相続放棄

 
父の死後、四十九日も済んでやれやれといったところに
今度はお盆、そして来月にはお彼岸というものが控えており
結構いろいろと行事が続くものです
...まぁこの辺は特に親戚や近所に見栄を張る必要も無いので
 我が家流で簡素にやりたいと思っています

ところが、そういった行事とは別に「相続」という手続きが残っています
父は財産分割を指示した遺言書を残さなかったので
遺族で相談して分けねばなりません

いろいろ調べていると
初心者にとっては「へぇ!?」と思うようなことに出っくわします


例えば「相続放棄」

仮に、我が家みたいに母と子供二人が遺された一家があったとします
法律では母が2分の1、子供がそれぞれ4分の1ですが
当事者が納得すればこの通りに分ける必要はありません

「お母さん、僕たちはもう独立して、自分で生きて行けるから
 お父さんの財産は要りません。お母さんがそれを使って生活してください」

というような殊勝な子供たちがいて、2人揃って相続放棄をしたとします
こう聞くと美談のようですが、これが実はトラブルの引き金になってしまいかねない

相続放棄というのは裁判所の認定を受けて「その人はいなかったことにする」制度だとか
つまり、子供が2人ともいなかったことになることによって
故人の両親が相続人として繰り上げ当選してしまうのですね
高齢で亡くなった人の両親ですから、これも死んでしまっていていないとすると
今度は故人の兄弟姉妹が相続人になってしまうのです
もちろんこの中にだって亡くなった人はいるでしょう
そうなると、その子供が存続人になってしまうんだそうです
昔よく「ブラジルの伯母さんの遺産が転がり込んだ」なんて表現があったけど
まさにこのことなんですね
  じっさい、ゆうちょ銀行の「相続確認表兼貯金等支払停止依頼書」という書類には
  従姉妹の名前を書く欄があります...第一順位の欄が埋まれば記入不要ですが

自分が辞退したら却って当事者が複雑に増えてしまいます
そうなるとみんながみんな辞退するとは限りません
さっきの「ブラジルの伯母さんの遺産」じゃないけど
降って湧いた話に欲が出る人だっているでしょう
だいいち何十年も会ったことがない親戚に、話をするだけでも大変です

というわけで、こういうときは「相続放棄」ではなく
「相続の放棄」というのをするといいんだそうです
つまり相続人としての身分は残しておいて、貰う財産だけをゼロにする
これは裁判所の認定ではなく遺産分割協議書にそう書いておけば済むことだそうです


よく「借金も財産のうち」といいますが、負債も相続財産です
親が多額の借金を残して死んだら、そういうときこそ相続放棄したくなりますが
近親者だけが勝手に相続放棄すると、遠くの親戚に借金を押し付けることになるので
気をつけなければなりませんね

  もちろんその親戚も相続放棄すれば済むことですけど
  あらかじめ一族郎党で話を通しておかなくっちゃね
  寝耳に水で取り立て屋さんがやってきたらモメるのは必至ですよ