NO GOOD WITHOUT YOU

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9月のライブの折に
「今、谷川賢作さんとスタンダードをメインにしたアルバムを作っている」と聞き
これは「歌」が楽しめるアルバムになるなと思ったものでした

実はこう考えたのには前科がありまして
何年か前に八木のぶおさんと共演したコンサートを聴いたあとでご本人に向かって
「いやぁ、今日は演奏を楽しませていただきました」と言ったことがあるのです
それくらい小室さんのギターと八木さんのハーモニカの掛け合いが美しく
歌っているときには「早く間奏にならないか」とさえ思えたのでした

もちろん、このアルバムで谷川さんのピアノ「演奏」は素敵です
それだけでソロCDにしてもいいほど
でも、小室さんに限って言えばギターは控えめで
「歌」を存分に聞かせてくれました

小室さんが60歳を越えたからこそ歌えるラブソングなのかもしれません
男女の愛の歌でありながら
それ以上の普遍的な愛
解説の谷川俊太郎さんの言葉を借りれば「やさしさ」

小室さんのアルバムに『時間(とき)のパスポート』というのがありますが
正直言って、あまり好きではないんです
それと、ここ何年かライブでNHKドラマ「蝉しぐれ」の主題歌を歌ったりしますが
なんか馴染めなかったのですね
が、これを聴いて
「ああ、このアルバムに至る過渡的なものだったのかなぁ」って
そんな気がしてきました

小室さんがひとつの境地を切り開いたというか辿り着いたというか
口幅ったいようですが、そんな印象を受けるアルバムでした

しかし、ジャケットの写真を見てブッ飛びましたね
これもある意味では新境地を開いたと言えるのでしょうが...
荒木経惟、恐るべし


これはこれで素敵なアルバムで
ファンとして喜びではあるのですが
でも心の底にあるワガママな部分では
…フォークが聴きたい

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