ホーローの旅

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数日前に『街角のオジギビト』という本のことを書いたとき
「看板」というキーワードで図書館の蔵書検索をしていたと書きましたね
さて、もともと何を探していたのでしょう?

今回は「看板建築」ではなく「ホーロー看板」に関する本を探してたんですよ
それよりちょっと前に、たまたま『ホーローの旅』という本を読んで
これがまぁホーロー看板探訪記的な読み物だったのですが
それに刺激されてホーロー看板に関する本をもっと読みたくなったのでした
...ワタクシも好きですからねぇ、こういう路上物件は(笑)

『日本ホーロー看板広告大図鑑』と『懐かしのホーロー看板』は
どちらも同じ人のコレクションでしかたら
構成が変わっただけという印象を受けましたが
個人でこれだけの「現物」を持っているというは凄いことですね
蒐集の苦労もさることながら、置き場だって大変でしょう
なかなか資料的価値がある本です

『琺瑯看板』の方は探訪記やら個人的考察が入っていて
読み物としても面白かった本です...大いに共鳴できる(笑)


ホーロー看板の趣味って
いろんな切り口があるだろうし
(たとえ写真でも)集め始めたら間口がどんどん広がって
収拾がつかなくなることを本能的に察知したのか
ワタクシの場合は「たばこ」と「塩」に的を絞っていて
それももう20年くらい新規のコレクションは無いのですが
これらの本を見ていたら、子供の頃に見た覚えのあるものが
次々と現れてくるのに感心しました

「菅公学生服」「金鳥蚊取」という大物や
「大塚ファミリー」といったものはすぐに頭に浮かぶのですが
文房具屋の軒先の「クレパス」や自転車屋の「ノーリツ号」なんて
ああ、そういえば見たことあった!
「カクイわた」なんて何処の板壁だったっけなぁ

こうやって見ていると
ホーロー看板でイメージするのは線路際の大物が目立っていたけど
実は町の中のいたるところで何らかの看板があったということですね

それにしても、毎日通勤で通る道を思い出しても
ここ10数年ばかりでどんどん無くなってきているように思います
看板に場所を提供していた家が建て替えられたというだけではなく
商品のサイクルが短くなった現代に、長持ちするホーロー看板は合わない
それも消えてゆく理由のひとつでしょう

20数年前に信州・小諸の市街地をカメラを持って歩き回ったことがありますが
きっと今はもう、あの時撮った物件の半分以上は見ることができないだろうと思います
考えたら、自分が住んでいる町であれほどの路上観察をしていないような...
今度、カメラを持って歩いてみるかな
実は、買い物に行くときなど、いくつか車窓から気にしている物件もあるんです

そうそう、大泉町の『SPACE 結』の近くに
サンキストレモンの広告が入った塩看板があり
いつもワタクシはそれを見て道を曲がる目印にしているので
あの看板がなくなったらちょっと困るのです
 


ホーローの旅
泉麻人・町田忍:著
2002年・幻冬舎



日本ホーロー看板広告大図鑑
―サミゾチカラ・コレクションの世界

佐溝力・平松弘孝:編
2008年・国書刊行会


懐かしのホーロー看板
―広告から見える明治・大正・昭和

佐溝力・著
2009年・祥伝社


琺瑯看板
―懐かしき昭和30年代を訪ねて (Shotor Museum)

オオタ・マサオ:著
1999年・小学館