必要ない
世の中に無駄なものはひとつもないというが
今の自分には必要ないものだって
今の自分を創るためには必要だったんだ
うまい表現が見つからずに
2週間ほど頭の中でもやもやしていましたが
端的に言えばこういうことかも知れません
事の発端は、3月4日に行なわれた
南修治さんの例のコンサートです
ここで彼は、自分がシンガーソングライターとして歩んできた30年を表現しようと
26曲を選んで歌いきったそうなのですが
それに先立って、古いうたを「今の自分には必要ない」
という言い方をしていたのですね
この「必要ない」という言葉の使い方・受け止め方が
きっと彼とワタクシではズレがあったのでしょう
彼の古いうたのファンであるワタクシには
なんだかそれらが切り捨てられるような気がして
正直なところ、ちょっと淋しい思いをしたものでした
でも、それは単にワタクシの思い違い、杞憂だったようです
南さんの最新『あんじゃない通信』によれば
ワタクシの想像以上に真摯に古いうたに向かい合い
当時の気持ちに浸りきって今の自分を再発見したようです
過去の自分を否定することは
今の自分も否定することなんだ、と
南さんは百も承知でした
話は変わって、仕事場で行なっている朝礼の副読本に
『「捨てる」基準』と題した文章がありました
全文はこちらで読むことができるのですが
要点だけ抜き出せば
一つめに、もったいないものを捨てます
二つめに、過去の栄光や思い出を捨てます
三つめに、いつか必要と思うものを捨てます
四つめは、現在のあなたのレベルを下げるものを捨てるのです
過去へのしがらみ、他人からの評価、将来への不安などを
キレイさっぱり捨てることで、ありのままの自分を見つめ直すことができます
物や過去にこだわることなく、自分自身を常に輝かせていたいものです
ということらしいです
耳が痛いなぁ...思い当たることばかりです
どうもワタクシ、古いものにしがみつきすぎているような気がします
この文章を読んだのが今月の2日...そう、その夜は小室等さんのコンサートでした
小室さんは最近のレパートリーであるジャズのスタンダード曲を数多く歌われ
お馴染みの武満さんや谷川さんの作品は数えるほどしかありませんでした
アンコールの1曲目『あげます』はイントロの1小節目で判ったけど
次の『星に願いを』は、歌い終わる直前になってやっと判った
そんな小室さんの歌を聴きながら
朝読んだ文章が頭の中に甦ってきたのでした
コメント
エンドウマメ
昔聞いた話ですが・・元・五つの赤い風船の西岡たかしさんは、いつも
コンサートの最後に「遠い世界に」を唄わないと駄目な雰囲気が嫌で
仕方がなかった・・と言われていました。 聞く側と歌い手との、温度差が
大き過ぎるのが、問題だと言われてナルホドと思いましたが、最近は
普通に昔の歌を歌う事が出来ると言われていました。
これは遠藤賢司さんも岡林信康さんも、同じ事を言われていました。
ともやさんも一時、あの「受験生ブルース」を封印・・されて、依頼が
あっても、今は唄う時期では無いと言われていた・・そうです。
そのミュージシャンにとって、歌は自分の分身であり、作品だから
難しい・・ですね。
まつお
▽エンドウマメさん
表現者にとって、今はもう当時の気持ちになれないから
昔の歌は歌えないってことはありますよね
逆に言えば、以前は形だけをコピーして歌っていたのが
今ようやく心から共感して歌える
というのもありそうです
聴き手としては、古い歌を聞くことで自分もまた
当時の気持ちに浸れるというのがあるんですけどね
…青臭い正義感を心の奥に持ち続けたいと思っています