して・・・あれれ、それって缶ビール。ここで飲んじゃうとゴール前の登りで息が上がっちゃうぞ。オジさんの後から登ってきた人たちも缶ビールを出しているのでどうやらお仲間らしい。
タイムを争うレースではなく、自分が楽しく納得して完走すればいいのだから、こういう楽しみ方もありってことですね。残念ながら父ちゃんは持参していなかったので、ゴール後の給食所で配られるはずの缶ビールを目指して出発です。
懐中時計をチラッと見ただけだから正確な時間は判らないけど、ほぼ例年並の所要時間でゴールイン。係員にこれはオープンで滑っていて、正式なゴールチェックは済んでいることを伝えるついでに、颯のゼッケン番号を告げて、リタイヤ扱いにしてもらいました。そういえば父ちゃん以外にも「10km」のコースで「5km」エントリーのゼッケンを着けている人を数人見かけたな。
給食所に向かう途中でナオさんと再会です。ここ数年、父ちゃんがゴールするときには缶ビールの残りが少なくなっていたのだけど、今年は結構残っていました。やっぱり参加者が減っているのかなぁ。「ひょっとすると今年限りで・・・」という言葉が再び頭をよぎります。不景気が続いている中でこれだけの規模の大会を続けるのは大変だろうからなぁ。それに今年は15回目というキリのいい年だし。でも、関東地方でこれだけの規模で整然と運営される大会だからこそ、ぜひとも続けてほしいものだと思います。アンケートに「いろいろ噂があるけど、ぜひ来年も実施して」と書いて抽選のガラポンを回すと、フリースの膝掛けみたいなものが当たりました。颯への土産にノートを持って帰るつもりだったのに、末等を狙っているときに上位のものが当たるのは妙な気分です。
今年も完走
さぁ、ビールだ
まだ日は高いけど、風呂に入ってしまうと気分はもう「あ〜今年も終わった」
ハイキングの部はまだ滑っている人がいるけど、競技コースはもう空いたはずだから一滑りして、シャトルバスがなくなっても三本松の駐車場までは下りだから滑って帰ってもいいじゃないか・・・と、毎年思うんですよねぇ。でも、今年もまた思うだけでそそくさと帰ってきてしまいました。
帰り道で家に電話して颯の様子を訊くと「元気にはしゃいでいるわよ!」・・・やっぱり緊張による発熱だったかな。来年は一緒に参加するぞ、なぁ!
ところで、スタート直後に転倒したときに打ったお尻ですが、数日後には左側のお尻から太ももにかけてノートぐらいの大きさで赤黒く内出血が広がり、消えるまで数週間を要する羽目になったのでした。とても人前でパンツを脱げない状態・・・と言いながら翌々週には立ち寄り湯に入ったなぁ(^^ゞ