夏は来ぬ

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今日は土用の丑の日でございますな
昔っからこの日は「う」のつくモンを食べると身体にええ
ちゅうことを言いますんで、ワタクシもいただきました...うどん
「冷やしたぬきうどん」でございます

おかしなもんで、同じ冷たいモンでも
「もりうどん」や「もりそば」は冬でも旨い旨いと食べるんでございますが
「冷やしたぬき」は夏しか食べませんな、ワタクシの場合
あれを食べると「ああ、夏やなぁ」と心から思えてくるんですな
刻んだキュウリが入ってさっぱりした味やし
天かすで油分も摂れるんで
栄養学的にも夏向きなんではないかと思うんでございます
冷やし中華がお好きな人の中には冬も食べたいと思てはる人もいるようですが
ワタクシにとって「冷やしたぬき」は、これこそ夏の楽しみ、でありまして
秋や冬にも食べたいとは思わないのでございます


あと、「う」のつく食べ物で栄養が仰山あって身体に良さそうなんは
「卯の花」ではないでしょうか...卯の花、きらず、おからですな
お茶を入れた後に残るのがお茶殻で、大豆をを絞ったんがおから
搾りかすとはいっても滋養のあるモンがいっぱい残ってます

きらずちゅうんは関西の方の呼び名やそうですが
落語では「長いなり」という呼び名も出てきますなぁ
「切らなんだら長いなり(まま)や」なんて

さて、『夏は来ぬ』という唱歌がございます
佐佐木信綱先生作詞、小山作之助先生作曲による不朽の名作でありますが
あの歌の中に「卯の花」が出てまいります
数年前に著作権が切れたのでJASRACを恐れることなく(^^ゞ
歌詞を引用いたしますが、冒頭の部分でございます

卯の花の 匂う垣根に
時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

実はワタクシ、この歌のイメージとして

初夏のある日、近所を散歩していたら
垣根越しの民家からおからの匂いが漂ってきた

という情景を思い浮かべておったのでございます
どこぞのご家庭で、当時はエアコンなんかありませんから
縁側の戸を開けて外の空気を取り入れながら
卓袱台を囲んでいるのでしょう
庶民の暮らしぶりが伝わってくる、ほのぼのとした情景です

でも、なんで「おから」の匂いが夏に結びくんやろ?

この強引な展開についてゆけないまま
少年時代から青年時代を過ごしてしまったのでございます
まぁ、さすがに大人になって勘違いに気づきましたが(笑)
そんなこんなで「卯の花」というとこの歌を思い出すのでございます

でも、この歌を思い出して鼻をくすぐるのは
「おから」の匂いではございませんで「石鹸」の匂いなんですな
まぁきっとテレビのコマーシャルの影響なんやろうなと思うとります