二人日和

 

DVDパッケージ

...という映画があります(公式サイト)

「不治の病に冒された妻とそれを支える夫の静かな日常を通して
 生と死を見つめた大人のラブストーリー」

このテーマだったら、舞台はどこでもいいと思うんですよ
主人公の設定を変えれば、全国どこの町だっていい
でも、あえて京都を舞台に選んだのは...ではなく
この映画って、どうやら
京都をアピールするのが隠れたもうひとつのテーマみたいなんですね

まず主人公の設定が京都ならでは、なのかな
  御所に面して建つ町家で
  御所関係・貴族や神官達の装束を作り続けてきた神祇調度司の老職人
  毎朝、梨木神社に水(染井の名水)を汲みに行くことから彼の一日が始まる...

このこと自体は、正直言ってわざとらしい設定だなという気がしないでもありません
無理やり京都っぽくしくしているように思うし、ストーリーの上からは
こういう職業である必然性は感じませんからね

で、これでコーヒーを淹れて飲むのが日課というのが
ワタクシに言わせると、いかにも京都なのですね

...千年の伝統を誇る人なら、お茶を点てるのが自然じゃないの?

いやいや、これこそが
あの京都タワーを作ったり、ガラス張りの京都駅を建てたりした
新し物好きの京都人の気質でしょう
ワタクシがかねがね言っている
「京都はいつも時代の最先端だった
 それが残っているから古都と呼ばれるだけだ」
ということですね

まぁもっとも
今ではコーヒーもいささか古い文化になりつつあるかもしれませんが
ともあれ、ポスターやDVDのパッケージをはじめ、いろんなところで
このコーヒーを飲んでいるシーンの写真が使われているのは
これこそがこの映画のポイントであり
それは夫婦愛の象徴ではなく、京都の象徴なのかもしれません
だって高田渡さんも「イノダって珈琲屋に行かなくちゃ」と唄ったではありませんか(笑)

この映画は、観光地としての京都ではなく
人々がそこで暮らし、息づく町としての京都を伝えたがっているように思います


ところで、この映画のもうひとつの見どころ...になるのかなぁ...として
きたやまおさむさんが大学教授の役で出演しているシーンがあります
ほとんど楽屋オチというか内輪ウケのキャスティングです
なぜなら本名の北山修では九州大学教授をなさってるんですからね
日本精神分析学会会長でもあります

この『二人日和』は野村恵一監督の作品ですが
きたやまさんは野村監督の初作品『森の向う側』では
なんと主演を務めていますね
その次の作品『真夏の少年』にも出演しているし...
どういう縁なの? と不思議だったのですが
最近このサイトで理由を知りました

高校の同級生だったんですね。文字通り友情出演です


エンディングテーマを唄っているのはクミコさん

昨年『わたしが一番きれいだったとき』について
いろんな人が唄っていることを調べていて
クミコさんもオリジナルの曲があるらしいと知ったのですが
残念なことにCD化はされていないようです

最新アルバムの『友よ! ~あの出発ち(たびだち)を“青春”と呼ぼう~』
にも興味があるのですが
これ聞いちゃうと、たぶんワタクシのことですから
彼女のCDを買い集めることになりそうで
いろんな意味で、もう少し余裕ができてからにしたいと思ってます