電装いじりでバッテリー線を外した後は
ホンダ本社前が現在地になる
 まだ使ったことがなかったので「今度のクルマにはカーナビをつけよう」と決めていたのですが、Breezingのカーナビは純正品が標準装備でした。市販のものと比べると機能的には斬新さに欠けるというか無難にまとまっていて、そういった点ではちょっと面白味がないのですが、まぁ予算の都合もあるしね。それに最新のDVDナビのように「電話番号検索で○千万件のデータを内蔵」しているとか謳われても、そう年中見知らぬところを訪ね歩くわけでもないし、そんなに多機能でなくてもいいのではないかとも思うわけです。貧乏性だから、使いもしないデータがたくさんあるのは勿体無いという気もします。
 純正のいいところは、デザイン的にも他の機器やインテリアと調和しているし、配線もスッキリしているところでしょうか。GPSアンテナもダッシュボード内に隠れているし。エアコンのマニュアル操作も画面表示を見ながらするようになっていて、単にカーナビゲーションやテレビだけではなく、車輌のシステムの一部という感じがします。そうそう、リアカメラも連動していて、ギアをバックに入れると後方の映像も出ますしね。
4車線の道路を直線で500mの距離なのに
なぜかカーナビは遠回りをさせたがる
 6インチの画面は少々小さいかなという気がしないでもないですが、見づらいということはありません。オプションで8インチというのもあったのですが、本体が液晶パネルと一体化されておらず、ダッシュボード内ではなく運転席下に設置されるのが、使い勝手が悪かったり埃が入りそうな気がして注文しませんでした。というよりは、5万円高くなるのが痛かったというのも大きな理由です(02年5月のマイナーチェンジで8インチが標準になった)。

 実際に作っているのが住友電工システムズという会社だそうで、これを知ったときは「むむむ・・・」と思いましたねぇ。というのも、ぼくはパソコン用の『Atlas Mate(ver2 for Win95)』という地図ソフトを持っていて、これのルート検索機能が実にスカタンだったからです。目的地が右にあるのに左折してしばらく行った先でUターンしてみたり、直線でわずかの距離をはるばる迂回することがざらだったり・・・はたして、Breezingのカーナビもそれをやってくれました。家の近所で右折すべきところを直進させておいて、麗しい女性の声が「この先Uターンです!」(まさか、こんなセリフが用意されているとは)
 迂回したがる理由は多少想像がつくんですよ。やっぱり「国道」「県道」「主要地方道」の優先度が高く、「市町村道」なんかはヘタすると候補にさえ入ってないのもあるかもしれません。でもね、左上の例なんかはひどすぎると思うのです。そりゃ、片側2車線あっても「市道」という理由で迂回するかもしれませんけどね、でも、並行して走っている道が何本もあるのに、なにもわざわざ国道に出て、そのあと「主要地方道」というだけでセンターラインもない道に誘導しなくてもいいと思うのですよ。この道、路上に電柱が立っている所では、うまくすれ違えずに手前で停止して対向車をやり過ごすクルマも多いのです。
 つい最近道路が拡張されたというなら仕方ないですけどね。でも、この広い道はかなり以前からあったはず。20年位前からあったんじゃないかなぁ・・・そうそう、このカーナビのデータには、わりと最近できたコンビニが載っていて「へぇ、ここも出ているのか」と感心させられるのですが、20年も前に名前が変わった(というか元の会社から分離独立した)会社が出ているのを見つけて、「いったい何を基にして作ってるんだ!?」と言いたくもなるのでした。

 しかし、我が家の近所の私道みたいな4m幅の道路まで、まるで毛細血管のように細かく表示されるのを見て、これが全国津々浦々にいたるまで同様に網羅されて1枚のCDに収められているかと思うと、感動さえ覚えて、多少のことでケチつけたりしてはいけないなぁと思いつつも、やっぱり「なんで、こんな道を案内するんだ!」と誘導を無視して走ってしまうのです。

 自分がよく知っている場所だから、こんなスカタンぶりが判ってしまうのですが、これがまるっきり見知らぬ土地だと有難がって案内に従うしかないのが悔しいですね。まぁ、極端に迂回しているのは「これはヘンだ」と気が付きますが。
 でも、逆に意外な抜け道を教えてくれることもあって(人間の心理として、いつも走るところほど既成のパターンにとらわれるものですよね)、妙に感心したりもします。

 人間の心理といえば、「上が北になった地図」・・・あのイメージってのは脳ミソに染み付いているんですねぇ。カーナビの機能として「進行方向を上に」表示することができるのですが、南向きに走っていたり、街の中で進行方向がコロコロ変わったりすると、頭の中の道路地図帳とイメージが一致しなくなってきて、自分がどこへ向かっているかがわからなくなってきます。
 かといって「北を上に」表示させると画面上で自車が右に行ったり左に行ったりして、体感的に前進(画面上では上に進むように感じる)しているイメージとの間にズレが出てくるし。
 試行錯誤の結果、2画面表示にしてやると気持ちが落ち着くようです。片方は詳細図にして「進行方向を上に」表示させます。こうすれば自分の周囲の様子が、例えば今見えていたり、これから現れる目標物や交差点などが画面と一致してきます。そしてもう一つの画面は広域表示にして、ある程度広範囲な地域の中で自分がどこにいるかを把握できるように・・・この画面を道路地図に合わせて「北を上に」しておくと直感的に理解できるのですが、残念ながらこのカーナビでは2画面別々に表示方法を変えることができないので(あれ? でも、片方だけを3D表示にすることはできたな)どちらも「進行方向を上」画面にしています。しばらくそうやって乗っているうちに、脳ミソのほうも慣れちゃったみたいです。

標高の数字の精度にはちょっと疑問がある
 ところで、取扱説明書には載っていないのですが、このカーナビには隠しコマンドというか裏メニューというのがあって、それは4つ並んだボタンのうち左から1、2、4を同時に数秒押しつづけると現れます。ユニットの異常チェックや画面のフレーミング調整など、メンテナンス用の機能が主なものなのですが、ひとつだけ見ていて面白いものがあります。GPS衛星の捕捉状況や現在地の緯度経度がリアルタイムで刻々と変化して表示される画面で、毎日通勤で同じ地図画面ばかり見ている気晴らしに時々切り替えて眺めています。ただ、この画面ではギアをバックに入れてもリアカメラに切り替わりません。家に着いて車庫入れをするときにアセッてしまいました。
 そういえばカーナビが出回り始めた頃に、既に購入して使っている人の話を聞いていると、緯度経度を入力して目的地をセットすることができたような話だったのですが、少なくともBreezingのカーナビではそういう入力方法がありませんでした。だいいち入力しようにも、あらかじめ目的地の緯度経度を知る方法がないですね。昔はよく小学校や役場の入り口なんかに緯度経度を書いた標柱が立っていたりしたものですけど。

 Breezingのカーナビでは、ドライブや旅行に出るときの目的地や経由地のセットをこんなふうにやっています・・・ (次ページへ続く)

 関連サイト: 「ナビゲーションシステムマニュアル(6inch)」 「Atlas Mate Home Page」