フラガール 3.11 -つながる絆-

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ショッピングセンターの3階にある
深谷市男女共同参画推進センター(L・フォルテ)の図書室で
前に紹介した『ホットスポット』を初め、GWに読む本を何冊か借りてきたのですが
最初に目が留まって棚から選んだのがこの本でした

数年前に『フラガール』という映画を見て、この言葉が意味するものを知っていたのと
ニュースなどでスパリゾートハワイアンズのダンサーたち
すなわちフラガールの全国キャラバンの話を知っていたので
それにまつわるエピソードの本だろうと思ったのですね

...でも、それは後半部分でした

前半は東日本大震災当日にハワイアンズで被災したお客様を
いかにして無事に家までお帰しするかというホテルマンたちの話です

揺れている最中の避難誘導に始まり
安全を保障しかねる客室を見切って駐車場のバス車中やロビーでの宿泊
600人の宿泊客を東京まで送り届けるバス18台を確保して
さらには営業車を前日、東京まで走らせ道路状況や休憩設備(トイレ)を確認させるという
あの混乱の中での見事なまでの対応です

すべてはお客様のために

スタッフ一人ひとりのこの思いが、的確な対応に結実したのでしょう

阪神淡路大震災のときの神戸製鋼や、中越地震のときのリケンの話など
被災後の復旧にまつわる話はいろいろ聞きましたが
この本の前半部分は、そういう製造業とは違った種類の熱いドラマでした

そして復旧計画が動き始めた中、震災から一ヶ月の4.11の大きな余震があります
ワタクシは初めて知ったのですが、3.11よりも4.11の方が
ハワイアンズの施設にとっては遥かに大きな壊滅的な被害を与えたのだそうです

後半は復旧・再建の話になって行き
いよいよフラガールたちの全国キャラバンになってゆくのですが
まさに以前映画で見た、常磐炭鉱閉山から常磐ハワイアンセンター設立とオーバーラップして
一企業の復旧の話ではなく、いわき市や福島県の復活の心意気なのだと
そう感じてしまう本でした


実はワタクシの仕事場でも災害対応とかBCPとか、数年前から取り組んでいますが
イザというときの役割分担で、つい見落としてしまうことがあります

まず、自分たちは被災者であると同時に救援者でもあるということです
建設・土木、通信交通、エネルギー供給事業者はもちろんのこと
その他の民間事業者や、もちろん行政担当者は
災害があれば公共の施設やインフラ、顧客の設備の復旧にあたらねばなりません
自分の社屋が倒壊しても構っていられないのです

そして、ワタクシたちは組織の一員、社会の一員であると同時に
一人の家庭人でもあるのです...自分の家や家族が気がかりです

いつだったか、ある会社の人が言いました
「当社の防災対策? ...とにかく逃げろ、ですよ」

想定する災害が地震なのか洪水なのか? 規模は? 発生の日時や時刻は?
すべてに対応できるマニュアルは、それしかないのかもしれません
あとは、現場の人間の思いが同じ方向を向いたときに自然発生することを信じるか?

この本は、「信じられる」という気持ちを強めてくれました