聴きたい聞かせたい

 

まるで六文銭のように(小室等・及川恒平・四角佳子)

どうもワタクシ、『まる六』こと『まるで六文銭のように』のライブには
なかなか縁が無くって行けないなぁと常々嘆いていたのですが
本日、『まる六』が向こうからやってきてくれました
つまり前にも書いたけど、カタログハウスのトークショーが
ゲストの筑紫哲也さんが出演できなくなって
及川恒平さんと四角佳子さんがゲストに来てくれることになり
地下2階のセミナー室がライブ会場に変わってしまったのです

開演15分くらい前に会場に入ると半分ほど席が埋まっています
前の方に空席はないかとキョロキョロしながら歩いていると
「まつおさん、ここ」
しっかり友人が席を確保してくれていました。持つべきは友達です
...お互い事前の連絡は取り合っていなかったんですけどね
  来るものだと信じきっています

やっぱりゲストが変わったということでキャンセルも出たのでしょう
ウェブでも再募集していましたし、席の埋まり具合も遅いようです
でも、開演時にはほぼ満席になっていたみたいです

司会者の紹介で『まる六』の3人が登場し、いきなり歌い始めます
いつもの「聴きたい聞かせたい」でしたら、ひとしきりゲストと対談したあとで
「それでは」とか「ところで」みたいな感じで歌い始めるのですが
本日は完全にライブの雰囲気です
『まる六』のライブっていつもこんな感じですかねぇ?
ふだんの小室さんのライブと比べても「しゃべり」が少なく感じました

  でも、小室さんに言わせるとこの会場は「歌う」というより「しゃべる」場所
  という先入観みたいな気分があるそうです

最初の曲が...これって洒落ですか(笑) 「はじまりはじまる」

素敵なコーラスを聴きながら感じたのですが
『まる六』...ライブは2回目ですがCDは聴いています...や
何度か聴いた、ゆいちゃんとの二人のステージの印象として
小室さんはコーラスを楽しんでいるように聞こえるんです
主旋律を相手に任せて、自分はコーラスに回っていることが多い
ハモることの気持ち良さを楽しんで歌っているように見えるんですね

あまりにも気持ち良くなったのか小室さん、次の「引き潮」でやってくれました
これはもともと恒平さんのレパートリーなのですが
『まる六』で演るときは小室さんが1番を歌うという構成になっています
つまり、主旋律で歌うわけなのですが
これを高音のパートのメロディで歌い始めちゃった
「あれ変だぞ。でも音は外してないし...あ、高音のパートで歌っちゃった」
と口には出しませんでしたけど、小室さんお得意の「もとい!」ですね
そしたら恒平さんが「でも、今のも面白かったよ」と言い出して
今度はワザと小室さんが高音のメロディで1番を通して歌って
あとは予定通りの構成で4番まで歌いきっちゃった

これがライブの楽しさ面白さですね。テレビやCDだったら録り直しですよ
でも、間違ったおかげで新しいアレンジを発見したのですから
あ、こういう歌い方もあったのか。歌から受けるイメージがまた広がったぞ

今月の『月刊みすず』に、佐々木幹郎さんがこんなことを書いています

  音楽も詩も、それでいい。
  音楽や詩に「間違い」など、もともとないのだ。

実は、引用した文章の前にはこういうことが書かれています

  歌詞の忘却、コードの間違い、など気にしない。
  キイを変えて途中から歌い直し、ということも頻繁にあって、
  それが最近の小室等氏の芸になって会場を沸かせるのだから、
  もはや怖いものなしである。         (改行・筆者)

最近のワタクシは小室さんに限らず、わりと小さな会場でライブを聴くことが多いです
そういう場所って緊張感と親密感が渦巻いていて、とっても楽しいんですね

もちろん「間違い」、いや、聴衆をなごませる芸ばかりではなく
3人の素敵なコーラスと息の合った演奏を堪能した午後のひと時でした


  本日の演奏曲目
   「サーカスゲーム」は、途中で小室さんの
   「コード何だっけ?」という老人力あふれる一言により中断


     はじまりはじまる
     引き潮
     夏・二人で
     私はスパイ
     (MCの中で「リンゴの木」)
     サーカスゲーム
     君は誰かな
     ただあたたかくカラッポに
     おしっこ
     いのちかえす日

       休憩

     雨が空から降れば
     雨が降りそうだなあ
     あめのことば
     樽をころがせ
     流星花火
     石と死者
     戦場はさみしい
     サーカス

       アンコール

     無題
     街と飛行船