桜の木
中学だったか高校だったか、英語の授業で
「日本語で『桜』と言えば、だいたい桜花を意味するが
英語では『cherry blossoms』、つまりわざわざサクランボの花と言う」
というようなことを言われたことがありました
つまり日本では桜と言えば「花」だけど、あちらでは「実」が大事
桜の花を観賞するという文化が無いのでしょう
アメリカのどこだったか、日本からソメイヨシノを贈られて
花びらが散らかるのに閉口しているという話を聞いたことがあります
先週末、地元の図書館に行ったら
ここの特設コーナーでも桜に関する本の特集をやっていて
どれどれと寄ってみてようやく「ああ、こんな本があるのか」と
地味な表紙の写真集を見つけました
先日の『一本桜』とはずいぶんな違いですが(笑)
観賞用の桜といえども花の盛りは一週間から10日くらいでしょう
でも、足の無い桜はその場所に一年中立っているのです
光り輝く若葉、雨に濡れる木肌、景色を染める紅葉、雪を被り春を待つ幹。自然の中に息づく桜樹の1年を、風や水や光とともに鮮やかに写し出す桜の写真集(出版社からのコメント)桜の花でなく、花の散った後の若葉、夏の盛りの青葉、秋の紅葉・黄葉、そして冬の裸の一本の木、ごっつい幹。木をテーマに何十年も山を歩き続けた人が、桜を「木」として見つめ、「木」として紹介する写真集。(「MARC」データベースより)
いやぁ、素敵ですねぇ
苔のついた木肌のアップから花が咲き始めた林の遠景
地面を覆いつくしそうに散った花弁に落ちる樹影...
四季折々の桜と、桜のある風景が収められています
ああ、こんな撮り方があったんだ
で思い出したのが、秋になると草刈りに行っている嬬恋村の草原です
背丈ほどに伸びたススキの原に中に桜の木がありまして
最初はその存在が目立たないのでありますが
ススキを刈り終えると、そして紅葉と陽射しのタイミングが合うと
美しい姿を現して、それを見たら疲れも吹き飛ぶ思いになるのです
秋桜と書いたらコスモスのことになってしまいますが
この嬬恋の桜は、ワタクシにとって秋の桜なんだなと思いました
まぁもっぱら茶筒が有名ですが
日本にはヤマザクラの樹皮を使った「樺細工」という工芸品があります
花を愛でるだけではなく、ちゃんと日々の暮らしの中に
桜の木はあったのですね