TOKYO NOBODY

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Googleマップで、地図を航空写真に換えて見ることできますが
道路上を走っているクルマの姿がほとんどありません
あれ、どうなってるんでしょうね?

それとも、自分も道路を走って地上から見ているとたくさん走っているようでも
空から見るとクルマってまばらに見えるんでしょうか?


図書館で『TOKYO NOBODY』という写真集を借りてきました
東京都内のあちこちの風景を撮ったものですが...人間が一人も写っていない!

都会から「人間」という要素だけが抜き取られた風景なのですが
これが不思議な雰囲気を漂わせています

...止まった時間が流れている

矛盾した表現ですが、そう言いたくなってきます

写真とは一瞬を切り取るということでもあるのですが
これらの写真はトリックでもデジタル処理でもなく
本当に人の姿が見えなくなった一瞬を撮ったそうです

ワタクシの家の近所で歩行者の入った写真を撮るのも難しいことですが(笑)
銀座のド真ん中で歩行者や動いているクルマがいない瞬間を撮るなんてもっと難しい

SF映画なんかで、無人になった都市を主人公が歩くシーンなんてのがありますが
映画と違ってこれは動かない写真です。ゴミが風で舞っていません
人がいない、クルマがいない、風景は動かない...
でも時間だけが流れているんです
もちろん時間が流れても太陽の傾きが変わらないのだから
理屈から言えば流れていないのと同じなのですが
でも、流れているのを感じるんです

静かなところにいると耳鳴りみたいなのが聞こえてきて
それが「無音の音」だなんて言う人がいますけど
ちょっとそんな感じですね。止まった時間が流れているっていうのは

夜、人が活動を停めて休んでいるときに森や山が会話を始める...
そんな言い伝えがどこかにあったような気もしますが
人やクルマが消えた時間の狭間で
都会が何かを語りかけようとしているのかもしれません

  作品の一部をこちらで見ることができます⇒『TOKYO NOBODY 中野正貴』
 


TOKYO NOBODY―中野正貴写真集
中野正貴・撮影/リトル・モア・刊