間隙の夏(海の日曜日) |
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キャンプ場到着が午後2時。チェックイン開始は1時からだったけど、途中で遊んでもこれたので丁度いい頃合いでしょう。高台の上にある管理棟でチェックイン。役場のウェブサイトや送ってもらったパンフレットの見取り図では平面図として描かれていたので気がつかなかったけど、バンガローや電源サイト(A区画)はこのまま高台の上なのですが、B区画へは海とは反対側に丘を下らなければなりません。上から見下ろすと、かなり混んでいる様子です。
A区画からB区画を見おろす
とても海辺のキャンプ場には見えない
普段だったらここはサイトに勘定しないんじゃないかなというような隅っこの三角のスペースや通路の脇のちょっとした空き地にもテントが張ってあって、一般のサイトの半分くらいの広さなのに、これで同じ値段だとしたら不公平だなと思わせるものがありました。でもね、そんな狭く見えるサイトでも(我が家の隣もそういうサイトで、翌日新しくやってきたファミリーの子どもが「ウチはここ? 狭いねぇ」と言っていた)標準的なテントとタープが張れちゃうんですよ。我が家が指定されたのは、テントサイトがかたまっている場所ではなく、テニスコート脇に3サイト並んだ一つだったので、正直言って『あづま森林公園』に続いて「またかよ」という気分だったのですが、結果的には密集感がなくて良かったです。
で、ここが結構奥行きがあって、5m×12mくらいはあったんじゃないかなぁ。なにせポール間6.5mのヘキサタープと後室付きのシンドーム6を縦に並べて張ったんだから。こんなレイアウト、今までやったことないよ。
他のサイトを見ているとテント2張り持ってきているところも結構あって、友人や親戚を誘って2家族で来ているところも珍しくないみたいですね。
このB区画、「海を臨む高台」というキャンプ場のうたい文句から見るとダマされた感じもしますが、これはこれで悪くない。というよりも父ちゃんの好みに合っています。椅子に座って青空を見上げていると秩父あたりの山里でキャンプしている気分にもなれるし、なまじ高台で強風にさらされる場合があることを思えば、はるかに快適かもしれませんしね。
ここも一区画・・・ちょっと落ち着けそうにないね
また、前述のテニスコートや遊具のある広場、釣堀なんかも並んでいて、解釈の仕方によってはA区画は高台の高級住宅地、こちらは商業施設と庶民の居住区が一緒になった雑居地区、みたいに思えなくもないですね。ともあれ、「海水浴を目的にキャンプに来た」のではなく「キャンプをしながら海水浴も楽しめる」という感じが気に入ってしまいました。
とはいえやっぱりここは海水浴目的で来る人が圧倒的なんでしょうね。役場のウェブサイトで見た予約状況も8月半ばまで満員でしたし、キャンプ場に登ってくる坂の途中にあった砕石を敷いた広場も、テントサイトとして使われていましたから(本来はキャンプファイアーなど多目的に使う予備の広場なんだろう。水道はあったけどトイレは見当たらなかった・・・正直言って「海水浴のために仕方なく泊まる」という気持ちでなければ泊まりたくない)。
さて、設営も済ませたし、我が家も海に行ってみますか。
出発前のリサーチではキャンプ場から遊歩道を歩いて数分で海水浴場に行けることになっています。ところが、地図を見ると「和島村には海が無い」のです。これはいったいどういうことなのでしょうか? 行ってみて納得しました。つまり海岸に沿って道路が走り、道路脇に丘が迫っている。ここまでは行政的には寺泊町なのです。丘の中腹辺りに境界線があってそこからが和島村である、と。そして寺泊町域にある海岸の一部を和島村が占用許可をとってシャワーと脱衣場を設置して海水浴場にしているというわけだったのです。もちろん、海水浴場は無料ですし、シャワー(湧き水利用)も脱衣場も無料。道路には都合よくポケットパークがあるので、キャンプ場利用者だけではなく近郷近在や通りかかりの人などがバーベキューセットやクーラーボックス抱えてやって来るのでした。ううむ、ここに来る途中の大きな海水浴場で浜茶屋の若い衆が一所懸命客引きやっていたわけだ。
まぁ、実際に賑わっているのを目にするのは翌日以降の話で、我が家にとって初日のこの日は雨があがったばかりで夕方が近いということもあって人の数は少なく、我が家も父ちゃん母ちゃんは水着には着替えてはおらず、もっぱら子どもたちを納得させるために海に出てみたという、まずは様子うかがいのなのでありました。
アルコールが入ると、さすがに運転疲れが出てきた
それにしても地図で平面的に見ればキャンプ場からわずかな距離だけど、丘の上り下りは結構しんどいものがあるぞ。
夕食は家から持ってきた肉を焼いて食べました。場所柄もあって周りは海鮮バーベキューのところが多いみたいですね。西山ICからこのキャンプ場まで「食料の現地調達は困難なり」と予想して家から食材を持ってきており、実際たしかにスーパーなどが見つからなかったのですが、周りでそういうことをやっていられると父ちゃんもやっぱり海産物が食べたくなります。明日は寺泊に買出しに行こうかな。
さて、一夜明けて快晴の朝です。絶好の海水浴日和!
我が家も心おどらせて浮き袋を膨らませます・・・大人も遊べるように数日前に大きいのを一つ買い足してクルマの中に忍ばせていたのですが、さすがに口で膨らませていたらめまいがしてきた(^^ゞ
ところで、昼食はどうしよう? 第一案としてテントに戻ってきて焼きソバでも作ろうか・・・いやいや、戻ってくるのは大変だからご飯を炊いておにぎりを作って持ってゆこうと考えが分かれたのですが、荷物が増えるのも面倒なので、折衷案としておにぎりを作っておいて、戻ってきて食べようということにしました。去年だってお昼で海水浴を切り上げたしね。
そういうわけで、海に向かって出かけたのですが、サンシェードテント(我が家では「半分テント」と呼んでいる)とタオル類を入れたトートバッグ、ジュースを入れた小さいクーラーバッグだけでも坂道を下るには大きな荷物です。そうそう、あの巨大な浮き袋も。でね、海岸に行ったらポケットパークに見覚えのある車が数台停まっていて、そうか、キャンプ場からクルマで来るという手もあったんだ。遊歩道があるから歩かなくっちゃいけないという決まりはないのでした。
落水海水浴場(近くに「落水の滝」という名所がある)は、浜茶屋のある海水浴場に比べたら猫の額のような小さな海水浴場でした。海岸からすぐのところに波を食い止める石積みの防波堤があって、その両脇から遊泳エリアを示すロープが張られて、狭い狭い海水浴場なのですが、小さな子どもがいても安心して遊ばせることができる家族向きのところだと言うこともできます。
泳ぐだけではなく、防波堤の岩の隙間で生き物を探したり(前に日に小さなカニを見つけた)、気がつくとずいぶん多くの人がここで楽しんでいました。
はやる気持ちを抑えて朝食 | 山のむこうは青い海だった | すでにクルマがいっぱい |
気ん持ちイイ〜! | 遠浅の砂地で遊びやすい | トイレと更衣室、離れてシャワー |
去年の村上でも気がついたけど、ビーチパラソルや弁当だけを持ってくるのではなく、バーベキューの道具を持ってきている人も多いですね。アウトドアブームの名残というか、ホームセンターなんかで安く手に入るから、浜茶屋で場所代払うのと同じくらいの出費で自分たちの好き勝手ができるというのが魅力でもあるんでしょう。でもね、水に入るのにビールは良くないと思うよ。命に関わる問題なんだけど・・・え? 泳がない? 浜でバーベキューしてるだけ? あのぉ、帰るときまでに酔いは醒めてるんでしょうね。
というわけで父ちゃんが率先して泳いでいる気味のある我が家はノンアルコール。健康的にお腹が減ってきました。とは言うもののキャンプ場まで戻るのが面倒だ・・・やっぱりここまで持って来れば良かったのよという母ちゃんの声を背に受けて、父ちゃんはテントサイトまでおにぎりを取りに行ったのでした。いやぁ坂道が辛かった。
まさかここまで海水浴に夢中になるとは思っていませんでしたが、ほどほどのところで切り上げないと後の日焼けのヒリヒリが怖いからね。
テントサイトに戻ってシャワーを浴び、着替えてさっぱりとしたところでドライブです。昨日通った西山ICからここまでのルートは、旧市街地の県道と観光向きの海岸線だったのでめぼしい店は無いだろうと予想していたのですが、海岸から離れたところを走っている国道に出たらいきなり大きな食品スーパーとホームセンターがありました。キャンプ場から近くて、これは便利です・・・って、また来ること考えてる?
寺泊へ行くのだったらそのまま海岸線を走ればいいのに、なんでわざわざ内陸部の国道に来たかというと、それはやっぱり道の駅。めざす『良寛の里わしま』は国道から少し外れたところにありました。前日の『西山ふるさと公苑』もそうだったけど、もともとあった郷土資料館と駐車場を道の駅に認定させてしまった感じですね。つまりここは「良寛の里美術館」なのです。とくにこちらは展示してあるものも堅苦しいというか、子供を連れてトイレのついでに見てゆくというものではない雰囲気だったので、スタンプを押しただけで出てきました。
やっぱ、これですね
田んぼの中を走って寺泊です。相変わらず賑わっています。10数年前の9月の半ばにここでキャンプをしていたことがあったんだよね。魚のアメ横の真向かいの公園・・・はキャンプ禁止だから、防砂フェンスの向こう側で。海岸のキャンプは砂まみれになるから厭だなんて言っておきながら3年ばかり続けたのでありますが、あのときは「海水浴をしない」というのがコダワリだったわけですな。
で、その経験を基にして言うと、寺泊で魚介類を調達すると「いろんなものを食べることができない」のでありますね。とくに少人数では。
つまり「お刺身の盛り合わせ」みたいなのが買えないので、一切れか二切れずつ幾種類も食べられるように魚が買えないのですね。一山いくらなんてのはまだいいほうで、発泡スチロールの箱単位で売られているものを子連れの家族で買ってしまったのでは、キャンプの間中そればかりを食べなくてはならないのです。で、結局国道沿いのスーパーでパック入りのものを買う羽目になる・・・と思っていたら、素晴らしいものを見つけました。
バーベキューセットと称して、イカ、ホタテ、サザエなどが4、5人で分けられる分量で詰め合わせになっているのがあるじゃぁないですか。で、500円刻みの価格体系で品目や量が増えていったりするわけです。こりゃあ便利だ。父ちゃんはサザエにも惹かれたのですが、他の家族はハラワタが苦手だろう、それならサザエが入っていないセットを買って、500円でハマグリを一袋買ってゆこう、とまぁウキウキした気分で寺泊を後にしてキャンプ場に戻ったのでした。
前夜はテーブルの上でユニセラ使っておとなしく肉を焼いたけど、今宵はファイアーグリルにエビやホタテを並べて豪勢な気分です。しかしながら丘をはさんでいるせいで海鮮バーベキューをやっていながら海が見えないというのは不思議な気分・・・海? そうだ、今何時? はたと気づいて遊歩道のところまで行ってみると、まさに夕日が沈むところでした。はは、去年、村上のホテルで日没の時刻を気にして覚えていたのが役立った。
感動的な夕日だった
日が落ちてからも焚き火をして余韻を楽しんでいると、遠くから花火の音が聞こえてきました。和島村のイベントで、昼間は気球の乗船体験などもあったということが後に広報を見て判ったのですが、その時は花火も音だけで、どこで打ち上げているのか判りませんでした。
3日目も快晴の朝を迎えました。爽やかな青空と緑の匂いに包まれて、繰り返しますが秩父の盆地あたりでキャンプしていると行ってもいい気分です。場所によっては密集感もあるけどそれぞれのサイトは広さを確保しているし、設備も整って清潔です。ちょっとクルマを出せば大きなスーパーもあるし、寺泊まで足を伸ばしても30分足らずです。 父ちゃんはこのキャンプ場が気に入ってしまいました。来年もここでキャンプしながら海水浴ってのもいいなぁ。
でも、他の3人は首を横に振ります。もちろんキャンプ場は気に入っているようなのですが、海水浴は去年みたいにホテルなんかに泊まって楽しみたいらしい・・・おやおや、出発前とすっかり意見が反対になってしまいました。
さて、撤収です。例によって早くから少しずつ片付けている割にはチェックアウト時刻ギリギリまでかかってパッキングを終え、キャンプ場を後にします。目指すは今日も寺泊。今度は他人が作ってくれた美味しいものを食べて帰ろうという計画です。
あらかじめインターネットで見つけておいた『日本海』というホテルにクルマを入れると「お食事ですか? お風呂ですか?」と声をかけられました。お風呂はこの先の温泉で入るつもりだったのだけど、キャンプ場から出てきたままの汗臭い格好で気取った食事をするのもなぁ。それにまだ11時でそれほどお腹も減ってはいない。
結局、風呂に入ってから食事ということにします。入り口でどちらかと訊ねられたのは、食事だけなら1階のレストラン、入浴もなら2階の大広間でと、食事をする場所が違うのだということでした。
本館と新館をつなげたような構造の建物の廊下を歩いて颯と男湯へ行き、脱衣場で服を脱いでガラッと戸を開けるとそこは休憩室。部屋の左右にさらに戸があって、それぞれ別の風呂場に出られるという変な構造。もちろん海が見えるほうがいいと左側の浴室に入っていったのですが、景色はいいけど日焼けした肌にお湯が痛い。だましだまし身体を濡らしたりサウナで汗をかいたりして休憩室に戻ると、そこにあった張り紙で2つの浴室が景色だけではなく湯温が違うということが判りました。海側のほうは熱いお湯だったのです。そこで再びぬるい方に入りなおしたけど、やっぱりヒリヒリ痛かったです。
先ほどの熱い風呂と同様に寺泊の港や佐渡がよく見える大広間で食事です。お刺身のボリュームもたっぷりで、周りの客も少なく、すっかりくつろげました。風呂上りのビールが頼めないのが残念でしたが。
刺身の舟盛は二段重ね。これで1,200円
考えてみれば寺泊には多くの観光客が来るけど、みんな帰りに海産物を買って行こうとする人ばかりで、泊り客は少ないだろうなぁ。すぐ近くに弥彦温泉だってあるしね。だから昼間の食事や入浴だけのお客でも呼び込もうと一所懸命なんだろうね。ナンだったらここで晩飯食って和島のキャンプ場に戻るってものありかな・・・なんて考えてしまうのでありました(^^ゞ
本日もまた魚のアメ横を冷やかして、今度はお土産用なんだけど、やっぱり量が多すぎるって気がして、結局新鮮なおサカナは買えないんですね。
さてさて、いよいよ帰途です・・・ってルートの都合で家からはますます遠ざかっているのですが、さらに北に向かって『てまりの湯』です。本当はここで風呂に入るつもりだったのですが、寺泊で入っておいて良かった。いや、さっぱりした気分とほどよく空腹で昼食が食べられたのはもちろんですが、なんとここが休業日でした。
実はこの場所、『国上』という道の駅(最近できたところらしく、昨年のスタンプブックには未掲載だった)でもあるのですが、扉の閉まった案内所の前に、あらかじめスタンプを押した紙片が置かれていたので一枚貰ってきました。秩父の大滝温泉もこうだったけど、休業日や時間外にスタンプを押しにやってきた人のための配慮は嬉しいですね。
デビルフィッシュ・・エイの仲間らしい
地元のTさんを仕事場に訪ねて行くことにします。今回の新潟行きは、例によって仲間たちには内緒にしておいたのですが、Tさんだけには早くから計画を明かし、と言うよりも「好い民宿知らない? 美味くて安い食事処知ってる?」とアドバイスを求めていたのです。結果的には自分で和島のキャンプ場を見つけてしまったし、Tさんが教えてくれた寺泊のカニが売り物の店も寄らなかったのですが、ここで彼は「この近くにアウトレットがあるんですよ。寄ってゆけば?」
聞けば、燕・三条の金属加工メーカー・商社が旧モデルやロットがまとまらずに市場に出せないなどの品々を激安で出品しているとかで、その名も『ストック・バスターズ(在庫退治)』。「スノーピークも出してますよ」の一言で、さよならの挨拶もそこそこにTさんの職場を飛び出したのでありました。
で、来てみると、結構いろんな品がありますね。場所柄もあって洋食器類や鍋の類が豊富です。期待して行ったスノーピークの商品は子どもの遠足でしか使えないようなデイパック類くらいで本格的なアウトドアグッズはありませんでした。でもまぁ家庭用品なんかはいろいろ目移りして欲しくなるようなモノがあって、気がつくと結構な時間が過ぎていましたね。母ちゃんはここで鍋をご購入。
この店は当初、週末だけの営業ということでスタートしたらしいのですが、人気が高くって、いまや年中無休とか。
三条燕ICを目の前にして、『キタロー』という店に寄ってみます。前にたまたまネット上で見つけた、よくあるタイプの観光客相手の物産店なのですが、スプーンを作るところを実演しているというのに興味を持ったんですね。ところが、店内に入ってみると、他のお客がいなくって静まり返ったところに照明が薄暗く、肝心の実演の生産ラインは停止していて機会油の臭いだけが場違いに漂っているという、なんだか淋しい状況でした。
夏の前にTさんと何度かメールでやり取りした中で、彼はいつも「こっちに来たらお金を落として行ってね、不景気だから」と書いていたけど、ここであらためてその言葉を思い出してしまいました。
しかし、この週末、空は晴れ、楽しい夏を味わうことができました! さっき会ったTさんも「こっちもずっと天気が悪くてねぇ・・・この土日やっと晴れたんですよ。だから地元の人にとってもこの週末が今年最初の海水浴になったんじゃないかなぁ」
お休み中
そうです、どんな状況でも楽しいことは巡ってくるんですよ。また働いて、来年もこうやって海水浴に来たいなぁ、いや、来るぞ!
関越道に乗っていよいよ帰途に着いたのですが、変だなぁ、いつもならこの新幹線と併走する区間でたいてい電車を見ることができるのに・・・それもそのはず、我が家が三条燕ICから高速道に入った頃、隣接するJR燕三条駅では車両から煙が出るという事故のために、新幹線が一時運休になっていたのでした。
そして家に着いた時刻には、出発した日に地震のニュースを聞いた松代PAでバスジャックの捕り物劇が起きているという、なんかこう、事件と隣り合わせに行動しているような気がしたのです。ま、翌日の新聞で知ったんだけどね。
幸い我が家は事件に巻き込まれることもなく、これといった病気も怪我もなく無事に帰宅です。それが何より一番ありがたいことですね。天気にも恵まれ、ツイてるツイてる。