天下御免

ワタクシが中学生の頃、『天下御免』というNHKのテレビドラマがあった
平賀源内を主人公にした時代劇らしからぬドラマで
中学生でも楽しめる作りだったが
内容を振り返ってみると
江戸のゴミ問題、おしろいの鉛毒による公害問題、試験地獄など
昭和40年代の高度成長期が抱え込み始めていた問題をダブらせ
全体のストーリーとしては田沼意次が政権を取り、そして失脚するところなぞ
まさに当時の体制を鋭く風刺した番組だった

それだけにこんな声もあったという
「NHKがそんなことやっていいのか」
「NHKであんな番組を作って圧力はかかりませんか?」

成人してから脚本を担当した早坂暁氏の本を読んだが
氏によると
「NHKだからこそできた」

民放ならスポンサーがつかないだろうというのである
そりゃそうだ
公害を風刺することによって
ヘタすれば自社が悪者視されかねない番組を
誰が金を出して作るものか
体制を批判することによって
ヘタすればおカミに睨まれかねない番組を
誰が金を出して作るものか

国民の受信料で番組制作するNHKだからこそ
自由に作れたというのである

あんな痛快なドラマは
それ以降見たことが無い