家庭内LANは実用というより技術的好奇心で |
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ADSLを導入して以来いっそう強く思うようになったのですが、インターネット、とりわけウェブの世界は日常生活と密接化してきたようです。ざっくばらんに言うと、何か知りたいことがあったら図書館などに行かず、まずパソコンに向かって検索エンジンにキーワードを打ち込んでみるようになりました。
例えば家族で旅行に出かける相談をするような場合、目的地の地図や観光スポット、宿泊施設の検索や天気予報までパソコンの画面で得られるのです。ニュースも然り。音楽や映画などのコンテンツも得られるようになると、テレビ以上の存在かもしれません。こうなるとパソコンは書斎や勉強部屋ではなく、リビングルームにあったほうがいいのではないでしょうか?
我が家はそういう状況をいち早く予測して・・・というわけではなく(少しは意識したんだぞ、エヘン)、自作パソコン『春菜』を組み立てた際に「あわてて捨てることもないから」と、それまでの『ぺんて君』を母ちゃんや子供たちが自由に使えるようにリビングルームの片隅に置いたのですね。実際のところ、子供たちが時々思い出したように月に一度程度ゲームで遊んでいるくらいなんですが。でもまあモデムをつけてインターネットのアクセスできるようにはしてあったんです(現役時代に使っていたオムロン製のモデムは『春菜』に流用したので、メーカー不明・〒認定番号なしという怪しいモデムを買ってきた)。
しかし時は流れて2階の『春菜』はADSLだというのに、『ぺんて君』がダイヤルアップというのでは電話代がもったいない(そもそも子供たちにはインターネットを使わせていなかった・・・不用意に長時間繋がれると困るから)。ここで「LANによるインターネット共有」という構想が湧きあがったのでした。
ちょっと前までは家庭でLANを構築するなんて、かなりのパソコンマニアのやることだと思っていたけど、最近はそうでもないみたいですね。父ちゃんもそうだけど、「インターネット共有」というのが主目的でポピュラーになってきたようです。で、調べたら我が家で使っているADSLモデム(レンタル品)はルータータイプなので、ハブとケーブル、LANボードの買い増しなど、5,000円ほどの出費で1階と2階のパソコン、それとインターネットが繋がりそうだと判りました。これなら父ちゃんの小遣いの範囲で大丈夫です。
それでは実行だと部屋の隅や廊下の天井を眺め、配線の経路を考えながら寸法を測っていると、母ちゃんが「見た目が悪くなるのは厭よ」と牽制します。
ここで母ちゃんに嫌われて「家庭内乱」を起こされても困るし、ケーブルが露出して家の中を這い回っているのは父ちゃんも望むところではありません。でも、モールを被せるとなると予算が・・・そうだ、電話の配管があったじゃないか!
この家を買ったとき、1階のリビングにコードレスホンを置いて、2階でパソコンをダイヤルアップで使えるようにと電話の配管をしておいて、実際これまでそうやって使っていたのですね。つまり、『春菜』の真後ろと、『ぺんて君』を置いている壁の面には電話のモジュラーコンセントがあるのです。この配管の中にLANのケーブルも通してしまえば壁の中に隠れてしまうではありませんか。LANケーブルを電灯線と並べるのは電磁波の影響を受けるのでご法度ですが、電話線くらいなら大丈夫とのことです。
そうと決まれば資材の手配です。メインとなるLANケーブルと埋め込み用のモジュラーコンセントは知り合いの電設会社にお願いしました。ハブとLANボードはネットオークションで。以上を安く手に入れたのですが、機器間を結ぶ短いケーブルを買ったり(今まで使っていた分の交換も含めてオーダーで長さを指定した)、やっぱり2mほどは必要になるモールや電源用のテーブルタップを買ったりしたら5,000円ってわけにはいかなかったですね。少々オーバー。ハブは8ポートで、家庭で使うには5ポートで充分なんだろうけど、それだけに人気があってオークションで競りあがってしまうのですね。それであっさり落札できる8ポートにしたというわけです。これまでの電話にLANが加わって壁のコンセントが2口になってしまうのですが、2口用のパネルは前に電灯の壁スイッチを取り替えたときに外して捨てずにいたものが使えました。
資材は揃った、いざ
・・・となるはずたったが
決意表明と資材の手配に字数を費やしてしまいましたが、ここまでくればあとは簡単・・・には行かなかったのですね。本来なら11月の「あのね」としてアップできるところが、開通まで3ヶ月もかかってしまうのです。
11月のある晩、接続や設定は明日の休日にやるけれど、とりあえず配管に線だけは通しておこうと思ったのですね。で、前もって通しておいたPP紐(必要なケーブルの長さを調べるため、一度抜いた電話線を戻すときに一緒に通しておいた)にケーブルを縛り付けて反対側から引いたのですが、電話線との摩擦が大きいのか、うまく通ってきてくれません。PP紐だから強く引くと伸びるだけだしね。
仕方ないから電話線を抜いて、ケーブルと束ねたものをPP紐で引いたら、ん? それでもスムースに引けないなぁ、それ、ぐっ・・・プツン。
紐が取れてしまい、もう引っ張れない。反対側から押しても駄目。諦めてケーブルを退却させたため、配管の中は空っぽの状態になってしまったのでした。さぁ、どうしよう。
誰かのウェブサイトに「こんなときはPP紐にティッシュをつけて、反対側から掃除機で吸い込む」という記述があったのを思い出したので試しましたが駄目。紐を細くしたりティッシュの大きさを変えてみたり、しつこくやっていたらキナ臭い匂いがして掃除機が停まってしまい、さてはモーターが焼けたかと青くなったのですが、その前に安全機能が働いて停まったようです。やれやれ、掃除機壊したら高くつくからなぁ。というより母ちゃんが怒って、それこそ「家庭内乱」だ(^^ゞ
翌日、ホームセンターに行ってピアノ線を買ってきました。でも、これも通らない。およそ17mある配管の、1階側から2.5mくらい入ったところで詰まっている感じなのですね。一度だけ、押し込んだピアノ線が反対側に貫通したことがありましたが、そちらに回って引っ張ってみても恐ろしく固くって、ある程度以上は引き出せない。諦めて引き戻したら、50数kgの引っ張り強度があるはずのピアノ線が切れてしまいました。
いったい中はどうなってるんだろう? 管が折れ曲がっているのか? 潰れているのか? それにしてもこのあいだPP紐はスムースに通せたじゃないか・・・内視鏡で見てみたい気分です。
日を改めてもっと太いピアノ線を買ってきたけど、やっぱり駄目。さらにはプロの工事業者が使う「通線ワイヤー」というのを借りてきたけど、全然貫通できないのです。諦めて露出で配線しようか。しかし、もともと配管の中を通っていた電話線まで露出させるのは口惜しいじゃないか・・・このトラブルが発生して以来、電話線は仮配線ということで食器棚から鴨居、階段の壁と、見苦しく空中にぶら下がっているのでした。早く何とかしなくちゃみっともないと思うのですがねぇ。
まさか連日この対策に取り組むわけにも行かず、他の用事もこなしながら週末にコツコツと、しかし変化の兆しも見えないことを続けているうちに、とうとう年を越してしまうことになりました。字数は少ないけど、この段落が一番時間がかかっているのです。
正月休みの最後の日、いつもより少し強めに通線ワイヤーで詰まった場所を突いていたら、何かに引っかかってしまったらしく、それ以上押すことも引くこともできなくなってしまいました。事態は「諦めて露出」よりもさらに悪化したのです。通線ワイヤーはしばらく借りっぱなしでも構わないとは言われていたけど、壁の中に突っ込んだままってわけにはゆきません。壁から飛び出している部分だって(直径1mあまりのロール状になっている)邪魔だし。
寝ても覚めても「どうやって外そうか」というのが気にかかり、いっそ近所の電気工事店に泣きつこうかとも思ったのですが、ある日「押すも駄目、引くも駄目なら回してしまえ」と居直ってワイヤーをぐるぐる捻ってみたら、うまい具合に外すことができました。
これにヒントを得て、ワイヤーの先端にカギ状にした短いピアノ線を付け、詰まっているあたりまでワイヤーを押し込んではギリギリと回しながら引き抜いてみるということをやってみたのです。すると・・・出るは出るは、ぐしゃぐしゃに絡まりあった針金が出てきました。以前父ちゃんが引き出すときに切ってしまったピアノ線は、その後に使った太いピアノ線に絡まって回収済みですし、それとは太さや輝きが微妙に違います。だいいち、あれがちぎれて残ったものとは思えない量です。これが管の中でケーブルが通るのを邪魔していたんですね。作業を繰り返すとこんなのが何本も出てきて、一体どうして中にあったの? と不思議でなりません。
下のコンセントのスイッチで
ADSLモデム・ハブ・スイッチ付テーブルタップが
ON/OFFできる
テーブルタップには『春菜』のシステム一式を接続して
ADSLモデムを使っていても
『春菜』は電源を落とせるようにしている
(『ぺんて君』単独で使うときのため)
ADSLだけならスプリッタは不要なのだが
FAX送信や電話機をつないでいるからね
ともあれ、まだ少し引っかかる感じは残っているものの、1階から通した通線ワイヤーの先端が2階の壁の穴から顔をのぞかせたのを確認したときは、嬉しいやらほっとするやらでした・・・「やったね、ホームランだ」
その先端にケーブルと電話線を縛り付けて引き戻します。ただそれだけの、すんなりゆけば5分とかからない作業なのですが、なんと12週間、3ヶ月近くもかかってしまいました。家庭内LANを紹介するウェブサイトをいくつも見ましたが、配管が通っていてもなおてこずったなんてのは他にありませんよね。
モジュラーコンセントの結線は工具が要らないタイプなので、細かい作業ではありますが簡単に済ませることができました。さぁ、あとは『ぺんて君』にLANカードを取り付けるだけ。
しかし、ここでもトラブルが待ち受けていました。LANカードがインストールできないのです。用意していたのはBUFFALO(メルコ)の「LGY-PCI-TXC」という10/100M対応のカードなのですが、マニュアルに従ってドライバをインストールすると、直後にWindowsがシャットダウンするのですね。で、再起動した画面にはこんなエラーメッセージが。
このデバイスを起動中にWindowsが応答しなくなりました。今後このデバイスの起動を試みることはありません(code 11.)詳細はWindowsヘルプのASDを参照してください。このデバイス用のデバイスドライバをアップグレードしてみてください
実はこのLANカードは2枚購入して、1枚は『春菜』で使用中。で、エラーの出たこいつを『春菜』に取り付けたら異常なく認識するので、これがいわゆる「相性が悪い」ってやつなんでしょうかねぇ。仕方ないので前に『春菜』で使っていた「corega Ether PCI-TL」(10Mタイプ。ADSLならこれで充分っていうんで最初にこれを使っていたんだけど、今回LAN構築ということで100M対応で揃えてしまったのですね)を『ぺんて君』に取り付けてみたら、今度はOK。LAN構築というとプロトコルがどうのかという話が出てくるのですが、そっち方面ではちっとも苦労はなく、もっぱら大工や電気工事屋サン的な部分でトラブッていたのでした。LANカードの相性問題は、パソコンいじりが好きな父ちゃんにとってはご愛嬌みたいなもんです。
これでようやく『ぺんて君』もADSLでインターネット接続ができるようになったわけです。それに、『春菜』の電源が入っている時だけという条件付きだけど、2階のプリンターがいちいち外して持ってこなくても使えるようになったわけで、かなり実用性が上がりました。起動するのに時間がかかるのは仕方ないけど(なにせWin3.1時代のマシンでWin98を動かしているんだからなぁ)。
損失を減らすためコード類は必要な長さを測って作った
モデムとハブを結ぶコード(ピンク)は20cm
電話のモジュラーコードもLAN用のツイストペアを使用
さっそく子供たちに「おい、ホームページ見られるぞ」と使わせます。最近は子供たちが好んで見るテレビ番組でも終了時に「番組のホームページはここ」とURLを紹介するものだから、見てみたくってしょうがなかったのですね。
ここで父ちゃんは重大な勘違いに気がついたのです。多少起動に時間がかかっても、通信そのものにパソコンのスペックはあまり関係ない。ADSLで転送速度が上がれば快適・・・と思っていたのですが、それはテキストや画像だけで構成されたページの場合なのですね(それさえも最近のブラウザソフトは重くて動きが悪い)。子供たちが喜んで見るページはショックウェーブで絵が動いたりゲームを楽しむページが多く、処理能力が貧弱なパソコンでは結構相当辛いものがあるのでした(^^ゞ
しかし、ハブのアクセスランプの点滅を見ていると、実際に通信している時間は僅かだということがよく判りますね。画像やゲームに夢中になっていても、それはインターネットから自分のパソコンに取り込んだデータを使っているだけで、通信はしていないのです。ダイヤルアップってのは無言電話みたいなもので、つくづく電話代がもったいないなぁと思うのですね。