パンドラの匣の底

 
今朝、テレビのスイッチを入れたら
昨日の秋葉原の事件について、詳細を伝えていた

もう何時間も前の出来事だというのに
まるでプロレスの実況中継のように
自分ひとりで興奮して臨場感を煽ろうとするレポーターが軽薄に見え
「バカ! もっと静かにしゃべれ。人が死んでるんだぞ」
思わず怒鳴りたくなってしまった

やがて映像は昨日の事件後間もないものに切り替わり
そこには
懸命に心臓マッサージをしたり
血で手やシャツが汚れるのをいとわずに救護をする
通りがかりの一般人の姿が映し出されていた

それを見て、まだまだ世の中捨てたものじゃないなと安心した

もちろん、かけがえのない家族や友人を失った人にとっては
何事にも比べようのない重大な出来事であることは間違いない

だけど、報道までもが感情的になることは無い

しかも、家族の悲しみに共感するわけでもなく
単に犯人の行動をセンセーショナルに伝えているだけのレポーターの声に代えて
この名も知れぬ市民の姿を写した映像に感動した

事件そのものは凄惨かつ衝撃的というよりも
むしろ、やりきれなさが心に充満するものだったが
なぜか心温まるものが伝わってきた

まだまだ世の中捨てたものじゃない

凶器や狂気の人より、侠気の人が多いんだから

雀屋さんのブログにコメントとして書いたものに加筆して
自分の記事としました