森村桂さん
ゆうべ、ネット上のニュースで
森村桂さんの訃報に接した
彼女の著名な作品といえば
『天国にいちばん近い島』というのは同感だが
「原田知世が主演して映画化された」にはピンと来ない
なんじゃ そりゃ? 原田知世って誰?
自分は、それよりずっと前
テレビドラマの印象の方がよっぽど強く残っている
もっとも、「強く残っている」と書いたものの
実際にはその連続ドラマは見ていなかったし
主演したのが誰だったも覚えていない
それに、今、一所懸命思い出したら
『天国にいちばん近い島』ではなく
別の小説をドラマ化したものだったような気もしてきた
『結婚志願』だったか?
森村桂は、1960年代後半から70年代の若者のカリスマだった
女性に人気のあった作家だったが
実は男でも結構読んでいるやつがいた
友人の本棚に彼女の本を見つけたりしたものだ
かくいう自分もその一人だったが
実際に買った単行本は『森村桂・宮殿に住む』だけだった
中学生の頃だったと思う
今でも書店の棚に彼女の著作がズラッと並んだ光景を思い出せる
大学生になってようやく
角川から文庫化されていた彼女の本を買い揃えた
わりと初期の作品が多かったと思う
久里洋二の表紙イラストが今でも目に浮かぶ
彼女の本は完全なフィクションというよりは
自伝的なものが多かった
だから、彼女の作品は「彼女そのまま」・・・そう感じた
それが彼女がカリスマとして支持された理由だろう
彼女の本を読んで
不器用でお菓子作りが好きだけど失敗ばかりしている少女
そんなイメージが固定化された
軽井沢にある『アリスの丘』の前は幾度となく通ったが
中に入りたいと思ったことがない
妻はよく「一度行ってみたい」と言うが
「とんでもない、あの人が作ったケーキなど食べられるものか」
そう言い続けている自分は
森村桂のファンだったんだなと思う
今、家には彼女の本は一冊もないが
コールマンのキャンプ用オーブンを見るたびに
少女が憧れたオーブンとは
こういう天火(てんぴ・・・もはや死語)だったのかなと思う
ご冥福をお祈りします