と言っても、別に帝都を制圧したという話ではなく（あたりまえか）、単に『東京』という題名のレコードを入手した話なんです。でも、父ちゃんにとっては嬉しかったんですよ。

　この『東京』というのは小室等さんのセカンドアルバムで、父ちゃんが「小室さんの歌で一番好きなのは何ですか？」という問いでは必ず答える「無題」や、我が家の結衣の名前の由来にもなった「ユイ・コムロ」が収録されていて、父ちゃんにとっては重要なアルバムなのですが、これまで現物を持っていなかったのです。持っているのは、今を去ることず〜っと前に貸しレコード屋から借りてきてダビングしたカセットテープだけ。ボールペンで曲名が書き込まれただけの味気ないものです。
　で、9月にこれをクルマの中で聞きながら小諸ユースホステルに行くと、口惜しいことに本物（しかもサイン入り）のジャケットがさりげなく飾ってあって、その脇で歌う小室さんがそれを見つけて「これは鋤田正義さんというカメラマンが撮影したもので・・・」と懐かしそうに話すという光景が繰り返されるのですね。たぶん今年も？
　まぁ別にオリジナルのレコードにこだわっているわけではなく、CDで再発売されればそれでもいのですが、これはCD化されていないのです。もう何度聞いたか判らないテープでは、いつワカメ状態になって再生不能になるか不安だし、CDサイズに小さくなったとしてもジャケット写真も持っていたいではないですか（オリジナルの雰囲気が味わえるという意味であって、頬をすり寄せたいほど好きかどうかというのとは別問題です）。

　が、ある日ひょっこりヤフー・オークションに出てきたのですよ。これは是が非でも競り落とさなければなりません。と強い覚悟で望んだのですが、意外とあっさり落札できました。まぁ、途中で対抗馬が一人現れたおかげでちょいと値段が吊り上っちゃいましたが、割と簡単に降りてくれたようです。
　でね、このオークションに出品されたのは『東京』だけではなく、「LP8枚セット」だったのですね。CDで持っているから無くてもいいやというのもあったのですが、「バラ売りはできません」という条件だったからまとめて落札してしまいました。送られてきたのはどれもキズの無い美品ばかりで、見本盤も混じっていることから、おそらくは放送局のような「聞くつもりは無くても、いちおう揃えておかなくてはならない」立場にあるところから中古業者に流れてきたものなのでしょうか（出品者は業者でした）？　バラで売ると、なかには高価で売れるものもあるだろうけど、売れ残りを抱えるリスクもあるのでセットで売り出したんでしょうね。
　ともあれ、以下のLPを全部まとめて6,150円（送料別途）で競り落としたのでした。 考えてみたら小室さんのレコードって、これの前にオークションで手に入れた『かげろうの唄（EP）』以外には、これまで一枚も持っていなかったのです（六文銭のや上条さんが歌った「紋次郎」はあるんだけど）。

	「『会い』 I am a…」　見本盤 　これはCDで持ってます。このCDを買うときも苦労してね。タワーレコードのWEBサイトで注文したのだけど、一度は廃盤ということでキャンセルされ、それが後から「やっぱりありました」と送られてきたのですね。
	「TVミュージック･セレクション」見本盤 　小室さんは作曲家や音楽プロデューサーとして、裏方的な部分で活躍している人でもあるのですが、これはそういうTV番組のテーマ曲などの作品集です。聞いてみたかった一枚。
	「プロテストソング」 　これもCDで持っているのですが・・・かつてNHKが「商品名だから」という理由でかぐや姫に「赤いクレパス」を「赤いクレヨン」と替えさせ、山口百恵に「真っ赤なポルシェ」を「真っ赤なクルマ」と歌わせたことがありました。その時、小室さんは堂々と「君はボルボを買ったんだってね」と歌ったのです（どこかに録音テープがあったはず）。まさにプロテストソング・・・と言いたいところですが､単にNHKの担当者がボルボを知らなかっただけじゃないのかなぁ。
	「絶唱」 　『デッドヒート』が正式名称ですね（これはオークションの商品説明の表記と順番で書いています）。2月からヤフオクを覗くようになって何度か出品されていますね。当時の熱気が伝わってきそうなジャケットです。
	「私は月には行かないだろう」 　六文銭時代に出したソロアルバムで、CD化されたときに買いました。今聞くと青臭いと言うか背伸びして歌っているような歌が多いですけど、「今の」小室さんが歌うとまたいい雰囲気になりますね。「守らずにいられない｣なんて、『時間(とき)のパスポート』のリメイクバージョンのほうはしみじみしてるからなぁ。
	「ニューヨーク24時間漂流コンサート」２枚組　見本盤 　「23区コンサート」がCD化されたときに、早くこれもCDにならないかなぁと思ってたのですが、なかなか実現しないのです（ゲスト歌手が多いので、レコード会社の専属契約の問題でもあるのかなぁ）。それがこういう形で手に入ったので、良かったと思ってます。あとは『目撃者』だなぁ。
	「小室等ザ･ベスト」　見本盤 　これはまぁ、タイトルの通りベストアルバムで、CDの『小室等』とは収録曲が少し違うのですが、何よりもジャケットが大好きなんです。小室さんのレコードで一番好きなジャケットです。でも「なんだ、お前、俺の顔が写ってないのがいいのかぁ！」と怒られそうだな。
	「東京」 　言わずもがなの今回の目玉。もちろん1973年発売のオリジナルではなく、79年発売のメモリアル盤なのですが、全然構いません。コレクションではなく、安心して聞ける音源を確保できたことが嬉しいのですから。

　そういうわけで幸福の絶頂にあったのですが、これを聞こうとして大変な事実が発覚しました。なんと、ステレオが壊れていたのです。レコードプレーヤーのターンテーブルが回らないし、ピックアップのオートスタートも働かない。いや、それだけならどこかでプリプリアンプ付きのプレーヤーを見つけてきてAUX端子に繋いでやればいいのですが、そのAUX端子のあるステレオ自体も壊れてしまっていたのです。ここしばらくレコードやカセットは聞かなかったし、CDはパソコンで再生させていたからなぁ。いつのまにか壊れていたことにまったく気がついていませんでした。
　さすがにステレオを買いなおすにはフトコロが苦しい現状なので、せっかく手に入れたレコードを聞くのは当分先になりそうです。とほほ。

余談その1

小室さんの今年のライブは9月28日です。お問い合わせは小諸ユースホステルにどうぞ。父ちゃんは開始ギリギリに駆けつける予定です。

余談その2

半ば偶然ですが、こんなサイトを見つけました。小室さんのディスコグラフィーについてはフォーライフのサイトより詳しいと思います。