方言銘菓

 


実を言うと、もう何年も前からこれをネタに記事を書こうと思っていました
でも、なんかこう書きあぐねていて、いつしか忘れかけていたのです
ところが前回の「青春銘菓」で連鎖的に思い出しました
続けて書けば唐突感がぬぐえるでしょう

これもお菓子の味やネーミングが気になっているのではなく
そもそも「方言銘菓」って何なんだ! という引っかかりなのです

埼玉県北部、熊谷市や深谷市がある地域を「大里地域」と呼んでいます
平成の大合併で大里郡は2市1町だけになってしまいましたが
この大里地域の方言のひとつが「そうなん」なのです
まぁこれは実際に喋らないと
アクセントやイントネーションの雰囲気がうまく伝わらないのですが
とにかく「ふうん、そうなの」「えっ、そうだったの!」などという相槌を
「そぉなぁん」「そぉなん!」というひと言で済ますわけです

これは男も女も使っているのですが
女の声の方が可愛らしく聞こえるからでしょうか
お菓子には『そうなん娘』と名づけられています
だから決して娘さんが痴漢に遭うという「遭難」ではないのです
  ここで「そうなん」と相槌を打つのが正しい使い方ですね(笑)

で、ちょっと気になるのが
たとえば「おてんば娘」とか「箱入り娘」だったら娘さんの様子を表しているのですが
「そうなん娘」というのは、いったいどんな娘さんなのか判らないということです
だって、この辺の人はみんな使っている言葉なんだもの
  ウチの娘もよく使っています

というツッコミどころがあるお菓子ではあるのですが
それよりもなによりも、そもそも「方言銘菓」って何よ? と思っていたのです
ところがこのたび「銘菓」の定義について調べた結果
「方言をもって名づけた菓子」と解釈すれば「銘菓」の定義に当てはまることが判りました
正直言って腑に落ちない点は残っているのですが(笑)
バカボンのパパ風に言えば「これでいいのだ!」といったところでしょうか

そうそう、肝心の中身です


カステラで餡子と求肥をくるんであり
形や名前はともかくとして、オーソドックスなものです
でも、けっこうボリュームがあって
お茶菓子というよりは、おやつ用ですね、これは


『方言銘菓 そうなん娘』147円
西倉西間堂
埼玉県深谷市岡2836-3


調べてみたら、意外にも『方言銘菓』というのは日本各地に存在しました
方言が日本各地にあって、その地に住む人たちによって使われていれば
その言葉をそのまま名前に使ったお菓子が生まれるのは、当然と言えば当然ですね
ですからそれを『ご当地銘菓』と言わずに『方言銘菓』と言う
それだけのことだったようです
...と思えばいいんだね、とようやく納得した次第です

みつけた『方言銘菓』は次の通りです
まだ他にもいっぱいあると思います

『阿茶一服(あちゃいっぷく)』
  藤井屋政右衛門・群馬県東吾妻町

『はちょーじ』
  御菓子処大村屋・東京都八王子市

『越後方言銘菓 ほいね 』
  京家・新潟県加茂市

『みんさい きんさい たべんさい』
  イガワ製菓・山口県周防大島町

『豊後方言銘菓やせうま』
  田口菓子舗・大分県大分市

『方言銘菓 びったれもち』
   桃屋甚兵衛・大分県中津市