ハンドル

 

英語版を図書館で借りてきたものの、該当箇所を探すのが...

渾名(あだ名)とかニックネームという言葉を
最近めっきり耳にしなくなりました
ラジオはもうずいぶん長いこと聞いていませんが
今でもリスナーからの葉書を「ペンネーム、誰それさん」と紹介してるのかな?

代わりに定着してきたのは、ハンドルネームという呼び方です
パソコン通信をやってた頃は「なんだこの呼び方は!?」だったけど
インターネット社会になってすっかり一般的になってきたように思います
そうそう、最初は「ハンドル」だけだったんだけど
今は「ハンドルネーム」と言う人が多いみたいですね

本当は「ハンドル」自体に「ネーム」の意味も含まれているから
「頭痛が痛い」みたいにおかしな言い方なんだけど
きっと「ニックネーム」や「ペンネーム」と同じ感覚で使っているのでしょう


ハンドルという言葉は
クルマのステアリングホイールもそう呼んだりするけど
「持ち手」とか「手がかり」という意味があるようです

Oh, I like things to have handles even if they are only geraniums. It makes them seem more like people. How do you know but that it hurts a geranium's feelings just to be called a geranium and nothing else? You wouldn't like to be called nothing but a woman all the time. Yes, I shall call it Bonny.


 あのね、あたしはたとえあおいの花でも一つ一つにハンドルがついてるほうが好きなの。手がかりがあって、よけい親しい感じがするのよ、ただあおいと呼ばれるだけだったらきっとあおいが気をわるくするんじゃないかしら。小母さんだっていつもただ女とだけしか呼ばれないのはいやだと思うわ。そうだわ。あたし、あれをボニーと呼ぼう。

(訳/村岡花子・新潮文庫)

『赤毛のアン』の一節です
この、不思議に人をひきつける魅力を持った少女は
持ち前の想像力で身の回りのものにどんどん名前をつけてゆきます
「輝く湖水」「お化けの森」「恋人の小径」...

と、ここであることに気づきました
赤毛のアンと言えば村岡花子さんの訳が定番なのですが
50年以上も前に翻訳された文章で
「ハンドル」がそのままカタカナ言葉として使われているんですね
そのあとすぐに「手がかり」という言葉で補っているので意味が通じるのですが
当時としては「えっ、何?」という感覚になったような気がします
ハンドルというのは「手で掴める実体のあるもの」というのが
あの頃の一般的な認識ではなかったのではと想像するんですよ

逆に言えば、この部分はすごく現代的な表現になりますね
若い人にスンナリ理解されるのかもしれません

  余談ですが
  今年は、カナダで『赤毛のアン』が出版されて100周年だそうです
  現地では何かイベントでもあるのでしょうかね?

  プリンス・エドワード島、行ってみたいですね
  美しい風景と...ロブスターが魅力です

 
 
 
 
 
 

ちょっと素敵な本『なまえ星』
なまえ星