黒田三郎詩集
こないだササキミキロウさんが
「黒田三郎の『小さなユリと』という詩集は素晴らしい」と絶賛して
ちょっと興味が湧いたワタクシは、図書館で借りてきて読んでみました
いくつかの詩集から選りすぐって一冊にまとめたものですね
『小さなユリと』は全編が収録されていました
この詩集が生まれたシチュエーションは
詩人の妻が結核で療養所に入ることになり
幼い娘を毎朝幼稚園に送って行きながら自身は遅刻して出勤し
帰宅後は娘が構って欲しがるのを上手くあしらいながら食事を作り
そうやって父娘二人の日々を過ごすわけですが
まぁなんとなく境遇が今の自分に似ているような感じもあって
あくまでワタクシの「感じ」ですけどね
ウチは子供も大きくて、手助けしてくれてますから
そんなところに興味が湧いたのですが
かたや黒田さんはこんなに素晴らしい詩を書いて
ワタクシはブログの更新もままならぬという
月とスッポンなわけですね
...較べるほうがどうかと思うが (^^ゞ
しかし、詩集では娘が寝入ったあとに添い寝の布団を抜け出して
居酒屋に行くようなことも書いてありましたが
実際はそういう日が何度もあったある夜、酔ってバスに撥ねられてしまい
事態を知った奥さんがあわてて退院してきたそうで
こうなると美しい詩の世界から一転して
吉本新喜劇のネタになってしまいそうです(笑)
黒田三郎と言えばまず思い出す作品が『苦業』という詩で
これはずっと前に小室等さんが曲をつけて歌っているのを
NHKのFM放送で聴いて以来耳にこびりついているのでありますが
この歌を思い出すときは必ず頭の中にMCエッシャーの版画が浮かんできます
きっと詩の冒頭に出てくる「ら旋階段」を
エッシャーの「無限階段」と混同しているのでしょう
しかしまぁ、黒田三郎の名前でまず『苦業』を思い出すなんてのは少数派で
圧倒的大多数マジョリティの人々はやっぱり『紙風船』なんでしょうね
教科書にも載ってましたし
赤い鳥というフォークグループが歌にしてグリコのCMにも使われ
これを聞いたらパブロフのイヌと化してプリッツが食べたくなるのでした
...あ、中学校の頃だったか感想文を書いた(書かされた)ことがあったなぁ
「落ちてきたら、今度はもっと高く」という言葉尻を捕らえて
人間のキリのない欲望を感じるなんて書いたっけな...ううむ、ひねたガキだったなぁ (^^ゞ
図書館で借りてきた詩集の最後に『夕暮れ』という詩がありました
あぁ、これも黒田三郎だったんだ。高田渡さんが曲をつけていますよね
ワタクシは大塚まさじさんが歌っているCDを持っていますが
これもいい雰囲気の歌で、大好きです
舞台がバーや居酒屋ではなくビアホールというのもいい
ビアホールって、つい仲間と陽気に飲むイメージなんだけど
そんな場所で夕暮れのひととき、三十分か一時間
世間から隔絶した「ひとり」になるって
ちょっといい感じだと思うのです...憧れるね
黒田三郎の詩集『失われた墓碑銘』に従いました
歌詞の紹介だと「螺旋階段」が多いですけど