武居三省堂(江戸東京たてもの園)
本(『看板建築』三省堂・刊)で初めてこの店の中の写真を見たとき
それは神田須田町にあって現役で営業中の写真でしたが
あれ? 見覚えがあるぞと思ったものです
昭和40年代の半ば、ワタクシは佐賀県の鳥栖市という町に住んでいましたが
小学校に通う途中のお店がこんな造りでした
商売も同じ文房具店、というよりも、もともとは紙問屋だったのが
ノートや鉛筆などチョットシタ文房具も一緒に並べて小売もしていた
そんな感じの店でした
ワタクシを初めとする子供たちはもっぱら
ファンシー文具や駄菓子や、プラモデルなども売っている
学校のそばのお店に行きましたので
その店で買い物をした記憶がありません
せいぜい宿題をしようとしてノートが切れたとか
夏休みの宿題用に画用紙を買いに行ったくらいだったのではないかと思います
だから、その町に住んでいたときにも印象が薄く
まして埼玉に引っ越してきてから思い出すようなこともなかったのですが
この店の写真を見た瞬間に「あれ? 見覚えがあるぞ」と
懐かしい気持ちになってしまったのでした
『江戸東京たてもの園』に行ったら、まず実物を見たい
そう思っていた建物でした
武居三省堂(文具店)
昭和初期の神田須田町に立てられた店舗併用住宅で、のちに「看板建築」と名づけられる形式の建物。筆・墨・硯などの文具の卸売業を営んでいた。店に入るとまず土間があり、土間の向こうに上がり框(かまち)があって、そこから畳になる。両壁に造り付けの商品棚があり、天井からは吊り棚が並んで下がるなど工夫された収納には美しささえ感じてしまう。