やくそく
まわり山々 ぽつんと盆地 小さな町並み 坂の道
(『小さな町』詞・笠木透)
いったいどこなんだろう、この風景
なんだか懐かしく感じる、ちょっと田舎の小さな町
アイビールックやブルーグラス、アメリカン・トラディショナル
彼に対して持っている、そんなイメージからは遠い感じの
ちょっと変わったジャケットのCDが
『坂庭省悟トリビュート・やくそく』でした
存命ならば56歳の誕生日を迎えたはずの今日が発売日でしたが
ワタクシの元には昨日届き、さっそく聴きました
CDをケースからはずすと、目に飛び込んできたのは高田渡さんの写真
…そうか、渡さんも去年逝ってしまったんだね
そういや渡さんのトリビュートアルバムはそうそうたるメンバーが参加していた
フォーク黎明期の立役者や渡チルドレンの素晴らしい人たちが
ゾウゾクするような歌を聞かせてくれた逸品だった
トリビュートアルバムは追悼盤として制作されることが多いのだが
高田渡トリビュートは渡さんの生前に作られ、ご本人も参加している
それに引き換え…と言ってはナンだが、このアルバムは
少々小粒なミュージシャンも集まったという気がしないでもない
しかも、言うに事欠いて「会った事がありません」と言い切る人までいる
おいおい…
だが、ちょっと待ってくれよ
クラシック音楽を聴いたり古典文学を読んで感動する人は
元の作者と面識があるはずがないじゃないか
その遺された作品を通じて作者と出会うのである
そう思って聴くと
参加しているシンガーやミュージシャンたちは
単に省悟さんに対するトリビュートだけではなく
自分の歌として曲として、熱くて高い志を持って
省悟さんが遺した楽曲に新たな命を吹き込んでいるのだ
それにしても、この見事なハマりっぷりはたいしたもんだ
元来、彼らが歌うことを想定されて作られたものではないはずなのに
多彩な参加者それぞれに合った歌になっているではないか
省悟さんが追求していたものは彼独自の世界のようでいて
実は普遍的なものであったのか
90年代を中心に、15年くらい彼の歌を聴いていない時期があったのですが
その間にけっこう近隣のあちこちで彼は足跡を多く遺しているようです
いや、日本全国に彼との思い出を語れる人がいるのでしょう
そんなことに思いを巡らせて再びジャケットの絵を見たとき
気がついたのです
ここに描かれているの風景は、普段気にしていないけど
意外に我々のすぐそばにある場所かもしれないと
そして、省悟さんの「志」も我々のすぐそばに
これからもずっとあるのでしょう
大気の中に彼の気配が漂っているのだと
ところで、これまで何度か書いていた
このCDに収められた「あの歌」についてですが
それは項を改めて書きたいと思います
コメント
エンドウマメ
CDを外したアトに出て来る写真は、2002年3月16日に岐阜県
坂下町の「山内酒造」で行われた『さんさ酒屋のコンサート』に
坂庭さんと高田さんがゲスト出演された時に写されたモノです。
僕も見に行っていて、一番前で見ていた事を思い出しました。
お酒飲み放題、食事食べ放題で五千円ポッキリ・・・ヘベレケに
なるまで飲んだので、タクシー呼んで椛の湖のロッジにシュラフ
持参で泊まりました。 青春・・・だったなぁ。
TodomatsuHouse
▽エンドウマメさん
そうですか、てっきりどこかの楽屋での音合わせの一コマかと思ったのですが...
蔵元でのお酒飲み放題のコンサートならば
このリラックスした表情も納得です