今朝は仕事の都合で少し早めに家を出て、例の踏切に差し掛かると
遮断機が降りていたものの他にクルマがおらず
ワタクシが先頭で電車が通過するのを待つ形になったのですね

まだ電車が来ませんから踏切の向こう側がよく見えるのですが
そこに立って携帯電話で話している中年女性の様子が変なのです
泣きながら話している、いや、声は聞こえてこないのですが
よほど突然の大きな悲しい知らせを受けたかのような雰囲気が
大きくゆがめた顔から伝わってきます...泣き叫んでいる？

電話を切った後、その女性は矢も楯もたまらず遮断機のバーを手で掴み
「えっ！？　くぐっちゃうの！！」
そんな素振りを見せたのですが、さすがにそれは思いとどまり
と思いきや、バーづたいに歩いて
道路の両側から下がってきたバーの中央の隙間を通り抜けて線路内に...

家屋が密集している場所なので、ワタクシの停止位置からは電車が見えないのですが
もうどの辺まで近づいているのだろう。女性も電車の来る方角を気にしました

やや理性を取り戻したのか
すでに線路に向かって一、二歩ほど踏み入れていた身体を戻してバーに寄せると
そこに警笛を鳴らしながら上り電車が走ってきました
電車は女性をかすめるように走り
最初はそのまま通過するのかと思えたのですが、まさかそんなことはありません
徐々に減速を始め、やがて踏切上に停まってしまいました

減速してゆく途中、ワタクシからは電車の台車の隙間から見えるだけになりましたが
女性が崩れ落ちるように地面に倒れるのが判りました
かといって電車に接触して撥ねられたとは思えません。失神したように見えました

停車した電車の車内では、立ち上がって足下の事件を覗き込んでいる人がいます
踏切の前にある家から女性が飛び出してきて倒れた女性を介抱し始めました
クルマのドライバーも降りてきて、横たわったまま動く気配のない女性に近寄っています

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ワタクシが目撃したのはそこまでです
こちら側からは遮断機が下りているし
間には電車が停まっていてどうすることもでできません
ワタクシの後ろからやって来たクルマたちがそうしたように
　　彼らには何があったか判らなくても
　　遠くから電車が停まっていることだけはすぐに判りますから
引き返して別の道を行き仕事場に向かいました

「なかなか来ないからどうしたのかと思いましたよ」

同僚に言われながら携帯電話に届いた路線情報のメールを見ると

路線名：高崎線

07:24ごろ
高崎線は、籠原～熊谷駅間での線路内人立入の影響で、上下線に遅れがでています。
（5月14日7時25分現在）

情報としては「線路内人立入」の６文字だけど
あの女性にとっては言い尽くせぬ事情があったのかもしれません