《2004.03》 ■ 鉄は熱いうちに… 

椅子にセンサーが仕掛けられており
体重が軽すぎると作動しない
 3月の27日に、ちょいと父ちゃん東京へ行きたい用事ができまして、ちょうど子供たちも春休みに入るので一緒に連れて行ってやろうかと誘ったわけですね。最初は颯だけが来ると言ってたのだけど、土壇場になって結衣もやっぱり行くと言い出して親子3人で出かけることになりました。
 子供たちが行きたい場所は『ポケモンセンター トウキョー』と、あとは…「東京タワーに行ってみたい!」と颯が典型的なおのぼりさんコースを希望したのだけど、結衣も連れて行くことになると電車賃も余分にかかるし、ちょっとフトコロに痛いぞ、という情けない事情は顔に出さないようにして「それもいいけど、交通博物館に行ってみよう。いろんな電車の模型なんかがいっぱいあるらしいぞ」
 ふだん滅多に電車に乗る機会がない我が家の面々ですが、颯は2月に長野新幹線(ついに北陸新幹線とは誰も呼ばなくなってしまったみたい)&しなの鉄道で小諸に行ってみたり、3月には開業前の本庄早稲田駅から試乗列車に乗るなど鉄道づいている。それに日頃から駅名を暗唱したりして、誰の血を引いたのか鉄道ファンに育ちつつあるのですね。というわけで「交通博物館に行こう」という提案には一も二もなく乗ってきたのです。結衣には「ちょうど春休みのイベントでアニメ映画の上映もあるみたいだよ」と言って、子供二人と一緒に高崎線の電車に乗ったわけです。

 ところで、交通博物館というのは父ちゃんてっきり『鉄道博物館』といって神田から御茶ノ水に向かう中央線のガード下にあるのだとばかり思っていたのですが、陸海空の乗り物すべてについての博物館で、4階建ての建物だったんですね。でもって、交通文化振興財団というところが運営しているらしいんだけど、結局のところ旧国鉄⇒JR東日本・西日本の持ち物らしいですね。だからJR東日本の株主ご優待で無料券というのがあって、例によってネットオークションに出回っている、ということに一週間ほど前になって気付いてゲットしておいたのです。まぁ正規に入場料払っても大人310円なんだけども。

 わりと早い電車に乗れたので上野駅には9時過ぎに着き、このまま八重洲のポケモンセンターに行っても10:00の開店まで待つことになる。それなら9:30開館の交通博物館を先に見ようと秋葉原で下車、博物館の前まで来ると子供たちが「あ、ここ『こち亀』であった場所だ!」
 建物の外壁に新幹線の先頭部分がくっつけて展示してあるのですが、そういえばたしかにテレビの『こちら亀有公園前派出所』で、ここがストーリーの重要部分になっている話があったっけ。しかし、こうやって壁に先頭部分だけが張り付いてるのって、壁に自分がしとめた鹿の首なんかを飾っているみたいで、あまり好きになれませんなぁ。
 春休み初日ということもあってか、開館とほぼ同時といっていい時刻なのに、我が家を含めて親子連れの来館者がゾロゾロ入場しています。

 入ってまず目に付くのは大ジオラマ、HOゲージの車両がずらりと揃って壮観です。10:30に運転するというのでそれまでは別の場所で…お、シミュレーターがあったぞ。本物の電車の運転台に座って発進から走行・停止を体験できるのですが、近郊型車両を使ったものは眼前の風景がコンピューターグラフィックスで、これはたしかにいろんな風景が楽しめるけど、なんだかゲームセンターで遊んでいるみたいで味気ないですね。そこへ行くと山手線のシミュレーターは実写の映像を使っていて、迫力満点。とくに駅に着いたときにホームの端を歩く人が妙に気になって、なるほど運転手にとってはホームの端をウロウロしていると迷惑なのだなと実感しました。
 このシミュレーターに真っ先に飛びついたのは、もちろん颯。ところが意外にも結衣までが「わたしもやってみたい」と言うではないですか。もともと颯と二人で遊びに来るつもりだったのでここを選んだから、結衣は退屈するんじゃないかなと心配していたのですが、これでホッとしました。そして、ここだけの話(と言いながらWEBに載せたんじゃちっとも内緒ではない)結衣の方が運転が上手でした。でも、不思議ですね。このシミュレーターは一駅ごとに運転手が交代するようになっているのですが、結衣の前にやっていた子供はうまくホームの端に停めることができずにオーバーランしてしまうのです。すると「運転を替わってください」というメッセージが出ずにさらに次の駅まで行くことができるのです。ゲームセンターだったら、うまく停められた人にご褒美としてもう一回ですよね。この子が三駅も四駅もタッチアンドゴーを続けて、ようやく順番が回ってきた結衣が一駅でピタッと停めてそれでお終いというのは、なんだか腑に落ちません。
 ところで父ちゃんはこういうゲームものはからっきし苦手。で、このシミュレーターの後ろの方に面白いものを見つけました。同じようにレバー操作をするのですが、風景画像が動くのではなく、「本物の」パンタグラフが跳ね上がり、台車の車輪が回りだすという展示です。シミュレーターのように運転室や車体などがなく、パンタと台車がポンと置いてあるだけで電車らしさは無いのですが、鉄の車輪が目の前で回り、ブレーキをかけたときのシューッという音はまさに本物の迫力。父ちゃんとしてはこちらの方が興奮しました。

駅だ。ちゃんと停めなきゃ 次々に走り出すのは壮観 解説のお兄さんは子供たちのヒーロー
映画ホールはレトロな雰囲気 なるほどっ、浮いてる たしかに鉄道の展示だけではない

 そうこう遊んでいるうちに大事ジオラマの運行開始が近づきました。行ってみると、すでに階段状の観覧席には親子連れでいっぱいでした。照明が暗くなり、朝の一番列車からスタートという趣向です。通勤型電車が動き出し、そのうち中距離特急が走り始めます。お兄さんの解説を受けながら次々といろんな電車が留置線から駅のホームに入線してきて山や街並みの中を走って行きます。
 ふと気が付くと、セットの片隅に置かれたモニターテレビからは、最初に動き始めた電車にカメラが取り付けられているのでしょう、運転席からの映像も映っています。あ、今ビルの間を走っている…てぇと、どこだ? 広いジオラマの中にいる電車を見つけると、おっ、もうすぐすれ違うぞ…再びモニターテレビを見て、模型とは思えない迫力に満足です。決して父ちゃんだけではなく、そこにいた大人も子どもも皆んな夢中になって見つめています。でも、さすが新幹線は人気一番ですね。真打登場とばかり走り始めると、どよめきの声が沸き起こりましたから。
 夜が来て朝になり、再び夜が訪れて…30分ほどの実演は終わりです。これを見ただけでも入場料分の価値はあったように思うのは父ちゃんだけでしょうか? まぁ、家でプラレールを走らせるのも面白いけど、これだけ大きなジオラマの中を走る模型を見るのはまた別の気分で爽快ですなぁ。

 そうそう、プラレールと言えばこの日は春休みの特別企画とかで「プラレールで遊ぼう」というのをやっていました。プラレールの歴史なんかを紹介して古い型のものを展示してあるのかと思っていたら、広いスペースにプラレールがいっぱい用意してあって自分で好きなコースレイアウトを作って…という本当に「遊ぼう」という企画なのでした。颯がこれを楽しみにしていたのですが、さすがに遊んでいるのは小さな子どもばっかりで、しかも順番待ちが長そうだったので「やっぱり、いい」
 もひとつ春休み企画だったアニメ映画の上映は、これがあまり交通と関係なさそうな「人魚姫」「長靴をはいた猫」…結衣と父ちゃんで見たのですが、よくまあこんな古いフィルムをというような映画で(ナレーションが宮城まり子さん)、ある意味では交通博物館の古い建物とマッチしていました。

 ここは鉄道博物館ではなく交通博物館だったというのは前の方で書いたとおりで、自動車や飛行機・船に関する展示もありましたが、展示するほうも見に行くほうも鉄道部門に力を入れている感じですね。退屈がるかと思って心配していた結衣が結構楽しそうに過ごしていたのにはビックリしました(そして内心ホッとしました)。

 昼食後は子供たちお待ちかねのポケモンセンターです。ここは去年も一度行ったけど、八重洲口から日本橋に向かっての目立たない通りにあるんだよね。だから路地の入り口がよく判らない…やっぱり間違えて通り過ぎてしまい、日本橋の大通りに出てしまった。と、なにやら子供連れの行列が目の前に。プラカードを持って整理中の女性に尋ねると、ポケモンセンターが入場制限中で順番待ちの行列なんだって。で、最後尾に並ぶと「2時間くらい待つでしょうね」とのこと。
 ポケモンセンターってのは、こう言ってしまうと実も蓋もないけど「ポケモングッズの直営売店」なのですよ。ディズニーやスヌーピーなどでもありますね。子供たちにとっては聖地かもしれないけど、アトラクションを体験するのならともかく、グッズを買うのに入場制限するほど混んでいるところで慌しい思いをしたくないじゃないですか。でも、子供たちはここに来るのを楽しみにしていたからなぁ…「どうする?」
 子供たちも午前中の交通博物館で少し疲れたのか、ちょうど暑くなってきた路上で2時間も待つのを嫌ったのか、今回は諦めるということになり、例の女性が「そこでも一部商品販売をしてますから」と言った目の前にある高島屋デパートの特設会場に行くことにしました。実はポケモンセンターでも春休み企画というのがあって、「ポケモンの卵(ゲームボーイで使えるキャラクターのデータ)」というのを配布していたのですが、東京店だけは配布場所がポケモンセンターではなく高島屋だったのですね。だから、これだけが目的ならポケモンセンターに行かなくてもよさそうなものだけど、やっぱりポケモンセンターまで行って来たというのが子供たちにとってはステータスなんでしょうね。考えたらこの日は春休みになって最初の休日でした。我が家よりももっと地方から楽しみに出てきた一家もあるのかもしれません。ホテルに泊まって明日はディズニー、なんてね。

 ポケモンセンターに寄れなかったお詫びってわけでもないけど、新宿の都庁に行ってみることにしました。朝、秋葉原の駅で長いエスカレーターが途中で一時水平に動く区間があり、「もっと長い『動く歩道』ってのがあるよ」と話して聞かせた新宿駅から都庁に向かう地下通路を見せてやろうと思ったのですが、行ってみたら運休中(土曜日っていつもそうなの? 前に行ったときは平日だった)。おかげで疲れた結衣をおぶって歩く羽目になったのは帰りの話。往きはとりあえず元気に都庁まで行ったのでした。

おとう、早く写してよ さっきまであそこにいたんだね

 都庁のエレベーター前も行列だったけど、これは順調に流れて展望室へ。父ちゃんは一昨年の秋に仕事で来たついでに展望室に昇って見たのですが、あの日は天気が悪くて景色が見えなかったので今回雪辱戦です。颯は高いところが苦手とかで、あまり窓に近寄ろうとはしません。そして結衣は…「ねぇねぇ、お母さんに電話しようよ」
 あのぉ、珍しい観光地、特に日本最○端とか○○山頂とか「端っこ」によく見られのですが、「ねぇねぇ、ワタシ今どこにいると思う?」って電話したがる人って多いと思いませんか? 誰が教えたり躾けたわけでもないんですけど、結衣のセリフを聞いて、これは人間の本能だと思いましたね…え? 父ちゃんの遺伝?
 都庁から降りて今度は向かい側の住友ビルの展望コーナーへ。20年位前は、父ちゃんは仲間たちとよくここに来たもんですけどねぇ、タダだから。今は同じタダならもっと高さのある都庁に客を取られたのか、すっかり閑散としていました。
 ここでも颯は窓の外の景色より、地下のお店のショーウインドーに目を奪われていました。鉄道模型の店があるんですよ。交通博物館で動いていたHOゲージ(レール幅16.5mm)もいいけれど目の前にあるNゲージ(レール幅9mm)の緻密さもいいよね。これなら家の中でレイアウトしても場所をとらないし…なんて、父ちゃんも子供の頃は憧れていたものででした。

ここは以前仕事で何度も歩いた 緋毛氈はブルーシートより本格的

 ところで、そもそも今回東京に来る本来の目的は何だったのか? つまり冒頭に書いた「東京へ行きたい用事」ってやつですが、毎度お馴染みユニフレームさんが、これはちっともお馴染みではなく、初めての企画として東京ショウルームで新商品展示・販売会を開くというので覗きに行ったわけですね。近所の店だけじゃなかなか新商品が並ばず、手にとって使用感を確かめることができないからね。実際、スキレットを手で持ってみて、見た目は9インチと10インチで外見の差はあまり無いと思ったものの、重さがこれほど違うのかとビックリしました。それなら軽い9インチがいいんじゃないかと普通は思うのだけど、大は小を兼ねると敢えて10インチを購入。「実際使うのはワタシなんだから」と母ちゃん怒るだろうな。
 そのほか廃番となった商品をいくつか購入。決して我が家はビンゴの景品だけで揃えているのではないんです…ほとんどアリバイ作りのために来ているみたい(^^ゞ

 ユニフレームさんのショウルームは昨年移転して麹町郵便局の裏手にあるわけですが、この日の東京は桜が満開一歩手前。で、市ヶ谷駅に向かう帰り道に土手の上を歩いたのですが花見客でいっぱいです。区役所もちゃんと特設のゴミ捨て場を用意して準備万端ですね。道具もあることだし(って、売り物だけど)できることなら皆んなで夜桜の下のバーベキューなんてやってみたいものですが、父ちゃん夜には自治会の会合があって家に戻らねばならないのでした。