世界一食べにくいスパゲッティ

 


今日の夕食はスパゲッティでした...一時帰宅中のツレアイが作ってくれたのです
ただし、写真はフリー素材サイトのものを使っています


伊丹十三さんの『ヨーロッパ退屈日記』というエッセイ集に
「スパゲッティの正しい食べ方」という一文があります
引用すると長くなってしまうので要点をまとめますと

 ・イタリー風に調理したスパゲッティの前にきちんと坐る
 ・スパゲッティとソースを混ぜ合わせたら、
  フォークでスパゲッティの一部分を押し退け
  皿の一隅にタバコの箱ほどの小さなスペースを作る
 ・スパゲッティをフォークに引っかける
  麺の一本が50センチもあるようなら2~3本
  日本風のコマ切れなら7~8本は大丈夫だろう
 ・フォークの先を軽く皿に押し付け、時計廻りに静かに巻いてゆく

  フォークの4本の足は、スパゲッティを巻き取るあいだじゅう
  決して皿から離してはいけない...でないと大変なことになる
  つまり、ちょっとでも足を浮かせると周りのスパゲッティを巻き込んで
  しまいには皿中のスパゲッティを全部一巻きにしようとしてしまうみたいになる

ということなのですね

  余談になりますが、後年、伊丹さんが脚本・監督をした『タンポポ』という映画で
  これをネタにしたエピソードが出てきます
  伊丹さんの『ヨーロッパ退屈日記』と『女たちよ!』が
  ワタクシにとってダンディズムのバイブルとなっているのですが
  この本に書かれている内容を下敷きにしたエピソードが散りばめられていて
  本編のストーリーとは別に、あの映画が好きなのです

閑話休題、本題に入ります (^^ゞ

この話を読んだとき、ワタクシの頭には
表題の「世界一食べにくいスパゲッティ」というアイデアが浮かんだのであります
...もうお判りでしょう。そう、一人前を一本の麺で作ってしまうのです

うどんや蕎麦でやるというのもいいけれど
こちらは箸で取ってそのまま口に運んでしまうので
啜っているうちに啜りきれず窒息してしまう恐れもあり
そうなると命にかかわる問題に発展してしまいます
...まぁ、その前に噛み切れば済む事ではあるな

その点スパゲッティはフォークに巻きつける作業が前段階にあるため
「皿の上で団子状になってしまったスパゲッティに困惑する顔」で済むというのが
ユーモアのレベルで押さえてくれるのではないかと思うのであります


しかし、一人前が一本のスパゲッティというものを作ることができるのであろうか?
  うどんや蕎麦も難しそうだが、手延べそうめんならできるな
このアイデアを思いついたのはもう30年以上も前になりますが
未だにそのあたりを検証したことが無かったのですね...何という無責任
幸い、昨年スパゲッティ屋さんのオーナーと知り合いになったので
今度お店に行ったら訊ねてみようかと思います

しかし、モンダイはここに書いた以上、彼も読む機会があるということ
何食わぬ顔でワタクシの前に置かれた皿の中身が「それ」だったらどうしよう