メンテナンス
ずっと前に伊丹十三さんのエッセイ集
たぶん『ヨーロッパ退屈日記』だったと思うけど、そこで読んだ話
その頃だかその前に、伊丹さんはイギリスのMGというクルマに乗っていたそうですが
これがオイル漏れを起こすんだそうな
…うん、たしかにあの頃はそういうクルマもあったよね
でもね、いくら今のような精密加工ができない時代とはいえ
いくらイギリス人が日本人より不器用とはいえ
オイル漏れのしないクルマくらい作れるはずだろ、と伊丹さんは思うわけですよ
すると、ある人が答えて言うには「わざとオイル漏れするように作ってあるんだ」って
つまりクルマというものは完璧ではない、オーナーが注意を払っていなければならない
そのことを忘れないようにオイル漏れするんだそうですよ
10年くらい前に『メタルカラーの時代(文庫版・第3巻)』で読んだ話
世界銀行の調査官が来日して
トヨタとホンダに「アジア型原動機」の試作を依頼したんだって
でも、出来上がった試作モデルを見て、使い物にならないって言ったそうな
トゥ・マッチ・ソフィスケイテッド…高度すぎて現場では使えない
同じ頃、オックスフォード大学で「アフリカ型原動機」を試作したんだけど
それは石油缶をつぶして作った風車を手押しポンプの動力にしたものだったって
ありあわせの材料で作られたものなんだけど
空力特性には最先端の研究成果が生かされ
ちょっとぐらい壊れても風車は回るし、回っている間は井戸から水が出てくる
ならばと日本の某メーカーが
メンテナンスフリーの太陽電池の施設をアフリカの某国に作ったらしいですよ
そしたら次第に鳥がたかり、糞の酸にやられて効率が落ち
最後は鳥の止まり木としてしか役に立たなくなったとか
いつだったか、テレビで見た話
今はもうビデオデッキなんてすっかり安くなって
子供の小遣いでも買えるシロモノですが
故障しても修理できないことが多いらしいですよ
いや、どの部品が調子悪いかはちゃんと判ってるんだ
本体の奥のほうにあるヘッドを取り替えればいい…でもね
その手前にある部品がシャーシにリベット留めされていて外せないから
奥の部品を交換することができないんだってさ
はじめから分解することなんか考えていないんだ
それにさ、パナソニック製だ東芝製って言っても
海外の工場で作っているわけだし
そこで一個一個の部品を内製しているわけじゃない
別のメーカーが作った部品や、ある程度までユニット化した部分を
組み立てているわけだから
国内のサービスセンターでできることって限られているような気がする
以前、デジカメの本体カバーに接着された部品が取れたので
修理を依頼したところ、本体カバー丸ごと交換されたことがあったっけ
カメラメーカーは部品メーカーからアッセンブリーで買っているから
本体カバー全体がひとつの部品なんだよね
とりとめもなく書いてみたけど
ダイソンの掃除機を使ってみて、ちょっと頭に浮かんだこと
コメント
雀屋
なるほど。掃除機って毎日使うし、私なんかグイグイとホースを引っ張って本体を引きずり回してるし(だから断線するのかな/笑)
あ!っと思った瞬間には吸わせちゃいけないモノも吸い込まれちゃってるし(笑)
故障しやすいモノは簡単に直せるように作る。
うん。その方が合理的な考え方ですね、きっと。
まつお
▽雀屋さん
「壊れるかもしれない」「壊れるのは仕方ない」...
これって大自然に対する畏敬の念に通じるものがあるような気がします
うまく割り切って折り合いをつけながらやってゆくのが
人間の知恵なんでしょうね
「壊れないものを作る」のは自然をねじ伏せようとするようなもの
…なんて、そんな大層なことを言うつもりはないんだけどね
ともあれ、ダイソンはアフターサービスがいいらしいです
これはそのうち記事として書きたいなと思ってますが
こちらもこのところ疲れ気味で
…こればっかりはパーツ交換できない。オーバーホールしたい (^^ゞ