Lagniappe at 宮内家

 
土曜日(2日)に宮内家で行われたLagniappe(小室等・こむろゆい)のライブは
もともと3月12日に企画されていたものでした...そう前の日が、あの大地震です

これが一週間後とか10日後だったらまだ「元気を出そう」「被災地にエールを送ろう」
そんな掛け声の下に開催もできたでしょうが、まだ翌日です
余震の心配もあるし、電車だって動いていません
  大宮で帰宅難民となって友人宅に泊めてもらった息子を迎えに
  北浦和までクルマを走らせている時、家にライブ中止の電話が入ったそうです

その後、関係者の熱い思いで小室さんたちとのスケジュール調整が行われ
この日のリベンジが決まったとのことでした

  震災だけではなく、原発事故の問題も発生し
  ワタクシたちを取り巻く状況は一変しました
  こんな中で何を歌えばいいのか
  これまで歌えていた歌なのに、急に絵空事のように思えてしまったり
  逆に、詞の奥深い意味が感じられるようになった歌もあるのでしょう

5月の丸木美術館では、会場そのものが強いメッセージを持っていたせいか
こちらも構えて聴いてしまったような気がしますが
宮内家では、傍らにビールのガラスもあったためでしょうか
少し肩の力を抜いて楽しむことができました

ここは以前、『コヘチバ菌伝染ライブ』で一度来た会場なのですが
そのときに「狭さ」が気に入ってしまいまして(失礼 ^^ゞ
客席との一体感もそうですが
小室さんたちのように間合いの取り方を工夫するミュージシャンですと
まさにライブ感が生きてくる場所だと思うのですよ
それもあって、宮内家でのライブを楽しみにしていたのでした


ライブの最後で歌われたのは、CD『ここ』に収録されている「ちいさな写真」でした

これはCDで聴いても不思議な余韻がある歌で
なんというか「心に小骨が刺さる」ような引っかかりがある歌なのです
  なんちゅう例えや!?
歌詞から喚起されるイメージは「家族写真」「卒業写真」など
人によってさまざまなのかもしれませんが
この震災の後、原発の不安を抱えた中で聴くといっそう胸に迫るものがあり
そして今、自分が大切に守りたいものが何かを考えさせられてしまい
聴いているうちに目頭が熱くなって、小室さんとゆいちゃんが
すこしぼやけて見えてしまったのでした


そうそう、打ち上げで素敵なハプニングがあったのですよ

小室さんにサインをしてもらおうと古いLPレコードを持ってきた人がいて
その中に『東京』があったのです...鋤田正義さんがジャケット撮影をしたアルバムです

という話は今回は関係なく、この中に収録されている「ユイ・コムロ」が話題になって
なんと小室さんに歌っていただこうということになったのですね
実はこの歌にはワタクシも思い入れがありまして
ずっと前に一度、お願いして歌っていただいたことがあるのですよ...たぶん1998年の9月

もしかしてひょっとすると小室さんもそれ以来歌っていなかったのかもしれません
「おぼえてるかなぁ...」と最初は自信なさげに歌ってましたが
だんだん調子が出てきて、そうそう、この歌だよなぁ
というところに近くにいた人がハーモニカを取り出して被せてきたのです
実はこの人松田ariさんに習っているとかで、ええ雰囲気なんですなぁ

思いがけず大好きな歌を素晴らしいアレンジで聴くことができて
しみじみライブが開催されたことに感謝したのでありました