半世紀の男、トーク&ライブ
昨日はカタログハウス社の恒例『小室等の聞きたい聴かせたい』でした
この催しは年に2回、2月と9月の土曜日にあり
ワタクシの場合、9月は毎週土曜日が休みになるので問題ないのですが
2月は土曜日の休みが月2回なので、うまく一致しないことも多いのです
幸いにして今年は休日と重なり、しかもゲストが浦沢直樹さんだというので
去年の10月から予約を入れていたんです
浦沢直樹さんといえば『YAWARA!』『20世紀少年』『PLUTO』の作者として
人気・実力共に絶好調の人ですよ、早く申し込まなくっちゃと思ったんですね
今、我が家には『YAWARA!』『PLUTO』の単行本全巻がありますが
以前は『ビーパル小僧のアウトドア教本』の連載雑誌と単行本を両方持っていて
結果的に「何度も読み返した浦沢作品ベストワン」ということになるのですが
読んでいる当時は内容重視で作者の名前など気にしたことがなく
のちに『YAWARA!』を読んで「あれ? この絵どっかで見たことあるなぁ」 (^^ゞ
受付を済ませて地下2階のセミナーホールに降りてゆくと
会場の雰囲気、というか客層がいつもと違うんですよ
いつもなら中高年のご婦人が半分くらいを占めているのですが
これは地方で行われる小室さんのコンサートでも同様ですね
ライブハウスだと男性の比率が上がるのですが
とにかく小室さんはご婦人たちに人気があります
今回は比較的若い男女がいらっしゃいまして
こころなしか気合が入っているような空気が漂っているんですね
まぁこの催しは小室さんのホストぶりを聴きたくて来る人だけではなく
ゲスト側のファンも楽しみにしてくるわけですから
浦沢直樹の読者とアーサー・ビナードの読者では違うんだなぁということですね
ステージのセッティングもこれまでと違っていました
いつもは向かって右に小テーブルを置き
それを挟むように対談のセッティングをして
左側に小室さんが歌うスペースを作っていたのが
今回はまったくステージ中心から対称にスツールを置き
なぜか中央にボーカルマイクが1本立っていましたが
これは始まるとすぐに意味が判りました
うしろの壁際には夢弦堂とギブソンのギターが用意してあります
もちろん夢弦堂は小室さんの。ギブソンは...
期待と共にトークショーが始まり、まずは小室さんの登場です
いきなりギターを持ってチューニングを始めます
なんだぁ、今日のこの展開は?
で、浦沢さんのイメージから喚起される歌ということで
介護人ゆいちゃんを呼び出して Lagniappe で3曲歌っちゃった
さて、そしていよいよ浦沢直樹さんの登場です
いやぁ、話し始めたらぐいぐい引き込まれちゃう人でした
1960年生まれだとかで、ワタクシとはほぼ同年代ということもありますが
話していることがよく判るんですね
そしてまた根っからの漫画少年なんだなぁ
まず「漫画を描くことが好きでたまらない」ということが伝わってってくると同時に
先輩の漫画家諸氏の名前を出すときに敬意がこもっているんですよ
そしてまた漫画の歴史というか業界的な変遷もしっかり押さえていて
漫画家というものをしっかり理解しているなと感じ入ったのですね
読者としては、サラッと読んで面白かったで済ませるだけでもいいんですけど
その氷山の一角を見てもらうために、水面下に隠れた部分がモノを言うんだなぁ
というように、いつもだったらトークの合間に小室さんの歌が入るところを
今回は前半ではトークのみにして、後半でいよいよ...
と思ったらまだ話が続いちゃったりしてなかなか始まらなかったのですが
ようやく、歌手・浦沢直樹と小室さんのライブです
一曲目、イントロに続いて浦沢さんが低めの声で歌い始めて間もなく
「...ごめんなさい」
「そのハーモニカ、キーが違うんでしょ(笑)」
そうなんです。浦沢さん、ホルダーにセットするハーモニカを間違えていたのですね
しかし、ハーモニカを使うのは曲の最後だったのに
始まってすぐに間違いに気付いた浦沢さんも凄いけど
浦沢さんが曲を中断した理由に気付いた小室さんも凄い
まぁ譜面とハーモニカの大きさを見比べれば判るんでしょうね
「ぼくもよくカポタストの位置を間違えますから(苦笑)」
...はい、よく存じてます。「もとい」が芸になっていらっしゃいます
これで聴いている方も肩の力が抜け、気持ちよく楽しませていただきました
曲ができたときのエピソードも交えながら4曲披露して
『Bob Lennon(ケンヂの歌)』って、そんないきさつでできたんだ
最後に司会の神尾さんも思わず
「今日は楽しいライブでした!」というほど素敵な時間でした
当初の予定では 15:00-17:00 とあり
もちろん時間オーバーするだろうとは思ってましたが
なんと終わったのが 18:00 ...嬉しい時間オーバーでした
そのあとロビーで浦沢さんにはサインをいただき
小室さんには先日のお礼を言ったりして
会場を後にしてきました
考えたら、昨年9月にここでアーサー・ビナードさんとのトークショーを聴いてから
ちょうど半年、6ヵ月ですが
小室さんやゆいちゃんと会ったのも6回なんですね...月イチです
浦沢さんが
自分がギターを持ち始めた頃ラジオで聴いた小室さんと一緒に歌うなんて感慨無量だ
というようなことをおっしゃっていましたが
その気持ちは良く判ります
こうやって小室さんと言葉を交わしているワタクシ自身がそう思ってますもの
コメント
やっとかめ
『20世紀少年』で、本当はエレキを買いたいんだけど金がなく
アコースティックにするんだけど、普通フォークのところを間違って
というより知らなくてクラシックギターを買うという話があるんですが
あれは浦沢さん本人の経験なんでしょうね。
実は僕も同じ経験があります(笑)。
浦沢さんは色々な意味で、本当にプロの漫画家だと思ってます。
『PLUTO』は途中までで、今はマンガは一切読んでないですけどね。
ichiichik
浦沢直樹さんの漫画は僕も好きです
物を書く人がどんなお話をするのか
気になりますが
そういう話を聞く機会に恵まれていません
歌とお話の贅沢なひと時でしたねー
まつお
▽やっとかめさん
あ、そういう話は出ませんでしたが
『20世紀少年』という作品は我々世代の原風景が描き込まれていますから
誰もが思い当たるのではないでしょうか
浦沢さんは「みんな知ってることなので嘘が描けない」と言ってました
実は、ワタクシはこれ未読なんですよ
そろそろ読んでみようかと思っているところです
まつお
▽ichiichikさん
会場にいる浦沢ファンに気を利かせたのか
小室さんが「質問がある人いませんか」と声を掛け
何人かが手を挙げて浦沢さんに質問してましたが
回答を熱心に手帳に書きとめていらっしゃいました
ワタクシなんか「へぇ~」で終わりです
それでも一言や二言は心に残ることがありますので
無理して詰め込むよりも
せめてそれくらいを大切に覚えている方がいいのかもしれません