《2004.11》 ■ 道はぱれえど 

 道の駅スタンプラリーも、9月以降は月に1度のペースでの出撃になってしまいました。とはいえ10月のユニフレキャンプを終えた時点での有効スタンプ数は45個。いや、実は8月を終えた頃から50個を狙っていたのです。
 今年の目標を30個に掲げたときは、正直言ってちょっときわどいなと思っていたんですよ。それが新潟旅行の際の「高速道路途中下車」や野反湖の帰りの『川場』『白沢』などで予定外のスタンプを稼ぎ、9月10月のお出かけ計画が立ったところで44個という数が出たのですね(このときまだ『甲斐大和』は予定外)。11月にあと6個、何とかならないかと地図を睨んだのです。また、12月は忙しくなるので出撃は無理な情勢ですから、11月が最後の決戦になりそうだったのですね。
 群馬はすべて回ったし長野・山梨はもう遠くて無理。そこで気が付くのは栃木・茨城・千葉にはまだ一度も足を踏み入れていないということです。いくら今年のラリー参加駅が98駅あると言っても、これら3県抜きに50個のスタンプを獲得するのは無理でしょう…よし、最後は50個のスタンプもさることながら、すべての県を回ることも目標にしようと改めて地図を睨んで組んだのが11月のコースです。さすがに千葉県内の道の駅にまで立ち寄るのは無理でしたが、ルート上では千葉県も通過することになっています。
 11月13日、子供二人を連れて出発です。


 ホントは遠回りになるけど一旦新田から桐生を目指し、R50をすっ飛ばすのが佐野までは早い…と判っているのですが、まぁそこまでシビアに考えなくてもいいだろうと妻沼から利根川を渡って大泉に…と、これは去年の暮れに那須に行った帰りに佐野藤岡ICから帰ってきた道ですね。しかし、子供連れだとなかなか予定通りには行かないものです。家を出てまもなく腹へったコールが出て、大泉のコンビニでさっそく食糧補給です。朝飯食って家を出てきたばかりだろ、まったく…。
 やっぱりR50を使わずに来ると時間がかかるな…予定よりちょっと遅れて田沼に到着。すでに農産物直売所が賑わっている様子が伺えます。


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どまんなかたぬま
 折からの好天気と、郊外に立地しているせいもあるのか、目に飛び込んできたのは、明るくて伸びやかな印象の駅でした。いや、実際に駅舎の中も明るい雰囲気で、職員の人たちも「おはようございます」と非常にフレンドリーに声をかけてくれますし、すっかり好印象を持ってしまいました。
 9時半過ぎのオープン直後のせいでしょうね、駅舎の中の施設より外の直売所などが賑わっています《写真1》。とはいえ男親と子供という組み合わせではあまり農産物には興味が湧かずに、餃子などのスナック系に目が行ってしまうのは仕方ないですよね。
 道の駅巡りをするようになってからは、父ちゃんもオリジナルを中心に結構ソフトクリームやアイスクリームを食べたりするようになっているのですが(10日ほど前にも太田市に買い物に行った帰りに『めぬま』でジェラートを食べてきた)、ここでも美味しそうな、そしていろいろ変わった種類のジェラートがあったので手を出してしまいました。わさび味ってのがありましてね。ずっと前にも安曇野の大王わさび園でソフトクリームを食べたことがあったけど、ここのはそれ以上に爽やかな印象でした。それに後味が少しばかりツンとくるところが「わさびらしさ」を残していて、なかなか美味しかったですね。ポイントカードを作りましょうかと訊ねられたけど、それは断っておきました。『めぬま』や『おかべ』と違って、そう何度も来れるところではなさそうだから。
 天気も良かったので軽食コーナーの外にあるパラソルの下でジェラートを食べていたのですが《写真2》、ガラス越しに中を覗いたらテーブルの上に塩や胡椒と並んで「餃子ふりかけ」というのが置かれていました《写真3》。ううむ、さすが栃木だ、と感心してよいのでしょうか?
 あ、そうそう、この駅で凄く印象に残っているのは、100円玉を入れてハンドルを回すとカプセルに入ったおもちゃが出てくる例のヤツ、あれがいたるところにあるのですね《写真4》。数えたわけじゃないけど、全体で200台くらいあるんじゃないの? で、あの機械というか自動販売機、結構いろんな呼び名があるみたいですね。ガシャポンとかガチャとか…ちなみに、父ちゃんは子供の頃「カプセルおもちゃ」と呼んでいました。当時は10円だったけどなぁ。


 カーナビの誘導はR50に向かって南下するのですが、国道まで出ずに並行する県道67号・37号を走らせます。道としては日光例幣使街道にあたるから、こちらの方が由緒正しいのかな。でも国道の方が広い道だよなぁ、といっても、以前いすゞ自動車の工場のあたりで渋滞に遭ったこともあったしなぁ…結局、日にちや時間帯によって状況が変わるのだから誰かと同時に走って較べてみないことには判りません。今自分が走っている道がベストなのだと信じるのが一番なのでしょうね。ようやくR50と合流するところで左折、とうとうR50を走ることなく白鴎大学の裏を回って小山市街に出てR4に。あ、最近めっきりコマーシャルを見なくなったけど、小山ゆうえんちは健在だったんだ。
 で、しばらく北上したところでカーナビの指示に従って右折したら…ぎょえ〜! どうしてウチの近所では幅25mの4車線道路を無視しておいて、ここで4m幅の対向車と満足にすれ違えないような道に案内するんだ。
 しかし、この先で合流した県道44号線は、『にのみや』に一番近いところでR408に出られるのでありました…むむむ、おぬし、できるのぉ。


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にのみや
 名前からしてなんとなくそれっぽかったのだけど、例の銅像が建っているのを見て、ああやっぱりなと思ってしまったのです。でも、あの人って小田原方面のご出身じゃなかったっけ? …何を隠そう二宮金次郎改め尊徳は小田原藩主の命を受けてこの地に赴任して農村復興をしたのだそうです《写真5》。それで今やこのあたりはイチゴの名産地となり(それは違うか)、街灯にもイチゴが実っているという…ねえ、この街灯、浮いてない? ちょっと派手だよ《写真6》。
 物産館が「尊徳物産館」、休憩所が「いちごふれあい館」と名前がついているのはいいとして、トイレまで「さくらトイレ」というのは少々ノリ過ぎではないだろうか《写真7》。でもまぁ愛着が持ててキレイに使おうという気持ちが湧いてくるのかな。中庭を囲むようにU形に配置された建物群もそうだし、通路を広く確保した駐車場も、全体として広々とした印象を受けるのだけど、実際に使える部分が狭いような感じがしますね。面積的には半分以上あいているように見える駐車場でも、空きスペースを探してウロウロしている車がいたし、物産館の中もなんとなく狭苦しく感じてしまいましたから。
 それはそうと、自分としてはこのあたりに来るのは初めてで、事情も知らないのに生意気なことを言っているのかもしれませんが、こういう交通量の少ないローカルな地域の国道でもそれなりにドライブを楽しむ人たちがいて、休憩かたがた立ち寄りながら土地の産物を手にする姿というのは、秋の穏やかな日差しの下でなかなかにいい風景に見えてしまうものです。道の駅ってのは幹線道路よりも、むしろローカルな道路にあったほうが良いのかもしれないですね。田舎だとどこにでもクルマを停められそうでいて、その実、トイレにしたって「ここでいい」と確実な場所がなかったりするものですから。街の中ならガソリンスタンド、駅、ショッピングセンター…父ちゃん昔はよく警察のトイレ使っていました。「トイレ貸さないで立ちションさせる気か」って。


 出発したらいきなり茨城県に入ってしまいました。『にのみや』って、ほとんど県境にあったんですね。ここからはR408はR294と共通区間になります。左側に見える線路は真岡鉄道ですね。今でも蒸気機関車は走っているのかな。
 下館市街を過ぎ、さらに道なりに南下すると、やがて田んぼの向こうに見えてきたのは…天守閣!?


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しもつま◆
 現代的なデザインではあるのですが、なんとなく天守閣を持ったお城に見えてしまいました。いや、意識しているぞ、きっと。
 広い駐車場を持って駅舎も長細いデザインなので、まるで高速道路のサービスエリアですね。そこへもって展望台ですから遠目にも目立ちます。
 ちょうどお昼だし、子供を連れているので食事のことを考えなくっては(『にのみや』で腹へったコールに遭ったものの見送ってきた経緯もある)。実を言うと、この日は蕎麦が食べたかったのです。新蕎麦の時期でもあるし、多少値段が高くても、ちゃんとした蕎麦が食べたかった。もっと本音を言えばこういうときこそ反対に北上して那須の『東山道伊王野』に行きたいと思ったのですが、それこそそこで一日が終わってしまいます。
 そういう半ば悲壮な思いでやってきたのですが、駅舎に入って行くと軽食コーナーには「いかにも」という感じのラーメンばっかりで、あの安っぽい蕎麦さえ見つからないのです。ありゃりゃ、こんなに大きくても満足な食べ物がないではないか。と一度展望台に昇ってみたあと(筑波山が良く見えました《写真9》)、物販コーナーに入ったらさらに向こうに抜けるドアがありました。いや、間口が広いというか細長い建物なのでまだ先があったのです。すると目の前に現れたのはレストラン。地元の豚肉を使ったトンカツが美味しそうですが、あいにく今日の気分ではありません。さすがにレストランで建物は行き止まりだったのですが、さらにその先に別の建物があって、ワォ、これがお蕎麦屋さん《写真10》。しかもかなり美味しそう。屋号が「そば打ちめいじん亭」と、自分で言うようじゃ品がないなぁとは思ったけど、外で順番待ちの人が待っているくらいですから期待が持てます。この田園地帯のど真ん中では、ここを出て他の店を探すのも子供たちには苦痛でしょうから、多少待ってでもここで食べて行くことにしますか…いや、じっさい結構なお味でした。
 で、この蕎麦屋の裏が小さな納豆工場。そうか、ここは茨城県か…水戸納豆。実は父ちゃん知る人ぞ知る大の納豆嫌いで、30メートル先で人が食べているのを見るのも嫌なのです。それなのに子供たち、特に結衣は大の納豆好き。壁に「ご自由に見学してください」と書いてあれば見てみたくなるのは道理です。ここで駄目だと突っぱねるのも教育上良くないし…まてよ、雑菌の混入が致命的な納豆工場だもの、ガラス越しの見学で臭わないに決まっている。それに納豆は室(むろ)で発酵させるものだから、工場見学といってもせいぜいパック詰めの工程だけだろう。意を決して中に入って行くと、果たして父ちゃんの思ったとおりでした。目の前のガラスの向こうにはパック詰めのラインがあり、しかも本日は工場は稼動しておらずに、女性が一人何やら片付け物をしているだけでした《写真11》。
 再び蕎麦屋の前に戻って来たのですが、蕎麦屋の隣には農産物直売所がありまして(ここで例の納豆を売っているらしい)、珍しいなと思ったのは、そば粉はたいていどこの直売所でも売っているのですが、ここではこね鉢からそば包丁、麺棒、ノシ板、コマ板など、そば打ちに必要な道具すべてを売っていたのです。
 さっきの「そば打ちめいじん亭」の店内にもあったのですが、この農産物直売所の入り口にも軒先には熊手ぼうきが下げられていました。お客がいっぱい来るようにとの縁起かつぎでしょうが、かき集められる「モノ」扱いされているようで、正直言ってあまりいい気分ではないですね《写真12》。


 再びR294・408を南下して、少し行ったところで左折して下妻市街に向かいます。余談になりますが、R408はこの先で今度はR125と共通区間になって東に向かい、つくば市でようやく単独の路線に戻って南下するのだそうです。最後は成田まで行くんですね。
 こちらは、そのR125を西に向かい(終点まで走ると父ちゃんの勤め先だ)、八千代町で県道137号線に入って進路を南西、猿島方面に向けます。地名や国道番号には馴染みがあるものの、初めて来る地域なので位置関係が頭の中で全然把握できていません。すべてカーナビ様のお告げにお任せです。後で道路地図と照らし合わせたら、結構律儀に最短経路を選んでくれていたようです。父ちゃん一人ではこのルート、曲がる場所を見つけるのが難しそうで選ばなかったろうな。もっと無難に国道や主要地方道をつないで走っていたことでしょう。


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さかい
 そういうわけで、訳が判らないまま境町の市街地に出てきたかと思ったら、前方に白壁の建物が見えてきました。あ、あれだ。
 市街地からのアプローチでは他の建物の陰になってしまい、ちょっと目立たない建物ですが、逆に利根川方面から見たらいい感じですね。由緒ある街の博物館という雰囲気です。駐車場がいっぱいだなと思ったら、道路の下をくぐって向こう側にも第2駐車場がありました。前方にはショッピングセンターの大きな建物がそびえており、こちらは町並みに溶け込んで目立ちませんね。9月に訪ねた『しらね』ほどではありませんが、通過するドライバー向けというよりも、この町を目当てに訪れた人や地元の人のためのような施設にも見えます。
 休憩室になっている建物に入ると、すぐに反対側に通り抜けて物販施設のある建物が続きます。なにもわざわざ二つに分けなくてもと思いたくなるような配置なのですが、きっと管理上の理由があるのでしょう。物販施設の中に入ってまず目につくのが農産物直売所の混雑振りでした《写真13》。まぁ混んでいるのはどこでもそうなんですけど、ここの場合はがっしりとして落ち着いたたたずまいの外観とのギャップが大きいだけに、妙な感じがしますね。
 お、ここでも例のスタンプマシンがありました。2台並んで設置されていたので子供たちが仲良く面白がって押します《写真14》。
 駐車場に続く歩道の上に高瀬舟が置いてありましたが、どうやら夏場には水に浮かべて遊覧してもらえそうなんです《写真15》。かつては利根川と江戸川の水運で栄えた町らしいのですが、現代では水辺の癒しのレクリエーションが楽しめる町になりつつあるらしいです。
 外に出て土手に登ったら利根川の向こうに天守閣が見えます。今度はちゃんと江戸時代風のデザインです《写真16》。どうやらあれが『関宿城博物館』らしく、町役場のウェブサイトでも近くの観光名所として紹介されていました…他の自治体、しかも他県の施設をこうやって紹介するのは立派ですね。県境付近の観光情報を集めていると、近所にあるのでセットで紹介すれば素敵なハイキングコースになるのになと思えることがよくあるものです。お互いに観光客誘致にプラスになるのだから、行政の枠を超えてドンドンやってもらいたいものですね。


 というわけで、橋の向こうは千葉県です。といってもその先の江戸川の橋を渡るまで約2kmしかないのですが…ともあれこれでスタンプラリーで関東甲信すべての都県に足を踏み入れました。千葉県最北部の狭い地域ですが、先ほどの博物館やら『鈴木貫太郎記念館』など、立ち寄って見て行きたいところがいくつもありますね。
 さて、ようやく埼玉県に戻ってきました。新4号バイパスに出て南へ。次の道の駅は国道沿いではなく広域農道沿い。やがて見えてきたのですが、検索対象の路線ではないためカーナビが案内しきれません。有視界飛行に切り替えて向かいます。


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アグリパークゆめすぎと
 名前から想像つくように、もともとが農業活性化交流施設として設置され、「まちの駅」としても認定されているところです。だからこそこんな畑の真ん中にあるのですが、広い敷地にお弁当などを広げてゆっくり過ごせる広場《写真17》やフリーマーケット開催中のイベント広場《写真18》、体験農場などもあったりして近郊の人たちの憩いの場になっています。だから休日は駐車場の回転が悪いと覚悟していたのですが、なんとか表に面した駐車場にクルマを置くことができました。裏にもまだあるらしいんです。
 ここはウチの子供たちも遊具などで遊んで行きたくなるだろうと思っていたので、少し時間をとって休んで行くことにしましょう。(実は翌日は埼玉県民の日で、隣の宮代町にある『東武動物公園』が高校生以下に無料開放されることになっていたのです。だから翌日来れば少しはすいていたかも)
 まぁそれにしても全体では広大な敷地です。全部見て回ろうとしたら、それこそ弁当持参ですね。とはいえ子供たちが夢中になる場所は遊具広場周辺に限られています。場所柄もあってか農業や農作物にちなんだデザインが施されていますが《写真19》、ひととおり遊んだら落ち着いたようです。おおい、アイスクリーム食べたら出発だよ。


 幸手まで県道を走り、そこからR4を北上します。今日は利根川を中心に周回しているようなコース取りで、路線番号だけを見ると午前中に走ったり見かけた道をまた走っている感じです。
 実を言うと、ここで父ちゃんはカーナビの画面を見誤りました。いつもスタンプラリーに出撃するときにはインターネットを使って選んだスポットをメモリーカードにダウンロードして、それをカーナビにセットして経由地やルートを決めているのです。で、走りながらチラッと画面を見たら、誘導するルートが利根川を渡って茨城県の古河市に入り、そのまま利根川の対岸にあるスポットを経由して埼玉県に戻ってくるようになっている。そして埼玉県内のルートに沿ってスポットが2箇所…これをこの先に予定している二つの駅だと思い込んだのです。じゃぁ利根川の向こうにあるスポットは何だ? 何か間違ったデータを登録してしまったのか? そう思って栗橋から強引にR125の方に入って利根川沿いに走り始めたのです。
 そこで初めて判ったのですが、北川辺町というのは利根川の対岸にあったのですね。まさか埼玉県でも利根川の向こうに領土があるとは思わなかった…。つまり、カーナビが示していたのは正解で、父ちゃんが見ていたこちら側の2箇所のスポットは、その後立ち寄る予定の『おおとね』と、時間に余裕があったら立ち寄ろうかと思っていた『さいたま水族館』なのでした。水族館はもう経由地として指定はしていなかったのですが、帰宅するルート沿いにあったために経由地と錯覚していたことが判明したのです。
 というわけで一筆書きルートが崩れてしまいましたが、『おおとね』は最後に立ち寄ることにして通過、そのまま利根川を渡って対岸に渡ります。


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きたかわべ◆
 いちおうここも埼玉県なのですね。改めてそう思ったのは、ここに着く手前で道路標識は群馬県に入ったことを示していたからでした。道路は群馬県で、道路脇は埼玉県なのかもしれません。というくらいここが県境が入り組んだところで、地図を見たらわずか1kmの間で埼玉⇒栃木⇒群馬⇒埼玉と走り抜けてしまう渡良瀬遊水地に面した場所です。
 ここは今年の8月に道の駅として登録され、つい先月にオープンしたばかりのできたての駅です。といっても埼玉県庁のウェブサイトでは以前から『簡易パーキングきたかわべ 』として紹介されていたところです。写真を見ると、今回の道の駅登録に際して敷地の奥にある物販施設の建物が新設されたようです。実際、屋内にはまだ紅白の幕が下げられていました《写真23》。認知度の低さや夕闇の迫った時間帯ということもあいまって、農産物直売所やレストランはがらんとしており、まだまだこれからだなという感じでした。
 で、元からあった帆に風をはらんだようなデザインの建物は『スポーツ遊学館』といい、渡良瀬遊水地で遊ぶ人たちのためのセンターとして機能することを目的にしているようです。団体に限るそうですがカヌーやヨット、そしてこちらは個人でもOKの自転車や双眼鏡のレンタルをやっています。更衣室やシャワーもあるようです。ここで一日過ごす人には便利な施設ですが、道の駅としてみた場合、駐車場の回転が悪いということにならないかが気がかりですね。
 3階の展望デッキに上がると眼下には広々とした風景が広がります。休憩施設として物販施設の近くにガラス張りの建物も設置されているのですが、この雄大な風景を見たら、雨の日でもない限りはあんなガラスの檻みたいなところに入っていたくはなくなりますね。
 駐車場の一角に立っている銅像の人物は、「わが国解剖学の父」と言われた田口和美(かずよし)博士の没後100年を記念して今年の3月に建てられたものだそうです。それにしても渡良瀬遊水地の雄大な景色に向かって建ててあげればよかったのに。レストランのほうを向いて建てられたんじゃ、お腹がへってしまって可哀想だよね。あ、そうか、『遊学館』をバックに記念写真を撮りやすいように建ってるんだ《写真24》。
 初めから期待はしていなかったのですが、まだスタンプは設置されておらず、自己満足の立ち寄り記録となります。さて、引き返していよいよ最後だ。


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童謡のふる里おおとね
 今年のスタンプラリーでここを最後に持ってきたのは、父ちゃん流のこだわりがありました。というのも、昨年の最終ポイントは『おがわまち』ということにしていますが、本当はそこで応募した後のまだラリー期間中に『ゆめすぎと』と『おおとね』に立ち寄ることができたのでした。つまり、事実上ここが昨年の最終ポイントだったのです。だから今年は名実ともにここを最終ポイントにしてあげようと決めていたのですね。家からも比較的近くて、最後にここだけを目的に来ることも可能だったし。
 そんな父ちゃんの一方的な思い入れでやってきた駅はもうすっかり日が暮れや夕闇の中にありました。ううむ、写真が撮れるかな。
 どうしてここが「童謡のふる里」なのかと言うと、数々の童謡を作った音楽家、下總皖一さんの生誕の地であるというよくある話で、駅の正面にも銅像が立っているのですが、その脇にある「たなばたさま」の歌碑にはボタンがついており、押すとメロディが流れ出す仕掛けになっていました《写真25》。ふけゆく秋の寒空に「笹の葉さらさら」のメロディはミスマッチに思えるのですが、空気が澄んで星が綺麗な季節だから意外と合っているのかな。しかし、この銅像の足元には販売用の花の苗などが並べられていて、歌碑にこんな仕掛けがあるなんて気がつかないどころか近づけないんじゃないのかな(我が家は結衣が発見しました)。そういえばわが町深谷にも「みかんの花咲く丘」のメロディが流れる歌碑があるけど、あれも近所に住んでいる人くらいしか知らないのではなかろうか。
 メイン施設の農業創生センター《写真26》から少し離れて農村レストラン《写真27》が建っています(さきごろここの運営委託をめぐって新聞沙汰になったっけ)。営業時間が11時から14時30分までとランチタイム限定なのですが、休憩室や情報コーナーとしては10時から18時まで使えるそうです。中に入ると厨房部分にシャッターが下ろしてあり、客室部分だけが自由に使えるようになっていました《写真28》。ここで親子三人でスタンプ帳の最終ページにあるアンケートなどを記入して、いよいよ本年度の関東道の駅スタンプラリーの応募です。
 農業創生センター(農産物直売所)に持って行き、事務室らしいものが見当たらないのでレジにいた娘さんに応募したいのですがと声をかけたら、隣にいた若い男性がきっぱりと、
「まだ受け付けていません」
「ええ〜っ!?」


「まだ受け付けていないって、どういうこと?」
「応募者に渡すステッカーが本部から送られてきていないので、受け付けることができないのです。これは他の駅でも同様のはずです」
「でも、こっちはこのあと道の駅に行く予定がないから今日ここで応募して行きたいんだよ。ダメって言われても困るなぁ」
「…でも、そういうことになっていますから。こちらからも本部に言っておきますよ」

 なんだか納得の行かない話ですよね。例えば我が家が夏に新潟に行ったときのように、夏休みを利用して限られた期間しか参加できない人も多いはず。九州から旅行に来たついでに回るって人だっているはずです。道の駅でしか応募を受け付けていないのですから、極端な話、7月1日から応募を受け付けなくてはいけないはずです。後から郵送ってわけにはいかないんだもの。(ちなみに新潟を旅行した時には、たいていの駅ではスタンプの横に応募箱が置いてあり、気軽に応募用紙を投函できるようになっていました)
 というわけで気負って行ったにもかかわらず応募できずに帰ってきたのす。翌日、この経緯をこちらからも手紙に書いて『関東「道の駅」連絡協議会』宛てにFAXで送ったのですが、これを書いている12月7日現在まだ何の回答や弁明をいただいておりません。

 そんな中で12月を迎え、忙しいといっても忙中閑ありと言うがごとく、ちょっとお昼に蕎麦でも食べに行こうかと近所に住む両親に声をかけて『おかべ』に行ってきました…あそこは家から15分で行けちゃうしね。それに朝7時から夜10時まで開館しているので、いよいよとなれば最後はここで応募できるなと思っていたのですね。
 ちょうどこの日の朝の新聞に折り込みチラシが入っていて、2,000円以上のお買い上げ先着150名様だかに「現金つかみ取り」をやらせてくれると書いてあったのですが、さすがに7時開店のところにお昼近くに行ったのでは終ってましたね(^^ゞ
 ささやかな親孝行で一緒に昼食を食べた後、事務室前のカウンターで職員に応募用紙を渡すと「では、お預かりします」と言われ、そのまま事務室に入ろうとしたので「あれ、今年はステッカーは無いんですか?」と訊ねたら

「ええ、ありません」

 あらためて今年のラリーの開催要項を見たら、なるほどどこにも「参加賞のステッカー」とは書いてありませんでした。それじゃぁ『おおとね』の対応っていったい…?
 連絡協議会だって「初めからステッカーなんてないんだよ」と教えてくれればいいものを…なんだか妙な終り方をしてしまった今年のスタンプラリーでした。
 でも、応募することが目的ではなく、道の駅を巡ること自体やドライブを楽しむことが目的なんだから、これでも「よし」としましょう。
 今年の戦績は、スタンプ獲得51駅、ラリー不参加駅5駅(期間中の新設2駅を含む)、ついでに立ち寄った北陸地区が5駅と、当初の目標30駅をはるかに越える望外の成績でした。これでつまらなかったと言ったらバチが当たりますよね。

 さて、もうすでに来年の話になってしまうのですが、『おがわまち』を今年のスタートに持ってきた「尻とり方式」を踏襲すれば来年は『おおとね』からのスタートになります。そうなれば初日は今回のコースを逆回りすればいいのかなとも思うのですが、来年は上記の地図で薄く表示したとおり新設の『庄和』『ごか』『みかも』が加わってくるでしょう。こりゃぁ結構忙しい一日になりそうですよ。子供たちよ、遊んでいる暇はないぞ!