《2003.01》
 正月はノンビリと? 

 元日にお泊りに行ってきました。このところ我が家の年末年始の過ごし方といえば、(宿の予約がとりやすいという理由もあるのですが)暮れの30日に一泊で泊まりに行って大晦日には帰宅、元日は家でごろごろというパターンが多かったので、元日から出かけるというのは極めて異例ですね。
 宿泊先は小諸ユースホステル・・・大晦日の晩は盛り上がりそうで、そういうところに小さい子を連れた我が家が行ってもお互いがつまらないかなぁという気もして、元日の晩に予約を入れたのです。わりと簡単にベッドが取れたのでちょっと拍子抜けしたのではありますが・・・。

おみくじは
中吉だったよ
 ふだんの日と変わらない、トーストを中心とした朝食を食べて出発。新年だからいちおう初詣、って言ってみたものの、子供たちは去年初めて初詣というものを体験したのでした。でもって、去年は我が家のメンバーが病気がちだったり怪我をしたりとあまりいいことがなかったので、これは初詣に行ったのが悪かったのかなぁという気もしたのですが、子供たちはおみくじを引いたりするのを楽しみにしているので、まぁ今年も行ってみますか。
 せめて場所を変えようかとも思ったけど、他に適当なところも思いつかないし、有名なところは混んでいそうだしで、やっぱり今年も利根川を渡って世良田の東照宮へ。我が家は日光へ行くときはもちろんのこと、東北道の佐野藤岡ICへ向かうときも、はたまた反対方向の渋川沼田方面に向かうときも、とにかくこの世良田を通って行くわけでして(さすがに秩父方面に行くときは通らないけど)、そういう意味では納得の行く場所ってことでしょうかねぇ。お参りを終えたら深谷には引き返さず、伊勢崎に向かってそのまま高崎を目指します。ああ、とうとう小諸に行くのにも世良田を通るようになったか。
 高崎からはそのまま18号を走ります。颯は「高速を使おうよ」と言うけれど、北関東道・関越道・上信越道を経由したのでは馬鹿馬鹿しく回り道になってしまうので無視。元日はクルマも少なく、もちろん赤信号があるのでスイスイとは行きませんが、それほどストレスなく走れます。父ちゃんは、なにも元日に旅行に出かけなくてもいいじゃないかと思っていたけど、帰省ラッシュとUターンラッシュの谷間で移動に向いている日なのかもしれませんね。そう言うと母ちゃんは我が意を得たりとでもいうかのようにニッコリ笑いました。

 軽井沢に寄って行きます。そうです、9月に買い物に寄れなかったので・・・って、店は開いているのかなぁ?
 実は、しばらく前に『森へようこそ』に電話して「正月は何日から開くの?」と訊ねたのですね。すると返事は「3が日が終わった頃に休む予定です」と、どうも質問と噛み合わない。それでも元日は開いていることが判ったので来てみたのです。で、来てみたら旧軽井沢の通年営業しているお店は皆んな店を開けて元日から営業中だったのです。父ちゃんにしてみれば元日くらい商店は休むだろうと思っていたのですが、まるでいつもの休日と同じように店が開いて人がさくさん歩いているのにビックリ。
「そうか、ここは観光地だったんだ・・・!」
トイレの棚は村上サンの額だらけ
うっかり触ると落としそうで怖い
 軽井沢のホテルやペンションで新年を迎えるという観光客も多いので、商店街にとってはビジネスチャンスってわけなんでしょうね。我が町の商店街と同じ感覚ではいかんのだなぁ(^^ゞ
 まぁそんなわけで『森へようこそ』に行って、毎年おなじみのカレンダーを買ってきました。お正月で浮かれてしまい、いつもの壁掛けに加えて今年は卓上用も購入。トイレの棚に置こう。

 今日はカレンダーだけが目的だから「一日いくら」ではなく時間制の駐車場にクルマを置いたのですが(本当にカレンダーだけが目的のときは、店の前にクルマを停めて2分で用を済ませたこともあったけど)、まだ時間に余裕もあるので、少し歩いてみますか。
 浅野屋は相変わらず賑わってるね。モカソフトの前も行列だ・・・おや?
 小さなブティック(洋品店と言ったほうがいいかな)の前にディスレイしてあったデニム地の女性用の上着に目が留まりました。父ちゃんの母親が好きそうなやつです。明日が誕生日で、3日に新年会で実家に行くことになっているし、これ、お土産に買って行こうかな。
 店の前の雪をスコップで片付けていた親父さんが、「店の品は全品5,000円均一で、3品買うと10,000円だよ、福袋だよ」と誘います。我が家は夫婦そろって、いわゆる福袋が好きじゃないんですね。あの、中が見えない奴。だって、いくら価格以上の品が入っていると言われても、色やデザインが好みのものじゃなかったら、自分にとってはまったく価値のない不要のものですからね。そういう意味では、このように「好きなものをチョイス」するのはいいですねぇ。ついでに母ちゃんのセーターも選んで「おい、2点買っても3点買っても値段が同じなんだから、あと何かひとつ選べよ」なんて、お土産用の1点だけ買えば5,000円だったんだから、結局この親父にノセられちゃったみたい(^^ゞ

 軽井沢の商店が元日から開いていることにビックリしたけど、よく考えたらここは以前何度も元日に来ているなぁと訪ねたのが『フレスガッセ』、ちょうどお昼時です。「こんにちはぁ、明けましておめでとうございます」と入っていったら「あらぁ、ちょうど今、松嶋さんが出ていったばっかりなんだよ」
 10数年前は、毎月(週?)のようにここに昼食を食べに来ていて、たいてい同じような友人たちの誰かと顔を合わせたものですが、最近は年に一度来るかどうかという頻度、なかなか知った顔にも出会えなくなりました。今や、こういうすれ違いも貴重です。ま、小諸YHに行けば会えるだろうな。
 店のテレビでは駅伝をやっています。そうか、正月は箱根駅伝だなぁと思ったけど、あれって元日にはやってなかったよね。で、画面を良く見ると群馬県を走っているではないですか。じゃぁ、来るときやっていたアレだ!
最初はおっかなびっくり
 初詣を終えて伊勢崎に向かう道に入ると、道路脇にコーンっていうのかな、あの赤い三角錐を並べている人がいたんですね。駅伝大会って看板も見えたから、よく正月に市民ロードレースなんてやるところが多いから、そんな市町村レベルの駅伝だろうと思っていたんですね。それが伊勢崎の市内でもコースが作られていて「スバル」や「佐川急便」の幟旗が道路沿いに並んで立てられていたり、高崎市内でも同じような光景があって、こりゃオール群馬県の大会なのかなと思いながら走っていたのでした。それでもローカルなレースだと思い込んでいたのですね。まさかテレビ中継されるような大会だったなんてね。それにしても、当然このための交通規制はあったはずで、それにもかかわらず境から高崎までスイスイ走ってきたのだから、やっぱり元日は走りやすいんだ。

 腹がいっぱいになったところで、スケートをやって行くことにします。子供たちは初体験ということで、しばらく前から楽しみにしていました。小学校に上がったり、学童保育所でワンパク遊びをするようになって(今年45歳になる父ちゃんでさえ知らないようなワイルドな遊びをしている)、子供たちに積極性が出てきたように思います。おっと、子供たちの初体験はいいとして、母ちゃんは10数年ぶりで、父ちゃんに至ってはそれ以上のブランクです。ちゃんと教えられるかな。
 レンタルの靴は硬いプラスチック製で、革靴しか知らない父ちゃんにとっては足が痛いし、くるぶしが回らないしで「これじゃ歩けないよ!」
 貸靴所からリンクまでがまた少し離れていて(前に来た時ははこうじゃなかったような)、屋外の階段やらシャーベット状に雪が溜まったところなどを歩かなければならないのですが、こちらが心配するまでもなく子供たちは何とか歩いてきました。ここでリンクに上がります。緊張の一瞬、膝に力が入ります・・・ほっ、転ばずに立てたぞ。軽く一周回ってみて、少しリラックスできた、親父の面目が保てそうな自信が湧いてきたところで子供たちの手を取って滑ることに。
 よちよち歩きの頃からバランスを取るのが上手かった結衣はここでも転ばず歩けました。それに引き換え颯は結構転びます。でもそれは果敢に挑戦している結果ともいえます。以前だったらキレて「もう、嫌っ!」とやめてしまっていたのに、何度も起き上がってはまた転んでいます。こいつ、去年のXCスキーでもそうだったな。急な登り坂で何度も転んで、それでもまたスキーに行きたがっている・・・。ふだんはグウタラで芯が無さそうだけど、興味さえ持てば真剣に向かって行ってくれるようなので、親としてちょっと安心しました。
なんとかサマになってきた
 何度転んでも立ち上がった甲斐があってか、やがて颯は結衣の上達を追い越し、一人で滑れるようになりました。結衣は転ばぶのが恐くて、転ばないようにしていることはできるのですが、そこで上達が止まってしまうのですね。これって父ちゃん譲りの性分なんだろうなぁ。父ちゃんも普通に滑ることはできるけど、それ以上の技ができない。中学生の時、初めてスケートをやった頃から進歩していないもんなぁ(^^ゞ

 さて、もっと遊んでいたいけど少し日が傾いてきました。夢中になっていたから気づかないけど、慣れないスケート靴履いて緊張して、結構足が疲れているはずです。
 小諸YHに着くと案の定、松嶋夫妻が先着していました。と書いたものの、ふだんニックネームで呼んでいるからピンとこないなぁ。松嶋夫妻って誰だっけ? 隠居とゾウだ(きっとこれを読んだ当人たちも、この方が自分たちのことだと判るだろう)。
 しかし、正月だってのに宿泊者が少ないのには少々とまどいました。10数年前は年末から満員で、まぁほとんど常連メンバーだけど、日夜声を枯らして面白おかしく新年を過ごしており、顔ぶれは変わっても同様な状態かと思ってたんですけどね。だからこそ大晦日の晩に泊まるのを控えたのでした。逆に、我々の時代の古いメンバーは、(家庭や親戚のしがらみもあるので)ちょっと日にちをずらして顔を見せに来るのかも。
ねぇ、どれが似合うかなぁ
父ちゃんはちっとも似合わない(^^ゞ
 ともあれ、元日の晩というのに、まったくの平日に泊まったかのような雰囲気には驚きました。しかし料理はさすがに正月らしく・・・あれれ、鯉の旨煮が無いぞ。このあたりのハレの料理の一つである鯉の旨煮は小諸YHの元日の定番で、これが食べたいというのも母ちゃんが元日に予約を入れた理由でもあったのですが、メニューから消えていました。
 そしてもう一つ、元日の定番といえば「百人一首」。北海道の人なら知っていると思うけど、取り札が板で作られたやつなんです。でもって変体仮名っていうのかな、異字が多くって筆文字で崩してあって、早い話、百人一首の和歌を諳んじているだけではアドバンテージにはならないという読みにくい取り札で、読むというよりは「絵」としてパターン認識しなくちゃならない。そういう意味では絵柄を見て覚えた犬棒カルタと同じで、場数をこなした人間が有利になるわけですね。
明日ハ晴レカナ曇リカナ
 かつての常連・名人がいない今夜は混戦あるいは父ちゃんでも優勢かと思われたのですが、それ以前に参加者が集まらず、なんとなく中止になってしまいました。こんな静かな正月って・・・家にいてもどうせ酔っ払って早寝するだけだから(今回は零時過ぎまで起きていたけど、このところ大晦日でも8時には寝ていたからなぁ)、こうやってストーブを囲んで旧友と静かに話して過ごすのも悪くないね。結衣は、これまた古くからの仲間である詩織が編んだ毛糸の帽子をいくつも貰って嬉しそう。父ちゃんにも一つおすそ分けがきたけど、これじゃ売れない古道具屋の親父だね。

 その夜、雪が降ってきました。窓から外を見ると、あたりは銀世界です。
 明日はどうなるかなぁ。

 その明日になりました。前夜の雪もやみ、木々の枝に着いた雪が朝日を浴びて輝いています。こういう景色を見ると「来て良かったなぁ!」と思いますね。母ちゃんの「ほらね」という笑い声が聞こえてきそうです。
 1月2日というと、行き先は決まっています。上田に行って駅前の飯島商店の初売りです。最近、ジャムはすっかりツルヤのオリジナルばかり買うようになってしまいましたが、毎年この日から売り出される三宝柑のゼリー(福居袋・生産量限定品)を買って帰って明日の新年会のデザートにしなければ。
 詩織も行くと言うのでクルマに席を作って・・・その前に雪おろしというか発掘作業をしなければ。大きな道路に出ればほとんど雪の心配はないのですが、、やっぱりスタッドレスを履いていて良かったなぁと思いますね。
 上田で買い物を済ませ、詩織とも別れて、さてこの後どうしよう。以前だったら小諸YHにとって返して餅つきと決まっていたけど、今はそれも無いしなぁ・・・そうだ、別所に行ってみよう。別所温泉のある上田市郊外の塩田平は、これまで四季折々に訪ねていたのですが、正月の、しかもこんな雪景色はまだ見たことがなかったのです。それでクルマを向かわせたのですが、別所温泉駅の近くで渋滞にはまってしまいました。
「しまった、みんな温泉に行くっていうのを忘れていた」
 別所温泉の共同浴場がタダになるっていう話があったか無かったか定かではないのですが、大晦日から三が日にかけて、市民が初詣でかたがた温泉に繰り出しという話を以前聞いたことがありました。って、今ごろ思い出しても遅いですね。北向観音や共同浴場に行けなくてもいいから、せめてこの先の交差点まで・・・ようようたどり着いて左折。まほろばYHの前を通って前山寺へ。
 いやぁ、雪景色を狙ってきて良かったですねぇ。山門から続く道の雰囲気も良かったし、境内もいい。振り返って眼前に広がる塩田平の雪景色も綺麗でした。
 しかしここを訪れるのも10年ぶりくらいになるのかなぁ。前に来た時は境内に休憩所みたいな小屋があったけど、なくなっているなぁ。その代わりといってよいのか、お寺の外に新しい招待所みたいな建物があり、帰りにそちらに寄るようにと声をかけられました。行ってみると大きな座敷があって座布団が並んでいます。ふだんは檀家の法事などで使うのかな。そういえば、ここは「くるみおはぎ」が有名なお寺で、昔は予約なしでも頼めば本堂に繋がった座敷で食べさせてもらえたけど(もちろん有料で)・・・ん? 予約?
 思わずアセッって声をかけましたね、ここは予約している人だけかと。でもそうじゃない、今お茶を点てますからと言われて待っていると抹茶と茶菓子が出てきました。結衣なんかは「あ、これ知ってる。こうやって回して飲むんでしょ」と嬉しそう。大人になった気分で神妙な顔をして飲んでいました。子供用に薄目に点ててもらったけど、それでもまだ苦かったみたい。
 お茶とお菓子の接待だけでは、やっぱりお腹がすきますね。せっかく信州に来たんだから、やっぱり蕎麦、ってゆきたいんだけど、蕎麦屋ってのは大晦日遅くまで忙しく働いたぶん正月は休んでいるものなんです。丸子から山を越えて立科、望月、佐久と走ってきて、道筋にあるこれまで寄って美味しかったお店は軒並み休業。やっぱりファミレスになってしまうのかなぁ、でもそれじゃぁ味気ないなぁ、と悩みながらもどうせ温泉にも行くのだからと、結局は小諸に戻って『あぐりの湯こもろ』内のレストランで食べようということになりました。これじゃぁ丸子から直接来れば早かったな。
 順序が変だけど、腹が減っているのでまず食事、それから温泉です。この『あぐりの湯こもろ』ってのは名前から想像が着くように農業関係の補助金を使って作られているから、結構名目をこじつけて作られているんですね。直売所が「地域特産農産物直売施設」というのはそのまんまだからいいけれど、レストランが「地域食材供給施設」だったり、休憩のための大広間が「情報交換体験室」っていうのは、いったいなんじゃいな!?
 ともあれ、食事の後はゆっくり「温泉交流室」でくつろいできました。昼間スキーに行ってた隠居ともここで顔を合わせました。

 しかし、冬の信州といえども温室の中は春なんですかね。隣りにあったビニールハウスでは元日からイチゴ狩りのシーズンインです。寄ってる時間はなかったけど、例の「地域特産農産物直売施設」でそれを使ったイチゴ大福を売っていたので買ってきて帰りのクルマの中で食べたけど、美味しかったですよ。

我が家から見える浅間山は雪で真っ白なのに
小諸に来ると地肌が出て見える・・・騙された気分
 夕日を浴びてオレンジ色に染まった浅間山を見ながらR18で横川へ。安中・高崎の市街地を避けるために高速に乗ったものの、関越道が混んでいるとの情報で吉井ICで降りて鬼石から児玉に抜けるという毎度お馴染みの帰宅パターン。しかし、走っていて気になったけど、南側の車道の端、つまり建物の北側にあたる部分で雪があったり凍っていたりするってのはどういうことだ? 横川あたりだけなら納得するけど、児玉まで来てもまだそうだ。で、家の近所まで来てようやく理解したのだけど、これってつまり、雪が降ったのは信州だけじゃなかったってことですね。

 いろんな意味で、今年は正月らしい正月だったのかなぁ。  少なくとも、我が家らしいドタバタジタバタ、でも何故か静かに過ごせたようも感じた新年の幕開けでした。