幻獣標本
『夏休み!いきもの図鑑』の続きです
別のコーナーでは、壁に標本箱が掛けられており
干からびたオサカナとかトカゲなどが陳列されていました
ずいぶん変わった姿のオサカナで
脇の説明によるとシーラカンスの仲間とか...ふうん、なるほどね
でまぁ次々と見ているうちにますます姿態が怪体(けったい)になり
「どこで捕まえたんや、ほんまにいるんやろか」
そう思ったところで、ここは美術館だということを思い出しました
そう、作り物なんです(笑)
いやぁ、よくできてます!
皮膚の干からび具合といい、鱗のめくれ具合といい
...そうだよトカゲの鱗、一枚一枚貼ったんかねぇ?
作者のウェブサイトに依りますと
紙やモデリングペースト、竹ひごなどで作ってるんだそうですが
近い将来3Dプリンターで作れるようになるのかもしれません
でも、この「質感」が出せるかなぁ?
ワタクシが思うに、いくら風合いを再現する技術が進んでも
本物の素材や手作業を完全に再現することはできないと思うのです
それはもう「技術」ではなく「気」が要素だと思うからなんですね
コンピューターを操作するのと、直接作ってゆくのでは
「気」の入り方が違うと思うのです
だったら渾身の「気」を込めてプログラミングしたり
3Dプリンターを設計・製作して生み出した作品はどうなの?
と問い返されると、ちょっとひるんでしまったりもしますが (^^ゞ
というわけで、これまた図書館で借りてきた
『幻獣標本博物記』『幻獣標本採集誌』という本です
内容は作品の紹介だけではなく
この生物の紹介や、採集した時のエピソードなども書かれてます
もちろん標本が作り物ですから、これも作り話
それでも「どこかであった話」的に真実味があり
トータルで一つの世界を作り上げるというのは
文学でいえばファンタジーということですね
コロボックル物語の佐藤さとるさんは
「ファンタジーはリアリズム文学である」とおっしゃいましたが
細部をキチンとつくることで
一見すると荒唐無稽な世界が納得のゆく存在となって
ワタクシたちもそこに入ってゆけるのでしょう
いやぁ、楽しませてもらいました
そのほかの作家による展示作品もみな素晴らしく
すっかり魅入ってしまいました
もともとムスメがこの展覧会を見つけてきて行きたがったのですね
でも深谷からだと電車の乗り継ぎが不便だから
じゃぁクルマで行ってやるよと同行したのですが
「お父さんのほうがワタシより夢中になって見てた」
ミュージアムショップでこの企画展のカタログが売られていたのですが
本物を見た直後では、よくできた印刷と言えども迫力の差に落胆して
とても買う気になれなかったほどです
...きっと後から欲しくなるな (^^ゞ
江本 創
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