《2000.07》
長者の森、たびたび

わたしネ、踊るの大好きヨ
 世間一般的には「キャンプといえば、夏!」と思っている人が多いようですが、とどまつハウスではあまり夏のキャンプには行かないんです。だって暑いんだもん(^^ゞ
 ところが、今年はふとしたことからキャンプに行くことになりました・・・

 7月の半ばに結衣の通う幼稚園で毎年恒例の納涼大会があったのですね。夕方、家族揃って出かけて行ったら駐車場で前PTA会長とバッタリ。

「ここに来れば会えると思ってたけど、やっぱり」
「? ・・・何?」

 颯と同様、前会長のお子さんも今年の春卒園して、それでもまぁOBだから遊びに来たという風情だったのですが、はて、我が家に用事とは?

「今度の週末にキャンプに行こうと思ってさ。それで、まつおサンなら安・近・短じゃないけど安くて近いところによく知ってるだろうとホームページを見たら『長者の森』ってあるじゃない。どんなとこだか教えてよ」

 教えてよと言った割には結構詳しく調べていて、サイトの配置図を見てサニタリー棟や炊事棟に便利良さそうな場所まで決めている。で、海の日から3泊4日で予約してあるらしい。父ちゃんは、前からいつか一緒にキャンプに行きたいねと言っていたので、金曜日に仕事は休めないけど、土曜日からの1泊なら乱入して・・・あ、駄目だ、今度の週末は自治会の納涼祭で、我が家は模擬店の手伝いだ。

打ち上げ花火のカスが観客の中に落ちてきた
 「何言ってんの、納涼祭はその次の週。今度の週末は7月で予定が入っていない唯一の土曜日だから、私がキャンプに行きたいと前から言っていたでしょ」

 母ちゃんの突っ込みに慌てる父ちゃん。あれ、そうだっけ? なにせ夏のキャンプは敬遠しがちなので聞き流していたのかも知れない。長者の森なら夜は涼しいらしいから、我が家も宗旨替えして行こうかな。ここのところ我が家だけでキャンプに行くことが続いていたけど(でも、ユニフレームのネイチャーミーティングはスタッフに知り合いがいた)、たまには知り合いの家族と一緒のキャンプも楽しみだ・・・逆に前会長一家は、久しぶりの家族水入らずのキャンプなのだそうだ。こりゃ悪かったかな、ま、3泊の内の1泊だけの乱入だから勘弁してくれ。
 ということで納涼大会の花火を見ながら「土曜日に我が家も行くかも知れないよ」とトボけながら、来週になったらすぐに予約の電話をしようと考えていた父ちゃんなのでした。


 さて、翌週の土曜日、安・近・短というわけで今回は観光も外食も有料道路も無し。上野村経由の最短ルートで長者の森に向かいます。ぶどう峠に向かって細い山道を登って行くと、さすがに5月とは違って木々の葉が茂り、まるで景色が違う・・・違うはずだ、間違えて別の林道を登っていた(^^ゞ 引き返したのだけど急な下り坂でブレーキが効かない。いちおう減速はできるのだけど、どうしても最後の停止ができない。クルマの重みにブレーキが負けてしまっている感じ(こういうとき4輪ディスクブレーキ車は効きが甘くて困る)。結局10km/hぐらいまではスピードが落とせるからそのまま下りきったけど、対向車が現れなかったのが幸いでした。
 ぶどう峠は自転車の個人団体が大勢走っていて、よくぞこんな険しい道をと感心してしまった。
今回は駐車スペースが広いサイトだった

 それやこれやでちょっと余分に時間がかかったのが幸いして、『長者の森』着がちょうどお昼。オートキャンプ場に直行すると先週聞いたサイトに『きゃんすて』ルシーダ、今日は幼稚園の父兄としてではなくFCAMPの仲間としてお付き合いいただくかめかめサンが、3泊の滞在にふさわしい装備を広げていました。我が家はタープの下を間借りしてお弁当を(^^)
 正式にチェックインしてきて・・・そうそう、先週かめかめサンが「あそこのチェックインは1時」と言ったときに、あれ、3時じゃなかったっけと思ったのですね。それで我が家の予約をするときに聞いたら「今年から1時にした」とのこと。それで弁当をここで食べようと決めたのだけど、5月の時はまだ3時受付開始だったような・・・キャンプ場の「今年」ってのは7月から?

 かめかめサンが手を貸してくれたので手早く設営を済ませて・・・今回のサイトはいつもの場所と縦横比が違ったのでテントとスクリーンテントを直角に配置して「南部曲がり家スタイル」。フラップを張り出して開放的な雰囲気にセッティング。
 実を言うと今回はタープにしようかスクリーンテントにしようか迷ったのですね。タープだと荷物が小さく軽くなるのだけど、我が家のタープは一番力がかかる部分のハトメが傷んでいて、万が一ここが切れたらという不安があったのです。それにここで夏にキャンプした人たちのレポートでは虫が多かったという記述があったので、ならばスクリーンテントがいいのではと考えたわけです。夜、かなり冷え込んだとしてもこちらが有利だし(さすがに今回ワームは持ってこなかったけど)。
 実は前週かめかめサンが知りたかったことの一つが夜の寒さのことで、といっても我が家はゴールデンウイークの経験しかないので、前記のレポートでは結構冷え込んだらしいよという程度しか言うことがない。赤ちゃんを連れているうえに3泊もするのだから、天気が崩れることも考えてスクリーンテントがいいんじゃないかと言ったことも、我が家がスクリーンテントを持っていった理由でありました。
 ・・・しかし、結論から言えば、タープにすれば良かった。夕方になると羽虫みたいなのがいっぱい入り込んで、出られなくなってしまったのですね。日が陰って涼しくなってきたので、ほのかに残るぬくもりに惹かれてきたのでしょうか。そして出てゆこうと思っても明るい窓には無情の網が。出入り口のファスナーを開けてやっても、明るさを優先する虫たちはそちらに行こうともしないのです。以前読んだ椎名誠サンの本で「蚊よけテントではなく蚊取りテントだ」と悲鳴を上げる場面があったけど、まったくその通りでした。我が家の頼りないアドバイスに「じゃあ両方持って行くよ」と答えたかめかめ一家はしっかりタープを使っていて、ううむ、夏はタープの開放感がいい! 虫は手で追えば出て行く。

足をつけていられないほど冷たいのに
子供たちは平気だ
 さて、話は昼下がりに戻って、かめかめサンが子供たちを水遊びに連れて行くというので我が家も便乗することにしました。『長者の森』の中を流れる渓流の、管理棟近くの場所で遊ぶわけですが、これが冷たい! 父ちゃんなんか30秒も足を突っ込んでいると関節が痛くなってくるほどなのに、子供たちは平気で遊び続けていられる。
 ・・・父ちゃんが子供の頃を過ごした九州の田舎にも「四阿屋」と呼ばれる渓流を塞き止めた水浴場があって、夏は臨時バスが運行されるほど、市民の憩いの場(当時、父ちゃんの通った中学校にはプールが無く、体育の時間は隣りの小学校のプールを借りていた。それなのに、同級生には国体選手がいたし、担任の教師は国体の監督を務めていた)になっていたけど、あそこも身を切るような冷たさだったなぁ。数年に一度は心臓麻痺で死ぬ人もいたようだし・・・
 という思い出はさておき、この冷たさだとビールやスイカを冷やすのにいいでしょうね。幸いオートキャンプ場のすぐ下のあたりは水遊びに適した場所ではないので、人もあまり行かないだろうから、バケツか網に入れて沈めておいても安心ですね。今でこそ夏のキャンプは嫌だなぁなんて言っているけど、父ちゃんもかつてはハンモックを吊るせる木陰とビールを冷やせる沢を探して夏のキャンプばかりだったのでした。

 しかし静かだなぁ。夕方、ゴールデンウィークに我が家が使ったサイトでデイキャンプをしていたグループが帰った後、テントの数を数えたら・・・げげげっ、8組しか泊まっていない。この広い場所に30サイトしかないというのも贅沢なキャンプ場だけど、そこになお8組しか泊まっていないというのは・・・夏休みに入って最初の週末、かめかめサンのように金曜日を休めばサラリーマンだって4連休が可能な週末だというのにね。寒さに震えあがったゴールデンウィークよりも少ないじゃないか。こんなことでいいのかなぁ。
おとう、はやくこっちにおいでよ。ビール持って

 夕食後は両家の間に椅子を持ち寄って焚き火。あ、これこれ、ユニフレームのファイアーグリルは6月のキャンプですっかり気に入ったのです。価格改定で今年から「買ってもいいかな」と思えるような値段になったし・・・スクリーンテントをタープに替えればクルマにも積めそうだな・・・
 夜はふけ、それまで暑くて寝苦しい夜に悩まされていた我が家は、気持ち良くぐっすりと眠ったのでした。夜の涼しさを味わうと、夏のキャンプも悪くないって思いますね。それに、よく考えたら「夏は嫌だ」と言いながらも、一昨年、FCAMPの全国オフで3連泊するなど、7月は結構キャンプに行っているのでした(でも、8月のキャンプは1994年が最後かな)。秩父のホタル見キャンプにも行ったしね。

 ま、これだけ夜が気持ち良く、またこの日みたいに人が少なければ夏もいいんですけどね。ただ、ここの欠点はコインシャワーしかないということ、近くに立ち寄り温泉は無いし、せめてロッジの大浴場(あるかどうかは知らない。無かったら作って欲しい)を有料でもいいから開放して欲しいよね。
 綺麗な設備なのに利用料金もリーズナブルで自然がいっぱい、お気に入りの場所なんだけど大汗をかいた後のベタつきがなぁ。


 翌朝の撤収後はもう一度渓流に足を突っ込んで冷たさを味わい、来た道をそのまま戻って、途中の上野村や下久保ダムでちょっと休憩して、どこか蕎麦屋にでも寄ろうかねぇと話しつつも結局はコンビニでお弁当を買って家で昼食となりました(一度蕎麦屋に期待した子供たちは大いに不満がった)。
 こうやって見ると、確かに近く感じる場所ですね。でもこれがある意味ではもう一つの欠点でもあります。母ちゃんに言わせると、ちっとも信州に行った気がしないとのことです。そりゃそうだ、場所は確かに長野県なのだけど、ずっと群馬県・西上州の山あいを走っていって、県境を越えたところにあるのだから。でも、このルートだからこそ我が家から交通渋滞の心配をせずにこれるんですね。
 帰りに上野村の中を走りながら思ったけど、ここも15年前に父ちゃんがよく遊びにきた頃よりも観光施設などが整備されているので、今度は上野村に立ち寄ってから長者の森に泊まるのも面白そうですね。いやいや、上野村で素敵なキャンプ地を見つけることができるかも。