阿波の山と川(其の壱)
阿波の国2日目の朝、徳島自動車道を西に走ります
初冬と呼ぶにはまだ早いような日差しを受け
右手の山々は紅葉の残る木々が穏やかな光を放ち
左手の吉野川は川面がきらめいています
こういう風景を見ると写真を撮りたくてたまらないのですが
あいにく一眼レフのカメラは後席に置いてあるし
スマホは充電用のコードをつないだまま
ステアリングの向こう側でカーナビとしてお仕事中です
うっかり動かしてコードがレバーやステアリングに引っかかると
厄介どころでは済まない事になってしまいそうで
カメラとして使うのを躊躇ってしまいます
そういう時は助手席のツレに撮ってもらうといいのでしょうが
前日の疲れが出たのか爆睡中です。揺り起こしてもすぐにまた寝てしまう
こんな素敵な景色を見ないで寝ているなんてモッタイナイ...
井川池田ICで高速道を降り
吉野川に沿って走る国道32号線を、JR土讃線と一緒に南に向かいます
山あいのローカル感あふれる道で、先を急ごうという気がなくなってしまいます
もっとも、交通量が少ないので実際はけっこうトバしてます (^^ゞ
JR祖谷口駅の先を左折して、吉野川を渡り
今度は「県道の」32号線を支流の祖谷川に沿って走ります
道幅はかなり狭くなり、すれ違える場所が限られるので
対向車の気配を早く察知しなければ厄介です
でもまぁ、対向車と出会ったのは2回だけでしたけどね
それより道のところどころに落ちている石が気になります
「落石注意」の看板はダテじゃぁないようですね
そんなこんなで祖谷渓を進んでゆくと『小便小僧』の像が立っています
先ほど「祖谷川に沿って」と書きましたが地図の上では道路と並んでいても
川面があるのは眼下はるか下、つまりとんでもない崖っぷちに立っているわけです
かつての子どもたちはここに立ち、度胸試しをしたという逸話があるそうですが
この高さではオシッコも川に届く前に蒸発してしまったことでしょう
かつては街道の難所だったろうと思わせる祖谷渓の道も
祖谷温泉を過ぎると広くなって走りやすくなり
集落もあったりして人里っぽくなってきました
そして、着いたところが『祖谷のかずら橋』です
子どものころ、この橋の存在を知ったときは
霧に包まれた秘境のイメージだったのですが
今や県庁のある徳島市街から2時間でやってこれる場所なんですね
『かずら橋夢舞台』という大駐車場を備えた物産館も建っています
実は、数年前からツレの足の具合が悪く、最近は歩くのに難儀している状態で
今回の旅はなるべく歩かずに済むような移動をしているのですね
ですから『かずら橋夢舞台』にクルマを停めると
橋まで行くことさえできないかもしれません
さいわい、もっと橋に近いところに昔ながらの茶店があり
そこも有料で数台が停められたのでクルマを預けることにしました
しかもこちらが安かった (^^)v
「渡り口に行くまでが階段だからね。そこまで行かずに道路から見るか
あと、出口のほうまで行って見るか、だね」
茶店の人が、ご当人としては親切心でしょうが、そう教えてくれます
前夜夕食を共にしたツレの友人たちも「渡るのは無理だろう」と言っていました
そこまで言われると、何としてもツレを渡らせたくなってきます
かといって、背負って渡るにはこちらの足腰が不安です
やっぱり本人にその気になってもらうしかありません
落とさないようスマホはポケット深くに入れ
杖も折りたたんでポケットに入れ
二人で手をつないで、空いた手は、欄干と呼べばいいのか橋の手すりを持って...
他の人の倍以上の時間がかかりましたが渡り切りました。やったね
「せっかく通行料を払ったんだもの。長時間かけなければモッタイナイ(笑)」