なんて面白い人たちなんだろう
前の記事の補足です...こっちのほうが長文ですけど
高校生の頃からユースホステル(YH)を使った旅をしていまして
最初はサイクリングツアーの宿泊手段だったのですが
やがてYHに泊まること自体が目的になってきました
ワタクシ、気に入った場所があると通いつめるタイプでして
「行きつけのYH」というものができてきます
周りから見ると、いわゆる「常連」ってやつですね
当時のYHというのは多感な青春時代に利用して人と人が出会う場でもありますから
泊まり合わせた者同士が意気投合し、連れ立って次の宿に向かったり(これはまともな旅人)
連泊して一日中トランプ遊びに興じたりするのです(ワタクシはこっち?)
落ち着いて考えたらちょっと変わった人間関係かもしれません
住んでいる所もバラバラで、本名も知らずにニックネームで呼び合って
それでも一致団結してYHのイベントなんかを盛り上げてしまうんですね
全国から集まってきて毎年運動会をやっているYHもありましたっけ
ワタクシはよく「一匹狼の群れ」と呼んでいましたが
一人旅を愛する人ほど、反面では人恋しいのかもしれません
で、このホステラー(YH利用者のことです)のチカラを
地元の人たちと融合させて何かできないものか
そんなことを考えていた時期がありました。社会学を学んでいた大学生の頃ですね
ペアレント(YH経営者)はその地で生活している人ですから
当然地元とのかかわりを持っています
だからペアレントを媒介して、各地からやってきた人と地元の人が
一緒になって何かをやるイベントやコミュニティというものが
あったらいいなと思ったものですが
実際にはなかなかペアレントが呼びかけてできるようなものではなかったようです
まぁ今でこそグリーンツーリズムだとか体験型旅行なんて言われて
いろんな企画が行政面からも提案されていますが
それもちょっとワタクシがイメージしている「自然な交流」とは
違うような気がするんです
その程度のことなら昔からやっているYHがありましたよ
琵琶を弾く老人を紹介してもらって聴きに行ったり
知り合いの牧場を見学させてもらったり
で、いつしかそんなことをあまり考えなくなった折も折
「こんど小室等さんとトークショーをやる佐々木幹郎さんって、どんな人なんだろう」
そんな気持ちで読んでみた『雨過ぎて雲破れるところ』に感動したのです
この本を読んでいると、地元からも都会からも気軽に「山小屋」にやってきて
みんなでコミュニティを作っているんですね
それぞれの特技や個性が発揮され影響しあって、ひとつの文化が生まれようとしている
何よりそれがこの本を読んで感動したことでした
図書館にあった佐々木さんの著作の中で
出版時期が一番新しかったという理由だけで選んだ本だったのですが (^^ゞ
佐々木幹郎という人がどんな文章を書くのかということより
こんな人たちがいるんだという発見が
この本を読んでよかったなぁと思えることなのです
もし、あの時別の本を選んでいたら...
ワタクシのすぐそばで回っていた歯車はこんな噛み合わせをせず
そのまま空回りをし続けていたのかもしれません
今考えてみても、あまりに不思議なタイミングの良さとしか思えないのですが
ふとしたご縁から知り合った山小屋メンバーのお一人に誘われて
本を読んだ半月後にワタクシは「山小屋」を訪ね
スキー場跡の草刈りをしたり、風のブランコを作るヒトになっていたのです
そんなわけで続編にあたる新刊の『田舎の日曜日』には
台詞なしの、ほとんど通行人的存在ですがワタクシも登場しております (^^ゞ
という意味でも、超個人的に『山小屋便り』シリーズには思い入れがあるのです