生スパゲッティの店
昨日はライブに行く前に新宿東口方面で買い物などをしておったのですが
こちら側に来るのって、ホント、久しぶりです
西口や南口は今でも年に一、二度遊びに来るのにね...20年以上来てなかった!?
しばらく前まで、簡単に「10年ぶり」という言葉が口から出るようになったと
あきれるやら嘆くやらだったのですが、いまやそれが「20年ぶり」です
それでも時々は
「今度は東口の方にも寄りたいな。あの店、まだあるかな?」
などと思うことがあったのですね
「あの店」とは、学生時代からよく行ったスパッゲティ屋さんで
ビルの地下にあるカウンターだけの小さな店ですが
割と安い値段で結構旨いスパゲッティを出していたんですね
社会人になっても時々寄っていたのですが、すっかりご無沙汰してました
ちょうどいい機会です、今日はそこで昼食にしましょう...店があれば、だけど
以前は表通りから裏通りに抜ける通路の中央にあったはずですが
表の道路から階段を下りてすぐのところに場所替えしておりました
だから最初は「おや、こんなところにもスパゲッティ屋があるぞ」と思ったのですが
店名と、生スパッゲティをウリにしていることを表示した看板で
ここが訪ねようとしている店だと気がついたのでした
いやぁ、すっかり雰囲気が変わっています
まず広くて明るくなった...接客専任の女性が二人もいます
使われているお皿だって、模様の入った陶器です
ワタクシの(たぶんかなり変容した)記憶では
どちらかというとガード下のラーメン屋に近い感じだったのですけどね
皿だって、ステンレスの楕円のやつ...子供の頃は、スパゲッティ皿といえばこれでした
それがまぁ、すっかり今風のイタリア~ンなお店ですよ
看板にだって『パスタハウス』と書いてある
もはや「ビル地下のスパゲッティ屋」の雰囲気はありません
シュガーポットに入れた粉チーズがなければ、別の店に入ったと思ってしまったでしょう
ポットのデザインは変わりましたが、このやり方は昔ながらです
...市販の紙筒を振るのと違って使いやすいんだよね。たっぷり山盛りにもできるし
店内が明るく、調度備品が綺麗になったのは悪い気分ではないのですが
お値段まで変わってしまったのは残念です
さすがに今時230円で食わせろというのは無理でしょうけど (^^ゞ
...学生時代、たまに奮発して行った西新宿のスパゲッティ屋のお値段になっていました
金額はワタクシの記憶による1977年頃のミートソースのお値段です
その後280円に値上げしたような...違っていたら訂正してください
注文して出来上がりを待っている間に
ワタクシは「あること」を思い出してしまいました
学生時代はもっぱら平日、それも割とハンパな時間に食べに来ていたのですが
卒業して社会人になったら来れるのが休日中心になってしまいます
...この店、休日や混んでるときは味が落ちたんですよ。少なくともワタクシにはそう思えた
ここは注文を受けてから一人分ずつスパゲッティを茹でてくれます
平日はお客さんも少ないので管理が行き届くのですが
休日は混んでいるので大変です。2、3人で調理と接客までしていたと思います
そうなるとどうしても茹で加減をシビアに見極めるということができなくなります
お湯から上げるのがワンテンポ遅れてしまうことがある
カウンターから厨房を覗いていると
調理は3人体制で流れ作業の分業になっていました
一番年長の、責任者らしい小父さんが鍋の前でスパゲッティを茹で
お湯を切ってフライパンに移して次の青年に渡します
そこで炒め工程が必要なメニューは具材と合わされ、火を通されて
最後の青年が盛り付けです
ミートソースなんかは中間工程抜きでここでかけられるわけですね
でもって、お客の前に運ぶのは前述の女性たち
この分業制、しかも一番ベテランらしい人が茹でるの担当ということに
「スパゲッティは茹で加減が命だ!」というのを感じて安心したわけですね
というわけで目の前に運ばれてきたスパゲッティでしたが
久しぶりのお味は...相変わらず美味しかったですよ
でも、今は結構ほかにも美味しく食べさせる店が増えていますしね
いかに地価の高い新宿といえども、カウンターでこのお値段じゃ
図抜けてコストパフォーマンスが高いとは思えなかったのも事実です
でも、久しぶりにここで食べることができて嬉しかったです
お店の名は『JIN JIN(ジンジン)』
紀伊国屋書店の地下です
余談ですが
作家の椎名誠さんがエッセイでこの店をケナしていたことがありました
エラそうに「生」を標榜しているけど茹で加減がアマイ、みたいなことだったかな
当時、椎名さんの著作に夢中だったワタクシですが
これには「椎名さん、平日の昼下がりに食べに行ってごらんよ」と思ったものでした