棋士の愛した数式

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このところ連日、ニュースは将棋の藤井四段の話題ばかりですね
プロデビュー以来負けなしの29連勝って
将棋に興味がないワタクシでさえ知ってますから

昨日も新聞読んでたら新記録達成のニュースが大きく載っていて
それまで28連勝の記録を持っていた神谷八段のコメントが興味深かったですね

28という完全数は一番好きな数字ですので、それが1位でなくなることは個人的に少々寂しいのですが、凡人がほぼ運だけで作った記録を天才が実力で抜いたというのは、将棋界にとってとてもいいことだと思います。(朝日新聞)

なんだか自分の記録が破られたことよりも
28という数字が消えてしまったことが残念みたいに聞こえるんですよ

神谷八段のおっしゃられているように
28というのは「完全数」です
つまり自分以外の約数、この場合は1、2、4、7、14ですが
それを全部足すと28になるという不思議な数なんです
こういう不思議な数が連勝記録の数字として君臨しているところに
神秘的なものを感じていたのでしょうかね

だとしたら藤井四段にも目指してもらわねばなりません
6、28に続く完全数は、496 です(笑)


完全数という言葉を見て
小川洋子さんの『博士の愛した数式』という小説を思い出しました
...ワタクシは映画の方を最初に見たんですけどね ⇒ 感想

あの中では「28」というのが江夏豊の背番号と一緒だというので
主人公の博士は阪神ファン、とりわけ江夏のファンという設定でした
心温まる映画だったなぁ

  

追記:

実は、たまたま何か月か前にDVDを借りてきて映画版を再び見たのですが
この記事を書こうとして小説も読み返してみました
いやぁ、小説(原作)は映画以上に江夏がかかわってますなぁ
まるで「江夏を称える」のがもう一つのテーマであるかのようでした
最後の段落がこれですもん
...博士が首からぶら下げている野球カードの描写です

 背景は暗く、観客もスコアボードも闇に沈み、江夏ただ一人が光に浮かび上がっている。今まさに、左手を振り下ろした瞬間だ。右足はしっかりと土をつかみ、ひさしの奥の目は、キャッチャーミットに吸い込まれてゆくボールを見つめている。マウンドに漂う土煙の名残が、ボールの威力を物語っている。生涯で最も速い球を投げていた江夏だ。縦縞のユニフォームの肩越しに背番号が見える。完全数、28。