帰っておいで サーモン

ムスコがサケの稚魚をもらってきた
いや、もらってきたのではなく、預かってきたと言うべきなのかな
めいめいが家で育てて、来年催される放流会で
利根川に放流するのだそうだ

ペットボトルをカットして作った水槽

「あれを見たら、イクラを食べるのが、、、ちょっと、、、」
ツレアイがそう言っったのも無理はない
なるほど、イクラにそのまま頭と尻尾が生えてきたかのようだ
まあ、数日経ってこの写真を撮った頃にはイクラの粒も細長くなり
最初に見たときの印象とはずいぶん変わってきた

サケの稚魚を見ていたら
20年近く前に友人から教えてもらった
南修治さんというシンガーソングライターの
『帰ってくるなサーモン』という歌を思い出した
護岸工事で川の自然を奪った俺たちを許してくれ
こんな川には帰ってくるな、という内容の歌だった

護岸工事といえば
昔、北海道のある町で列車を待っている間
駅の近くを散歩したことがあった
小さな川が道に沿って緩やかなカーブを描き
その淀みに白鳥が浮かんでいた
人々が暮らす街の風景に白鳥が融けこんでいるのが印象的だった
数年後、再びその町で列車待ちをしたとき
白鳥のことを思い出して、あの場所に行ってみると
コンクリートで護岸工事された川はとうとうと流れ
もう白鳥の姿は無かった

サケは自分が生まれ育った川の水の味を覚えていて
それを頼りに戻ってくるという
水の味は変わらなくても、川の形が変わることがある
卵を産み付ける川底の小石の有無は
戻ってくるまで判らない
一生に一度の大仕事だもの
遂げさしてやりたいよね

稚魚を見ながら
次々といろんな記憶や想いが頭をよぎった