復習のつもりで

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佐々木幹郎さんの新著『田舎の日曜日-ツリーハウスの夢』
今月10日に発売になりました

前作にあたる『雨過ぎて雲破れるところ』を読んで
「なんて面白い人たちなんだろう」と感動してから3年経ったわけで
その間『月刊みすず』に連載されたものが纏められています

いや、前作で面白さを知ったワタクシは、その後雑誌連載を毎月読んでおり
ページを切り取ってバインダーに綴じていたのですが
やはりこうやって一冊の書籍になると雰囲気が変わり、読み返してみたくなります
...雑誌連載時には写真も掲載されていなかったし

前作同様、浅間山麓の「山小屋」に集う仲間たちとの交流記で
毎年同じようなイベントが繰り返されてもいるのですが
本作では新しく始まったプロジェクトとして
全編を通してツリーハウス作りが行われています

ワタクシが初めてこの本を読んで「なんて面白い人たちだろう」
そう感動した理由が、このツリーハウス作りに凝縮されているような気がします
  「理由」を説明すると長くなるので
  それは改めて書くつもりです

ということは抜きにしてもツリーハウスってワクワクしませんか?
大人に残った最後の子供心、とまで言うと大袈裟だけど
ちょっと憧れてしまいますよね

この連載を読み始めてしばらく経った頃
図書館でツリーハウスの本を借りてきてページをめくったものでした


 去年(平成十九年)の夏のことだった。いつものように、わたしが焚き火をしていると、夕方遅くまで山の斜面で遊んでいた村の小学六年生と四年生の少女たち三人が、いきなり駆け下りてきて、「山に木の椅子を作ってもいい?」と聞いてきた。  少女たちは、山の斜面で遊ぶのに疲れたとき、みんなで坐る椅子が欲しいと思いついたのだった。「いいよ」と答えたのだが、ちょっと待てよと思いついた。「椅子を作るよりも、ツリーハウスを作ろうよ」  (略)  その話に一番乗ったのは、山小屋メンバーの一人で、地元でリフォーム業をしている五十代のトクさんだった。ツリーハウスは少年時代からの夢だったという。
「ツリーハウスという迷路」2008.7.20:日本経済新聞

ツリーハウス作りのきっかけとなったこのエピソードは
本書だけではなく、ここに引用したように他のエッセイにも書かれたりしているのですが
  これは『旅に溺れる』という単行本に収録されています
この話を読むたびに思うことがひとつあるのです
結局、少女たちの「山の斜面に椅子を置きたい」という希望はどうなったのでしょうね?
もともとの話はそっちのけになって
大人たちは3年間、ツリーハウス作りに夢中になってるんでしょうか(笑)
そう思ったら、初めてネパール式ブランコを作ったときの

 ブランコがこんなに面白いものだとは。このブランコを漕ぐと、地上から空に向けて、おもいきり駆け上がる心地がする。わたしは、ナカザワさんが乗ろうとしているのを、思わず押し退けて乗ったりしたのだった。「そう言えば、昔、あんな悪ガキがいたよねえ」と、その姿を見ていたみんなに、あとあとまで言われるはめになったのである。
『雨過ぎて雲破れるところ』

という前作での記述が思い出されてならないのですね
ほんと、大人が夢中になる過ごし方をしている人たちです